アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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ネトウヨに突き動かされる政権与党

2014年03月13日 19時34分09秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権


 同じ保守や右翼でも、自民党はまだ「維新の会」よりは多少なりともマシだというイメージがありませんでしたか?
 正直言って私にも心のどこかにありました。特に大阪に住んでいると、橋下市長や「維新の会」のやり方が余りにもメチャクチャなので、そこと袂を分かって共産党とも反維新では共闘している自民党については、昔ほど悪いイメージはありませんでした。昔の「悪いイメージ」にしても、保守反動だからというよりも寧ろ自社公民「オール与党」の元締めとして、利権・汚職にまみれてきた事への反発の方が大きかったように思います。

 しかし、どうやらその認識は改めないといけないようです。
 最近読んだ「安倍政権のネット戦略」(創出版新書)という本の中に、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)の話が出てきました。自民党支持のネットユーザー(ネットサポーター、略してネトサポ)による後援会組織で、党からも正式な団体として公認されています。ネット選挙解禁にちなんで立ち上げられた組織で、公称1万人もの会員を擁しているのだそうです。ウィキペディアの解説によれば、以下の様な組織なのだとか。

●団体データ

会員数:約1万人
事務所:自由民主党本部内(東京都千代田区永田町1-11-23)
主な機関 総会 - 最高機関。代表が招集する。定時総会は年1回。
企画会議 - 活動方針と活動内容を決定する。いわば役員会。代表と企画委員が参加する。

●役員

最高顧問 - 麻生太郎、谷垣禎一
相談役 - 小池百合子
代表 - 平井卓也(2010年11月- )自民党ネットメディア局長が兼任する。
事務局長 - 新藤義孝(2010年11月- )

●目的

自民党が2度目の野党転落で政権奪還に向けて党勢拡大、若者を中心とした新たな支持層の開拓や将来のネット選挙に備え設立された。規約には「夢と希望と誇りを持てる日本を目指す。この目的のため、自由民主党の一日も早い政権奪還及び日本再建を実現する」と抽象的に謳われている。この内「政権」については、2012年衆議院総選挙の結果により実現(第2次安倍内閣)している。

●会員

公式サイトによると会員資格は次の通りである。
1.「日本国籍を有する18歳以上の方(自民党籍の有無は問いません)」
2.「本会の目的に同意し、規約、プライバシーポリシーに同意できる方」

このように自民党員でも非党員でも会員になれることを謳っており、本クラブの会員登録しただけでは党員・党友にはならず、本クラブ会員資格には党総裁選の選挙権はない。会費は無料で、ウェブサイトから会員登録すると会員証が送付される。その性格上、日本全国に会員を抱える。団体の入会は受け付けていない。また、規約には「会員は本会の活動を自己の責任と負担において行う」とした免責条項があり、組織体でありながら入会しても無権利・無保証であることが予め決められている。
本クラブの設立総会参加者に対しては、麻生太郎が推薦人となって党員登録を受け付けた。入党すると従来の都道府県連や地域支部や職域支部ではなく「本部直轄党員」や「J-NSC支部所属党員」となる。

●活動

公式サイト上に会員専用の動画配信、電子掲示板が存在し、会員間の交流ができる機能がある。選挙時などにはビラ配布などの活動を行う。顔見知りでない者が日常的にネット上で交流し、特別な時に顔を合わせて活動するその形態は、パソコン通信やネット草創期の日本語コミュニティに多かった匿名文化とオフ会を髣髴とさせる。設立総会をはじめ、主要なオフ会はニコニコチャンネルの「自民党チャンネル」で生中継されている。

規約には次のように謳われている。
1.「党のパンフレット・ビラの配布およびポスティング活動」
2.「インターネット等を活用した各種広報活動・情報収集活動・会員相互の交流活動」
3.「党への提言」(以上、引用)


・・・とまあ、字面だけ見るとごく普通の後援会組織なのですが、実際の会員のプロフィールを見ると・・・もうネトウヨ(ネット右翼)そのものです。会員登録しないとHPから中にアクセス(ログイン)できないので、ネットの「まとめサイト」からの引用になりますが、今の安倍政権の動向から判断しても、実態をかなり反映したものではないかと思います。

