現代はKONYECで、ロシア語で「おしまい」という意味で副題が「コップの中の最後の一滴」らしい。「第38回ハンガリー映画週間 観客賞・部門賞」受賞。私、勝手にアカデミー賞の外国語映画賞ノミネート作品と誤解してた。
共産主義時代、まじめに働いていた老夫婦が、民主主義になった現代、年金暮しで困窮し、家賃滞納・電気も止められ、銀行強盗に走る。その夫婦に、現代の警官のカップルが絡む。
セリフでクスリと笑わせて、曲が流れて次のシーンへ、という手法。内容的には波乱万丈なのに淡々と描かれる。最後は泣かせ(本当に泣いちまったぜ)といて、あ~、実はなるほどね、とホッとさせる。いくらあの組織的にはボロボロの警察でも、しばらくすれば気づくだろうけどね。
ちょっと中だるみもあったけど、面白かった。
中のいい老夫婦ならではの「あうん」の呼吸。70歳の設定だけど、きちんと品良くきれいな女優さん。旦那がずっと運転手だったという設定なので、警察からも逃げ延びる。奥さんが車に乗って顔に風を受けるシーン。買い物に行って、旦那がカートを上手に扱えないシーン。なぜキャンプ場に行ったのか、そして草を払うシーン。若い二人がガソリンスタンドの前で話すセリフとカメラアングルのうまさ。
警察カップルも、(大丈夫か?ハンガリーの警察!)と思うけど、なんかほんわかした雰囲気で好きだ。男の方もだんだんカッコ良く見えてきた。でも、鈍い奴だ。
最初と最後に挿入された二人が出会う、1950年代のシーンも効果的。
流れる曲も好きなタイプの音楽だった。
観て良かった映画だ。
奥さんが「海が見たい」って言っていた。海がない国だからなあ。
海がある国に生まれて良かった。
しかし、クイズ・ミリオネラって、世界中でやってるんだなあ。