●日本を思うごく普通の日本人。神仏に感謝をし、祖先を敬い、皇室を大切にする心をすべての日本人が持つことを望んでいます。現在の日本人、将来の世代が皆、日本に自信を持ち、日本の素晴らしさを誇りに思えるような国づくりに貢献できれば良いと思っています。J-NSC会員 Tweet無い方のフォローは正体不明につきブロックします。

●日本が大好きです!明るい未来が大好きです!左翼政治家は大嫌いです!偏向メディアは信用してません!家族に愛を!地域に活力を!真の世界平和を!J-NSC会員 ※多忙に付き@は全て返しきれません!

●今、誇りある大和民族の逆襲が始まった。気を引き締めて、国内外の敵に立ち向かおう。麻生太郎氏を敬愛する。J-NSC会員&自民党員。嫌中嫌韓。

●日本を愛す故に現在の状況を憂いています。反日、在日に乗っ取られ真の日本人が差別を受けている不公平を是正しよう!J-NSC:靖国神社崇敬奉賛会:好き:日本・皇室・櫻井よしこ・金美齢・親日台湾人・チベット。嫌い:韓国・中国・自虐史・歴史歪曲・マスゴミ・日教組・民主党・左翼・創価。日の丸を見ただけで右翼扱いするゴミは消えろ!

●大日本帝国の復活と、朝鮮半島・満州の日本領土復帰を願っています!愛国心の無い、売国企業・売国奴を徹底的に糾弾したいと思っています。支那人・朝鮮人になめられない日本人に!J-NSC会員・靖国神社崇敬奉賛会正会員・在特会会員 打倒日教組・打倒民主党・打倒日本維新の会・打倒日本共産党・打倒社会民主党!

●日本人であることに誇りを持ち、武士道精神をもって、日本が「日いづる国」であリ続けるよう祈念する。常に紳士たらんと心がけ、友を大事に女性に優しく男には厳しい、巨人・大鵬・卵焼きの典型的団塊おやじ 櫻井よしこ氏の考えに強く賛同する J-NSC会員

●反日!特亜人出て行け!人権擁護委員法案断固阻止!外国人参政権断固反対!国を護る「脱亜論」 福沢諭吉#安倍政権復活!反日国家!反日移民受け入れ断固阻止!全拉致被害者を救え!自衛隊及び予備自衛官OB JDA&J-NSC会員 最後の砦#安部総理の足を引っ張る議員は落選させよ#反原発左翼#反日nhkcctv粉砕#天皇陛下万歳!

●外国人地方参政権には絶対に反対です。 自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)会員です。 靖国神社崇敬奉賛会の会員でもあります。my日本にも登録しています。 日本を守る、それだけを考えています。 打倒民主党、打倒中国韓国北朝鮮、打倒偏向報道のマスコミ。


 何か読むだけで頭がクラクラしてきます。
 勿論、これらの人たちだけで自民党が構成されている訳ではないでしょう。今でも78万人(2012年8月時点)からいる自民党員・党友に対して、僅か1万人かそこらの、それもネットユーザーに限定された後援会組織ですから。でも、そのたかだか1万人かそこらの組織でも、安倍政権から重宝されていたらどうでしょう。今の安倍政権は、地方の末端党員の声よりも寧ろこちらの影響力の方を重視しているように思います。
 だから、あんなにマスコミ対策に躍起となっているのでしょう。従軍慰安婦の事を取り上げた番組の内容に介入したのを突破口に、自分の息のかかった人物を次々とNHKの会長や経営委員に送り込み、民放や新聞社の経営陣とも料亭で会食を重ねているのです。秘密保護法も無理やり成立させたのです。
 集団的自衛権の憲法解釈をめぐる議論にしても、今の安倍政権の突出ぶりは異常です。「どんな解釈でも首相の一存で出来る」というのであれば、もはや法制局長官も最高裁判所も要りません。国会の違憲立法審査権も在って無いようなものです。これではもはや三権分立ですらない。幾ら口先だけ「我が国も民主主義や立憲主義(憲法・法律による権力抑制)などの普遍的理念を共有する」と言っても、実際は今の北朝鮮・中国やロシアとも寸分違わないじゃないですか。中国でも口先だけだったら幾らでもこれ位の事は言いますよ。

 そう言えば近年、原発問題などで政府に批判的な意見をブログやツイッターに書き込んだら、それに難癖をつける投稿(所謂「荒らし」投稿)がやたら目につくようになりましたね。その手の投稿は、小泉構造改革や北朝鮮拉致事件、イラク日本人人質事件に関する議論がネットで盛り上がった頃から徐々に目立ち始めていました。最近も、先の関東甲信越豪雪に対する政府の不手際を批判する意見に対して、逆に批判者を揶揄する事で政府の無策を隠蔽するような投稿が散見されました。今まで私はそれを主にネトウヨの仕業だと思っていましたが、実際はそれだけではなく、自民党サポーター(ネトサポ)によるものも大分あったのではないでしょうか。

 こんな組織が幾ら下記に引用する様に『J-NSCを騙る人種・民族差別発言』に苦言を呈したとしても、参院選前のアリバイ作りとしか思えません。本当に自民党広報本部が言う様に「断固たる対応」をしていたのであれば、上記のヘイトスピーチてんこ盛りのような人たちばかりにはなっていない筈です。(尚、この引用も前述した理由でネットからの孫引きになります)

【J-NSCニュース】みなさんへのお願い『J-NSCを騙る人種・民族差別発言』について(2013.4.11)

実は近頃、ツイッターやネット掲示板上で、J-NSC会員を名乗ったり、あたかもJ-NSCに関連があるように装ったうえで、根拠なき人種・民族差別や誹謗中傷を内容とする投稿や書き込みをよく見かけるとのご指摘をJ-NSCメンバーからも、一般の方からも多数いただいています。
あらためて申し上げるまでもなく、J-NSCは断じて、人種・民族差別や誹謗中傷をよしとする団体ではありません。
夢と希望と誇りの持てる私たちの『日本』をともに創り上げたい!という高い志とネット上にあふれている情報から正しい情報を選びとり、蓄積・発信する高い能力を用い、自らの手で日本を支えようというのがJ-NSCの理念です。
その中で議論や批判を受ける時があるかも知れませんが、他者を排除するのではなく、議論を挑むべきは挑み、批判を受け入れるべきは受け入れる。これがJ-NSCのあるべき姿と考えています。
そのようなJ-NSCのあり方に対し、最近目にするJ-NSCを騙った投稿や書き込みは、メンバーの一人ひとりが積み上げてきた活動や、培ってきた信頼を貶める行為です。J-NSC事務局は、このような『騙り』に対し強く自粛を求めていきます。
メンバーのみなさんにも、このような状況をご共有いただきますようお願い申し上げます。
安倍政権発足以来、みなさんのご支援おかげで高い支持率を保つことができています。自民党は現状に慢心することなく、日々一層、日本のために活動を練磨して参ります。今後とも変わらぬご支援をどうかよろしくお願いします。(以上、引用)


 今や日本はこんな輩に政権与党が牛耳られているのです。確かに主導しているのは僅か1万人かそこらのネット後援会員です。それらに対する反発も党内に広がっている事は、自民党元幹部の古賀誠や野中広務が「しんぶん赤旗」紙上で党の右傾化に懸念を示している事からも窺えます。しかし、その声も今のままでは安倍・石破執行部に対する愚痴にしかなりません。
 今や自民党は「日本のナチス」に成り下がりつつある。「日本を北朝鮮から守れ」と言っている連中が、実は北朝鮮と一番体質が似通っている。「マスコミの言う事を信じるな」と言っている連中が、一番ナチスばりの洗脳にかかっているのですから、もはやお話になりません。
 今までは、ともすれば「維新の会」とか、ネトウヨの「在特会(在日特権を許さない市民の会)」とか、そういう過激で目立つ極右にばかり注意が行っていましたが、本当はそれ以上に「自民党の右傾化」を警戒しなければなりませんでした。我々も今後はそのつもりで対応していかなければならないようです。


2012年衆院選、東京・秋葉原での自民党安倍総裁の街頭遊説を迎える日の丸の群れ


今年3月のJリーグ公式戦で浦和スタジアムに掲げられた元在日選手への嫌がらせの「日本人以外お断り」弾幕

安倍政権のネット戦略 (創出版新書)
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創出版
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暴走老人のファシズムが日本を滅ぼす

2014年03月10日 22時42分33秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
婦人公論 2014年 3/22号 [雑誌]
クリエーター情報なし
中央公論新社


 先日、仕事帰りにふと立ち寄ったコンビニで、雑誌「婦人公論」最新号の表紙に目が釘付けになりました。「面倒な親との関係に、折り合いをつけたい~老いのわがままにどう向き合うか~」という特集記事の見出しが、否応なく目に飛び込んで来たので、思わず買ってしまいました。私が婦人雑誌を買うのは、もう数年前に学校給食費未払い問題で「女性のひろば」という雑誌を買って以来です。
 それと言うのも、私自身が似たような問題を抱えていたからです。この事は、既にブログで「親父のサプリ依存症」「続・親父のサプリ依存症(追記あり)」の2つの記事に書きました。興味のある方はそちらも読んでいただければ助かります。

 その特集号では「親が年を重ねるにつれ、言動に違和感を覚えることはありませんか。やけに怒りぽくなった。口を開けば愚痴ばかりこぼす。お金やモノへの執着が強くなった……変わりゆく親の態度に振り回される日々のなか、ちょっと立ち止まって限りある親子の時間を少しでも穏やかにする心の持ち方について、考えてみませんか。」とのキャッチで、「いつもより少し帰りが遅くなっただけで理由を問い詰められる」「商品の値段が高すぎると店員にあたり構わず食って掛かる」「何気ない一言でも年寄り扱いするなと怒鳴られる」といった事例が紹介され、その対処法について書かれていました。
 その中でもとりわけ私の目を引いた記事が、佐藤眞一・阪大教授の言う「老年行動心理学から見た高齢者の3つの特徴」です。佐藤氏によると、たとえ認知症を患っていなくても、高齢者には大なり小なり次の特徴がよく見られるのだそうです。

(1)「楽観的でクヨクヨしなくなる」。一見すると積極的に人生を謳歌しているかの様だが、実際は、楽しかった思い出だけが頭に残り、嫌な事、辛かった事は余り覚えていないだけ。これは「嫌な事は出来るだけ忘れ去ってしまいたい」とする無意識の防衛反応の現れ。注意力・記憶力に限界が見えてきた中で、なるべく楽しく過ごす事に精神を集中しようとしているだけの事。寧ろ余生を生き抜くために必要な変化である。

(2)「自己中心的でわがままになる」。自分の事しか眼中になくなり、例えば電車内でも人を押しのけてでも我先に座席に座ろうとする。傍から見れば「自己チューのわがまま」以外の何物でもないが、これも若者の「歩きスマホ」と同じで、単に周囲の状況に目が行き届かなくなるだけの事。(プレカリアート注:まあ、仕方ないと言えば仕方ないのだろうが、実際にこれが老人ストーカーの増加などの目に見える形で現れて来ている以上、決して放置出来ない問題だと思う)

(3)「プライドが高く頑固になる」。自動車の運転を代わろうとすると「年寄り扱いするな!」と怒鳴られたり。しかしこれも、自分でも身体が衰えてきた事に薄々気づきながらも、前向きに余生を送る為には一定そうならざるを得ない面がある。

 今まで親と過ごしてきた子供は、上記の親の変化に戸惑い、どうしてよいか悩むのだそうです。何だ、悩んでいたのは私だけではなかったのです。
 佐藤氏に言わせると、それもこれも、子ども世代の親世代に対する過剰な期待から来るものだそうです。ひと言で言えば「親に完璧を求めすぎるな」という事。親も生身の人間。老いれば判断力も低下するし頑固にもなる。でも、それは誰にでもある事で、それを疎ましく思っている今の子どもも、親と同じ年代になれば同じようになるのだ、と。前述の私のブログ記事でも登場した「明和うる子」さんの表現を借りれば「子どもに帰っていく」のだそうです。

 だから、それにいちいち目くじらを立てていても仕方がない。寧ろ元気でわがままな分だけ、まだマシだと思わなければならない。今は頑固に意地を張っていても、更に身体機能が衰え、認知症も患うようになれば、否が応でも子どもを頼るようになる。もうその時分には子どもも親を冷静に見れるようになる。まかり間違えても、親のそういう態度を「自己チュー、頑固」と切って捨ててはいけない。そんな事をしたら、親はますます孤立して意固地になってしまう、と。
 私にとっては正に「目から鱗」でした。一時期なぞ、親父のサプリ依存症や自己チューな所を是正する為には、サプリメントの箱を親父の目の前でぶちまける等のショック療法も必要かなと思ったりもしていましたから。それでは寧ろ逆効果にしかならないという事も、この特集記事を読んで初めて分かりました。

永遠の0 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社


蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


 ここで、また別の社会的視点からこの問題について考えてみます。佐藤氏が述べた「高齢者の3つの特徴」である(1)嫌な事は都合よく忘れ去る、(2)自己チューでわがまま、(3)プライドが高く頑固って、何も親子の断絶や高齢者だけに限った事ではないでしょう。日本の保守的な政治家や財界人の思考回路そのものじゃないですか!南京大虐殺や従軍慰安婦も、沖縄戦・原爆・空襲の被害も、治安維持法などの弾圧の歴史も全て都合良く忘れ去り、やれ「日本人の絆」だの「昔からの伝統」だのと、そんな事ばかり言って自分を慰めゴ誤魔化し。自己チューでわがまま、プライドばかりやたら高くて傲慢な石原慎太郎なぞ、この3点とも全てにおいて該当する典型例じゃないですか!
 石原だけでなく、安倍晋三や橋下徹、百田尚樹、田母神俊雄などの保守系政治家・文化人や、渡辺美樹、籾井勝人(現・NHK会長、元・米国三井物産・日本ユニシス社長)などの経営者などに全て共通する特徴じゃないですか。

 安倍や橋下、籾井も、石原と同等の右翼で、「集団的自衛権の憲法解釈は俺様が行う」「自分の勝手な都合で市長を辞めてまた再選挙」「公共放送NHKも俺様の思い通りに支配する」の自己チュー・ワガママで、プライドばかり高くて傲慢という点では、全く同じじゃないですか。
 百田尚樹のベストセラー「永遠の0」も、あれは決して反戦小説なんかじゃありません。幾ら所々に主人公の生への執着や軍上層部の腐敗、上官の横暴・理不尽さなどが描かれていても、最期には主人公は特攻隊のパイロットとして「潔く」死んでいくのですから。玉砕を否定する主人公の生き様や横暴で理不尽な上官も、結局は特攻の死を美化する「引き立て役」でしかないのです。もし「永遠の0」が反戦小説なら、それを書いた百田が安倍や石原と同じ様な発言を繰り返す筈がない。
 渡辺美樹の経営するワタミの様なブラック企業も、何も小泉構造改革や派遣切りの頃から急に出てきたのではなくて、戦前の「蟹工船」の昔からずっとあった話じゃないですか。戦後の高度成長の陰に隠れて表に出て来なかっただけで。今の中国人や日系人、東南アジア系外国人の労働問題も、昔の朝鮮・中国・台湾人に対する扱いと何ら変わらないじゃないですか。

 先の「婦人公論」で取り上げられていた処世術は、いわば庶民同士の個人的な親子関係に限定された話です。でも、石原や安倍、橋下らは決して庶民なんかじゃない。我々庶民を強大な政治力・経済力で力づくで支配している権力者です。「子どもに帰っていく」なぞと言って甘やかしていたのでは、後でとんでもない目に遭います。別に「完璧な人間」でなくても良いから、最低限の「民主的マナー」「市民としての常識」は持ち合わせてもらわないと困ります。
 しかし、そんなマナー、常識を持ち合わせていたら、先に述べた様な夜郎自大な態度には出てこない筈です。ところが実際は「暴走老人」よろしく傍若無人に振る舞っています。この傍若無人の横暴を政治的に表現した言葉がファシズムです。戦後生まれの安倍や橋下も、精神構造は石原と同じ「暴走老人」です。こんな輩には早急にお引き取り願わなければ、そのうちに日本自体が滅亡してしまいます。お引き取り願わなければ我々の手で引きずり下さなければなりません。
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人権不在の道徳教育なぞクソ食らえ

2014年02月25日 23時28分25秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権


 この4月から小中学校で道徳を正式な教科として教える事になったそうです。それまでも道徳の授業はありましたが、正式な教科として教えられていた訳ではありませんでした。だから正規の検定教科書もなく、「心のノート」という副読本を教科書代わりに使っていただけでした。その4月から使われる「私たちの道徳」という教科書の内容が文部科学省のHPでも公開されていますので、是非ご覧下さい。どれだけ下らない教科書かよく分かります。

 もう建前論のオンパレードです。例えば、小学校低学年の最初の単元で、「早寝早起き、朝ごはん」という事が強調されています。確かに「早起きは三文の得」と言います。夜更かしするよりも朝早く起きる方が、頭もシャキッとするし勉強も仕事もはかどります。朝ごはんも欠かさず食べた方が良いに決まっています。でも、今の格差社会の日本では、そんな事が出来る家庭ばかりではないのです。
 両親とも共働き、両親とも非正規雇用で、夫婦合わせても年収2~300万円行くか行かないかというカツカツの生活で、場合によっては母子家庭だったり、親が失業中だったり、生活保護受給者だったりで、学資も満足に払えない、学用品も満足に買えない親の子どもが、そんな生活なぞまともに送れる訳がないでしょうが。ひょっとしたら、両親の勤め先がブラック企業で、朝早くから夜遅くまで働かされていて、休日も出勤させられていたとしたらどうでしょう。下手すれば食事する時間すらなかったりする。「一体いつ寝てるの?」という状態の親子に対して、こんな建前論だけを振りかざされても、何の役にも立たないでしょうが。
 本当に本心から「早寝早起き、朝ごはん」が大事だと思うのであれば、ブラック企業で酷使されている親やその子供を、更に追いつめるような、こんな虐めみたいな事なぞせずに、ブラック企業的な働き方をなくす事の方が、はるかに実効性があるのではないですか。それこそが真に道徳的な態度ではないでしょうか。

 この教科書、一事が万事こんな調子です。「決まりを守れ」「節約しろ」「責任感を持って行動しろ」「自然環境を守れ」「自分の事ばかり考えるな」といったお説教ばかりが書かれていますが、そんな事幾ら俺らばかりに言われても、全然納得が行きません。
 反対意見がうっとうしいからと言って国会で秘密保護法の強行採決をしたり、自分の都合の良いように好き勝手に憲法解釈を変えたり、政治を私物化して気に入る結果が出るまで何度も出直し市長選挙をやったり、必要な病院や保育所は後回しにして無駄なダムや高速道路ばかり作ったり、JR福知山線事故や福島原発事故の責任も満足に取らずに、豪雪被害が出てるのに何も対策を取らずにオリンピック選手に電話して自分の人気取りばかり考えたり・・・そんな首相や大阪市長、JR・東電やブラック企業の経営者には何もおとがめなしで、何で俺らばかりに説教されなあかんねん。
 国民にばかり「きまりを守れ」とか偉そうに説教たれるなら、その前にブラック企業労働やサービス残業を止めさせろよ。そう思いません?こんな教科書、幾らアンケート形式の質問を取り入れる等して現代風に装っても、本質的には戦前の修身教科書と何ら変わりません。

 そして、偉人の伝記が一杯出て来るけど、その偉人の捉え方も非常に平板で一面的。例えば小学校高学年で習う野口英世。子供の時の大やけどで左手が不自由になったが、それに負けじと努力したお蔭で、立派な細菌学者になり、黄熱病の病原菌も突き止める事が出来ました。皆さんも野口英世博士を見習いましょうと。でも、それは野口英世の一面でしかありません。実際の野口英世は、貧しさや手が不自由だった事への反発から、放蕩癖(ほうとうへき=遊び癖)が身についてしまい、それを借金でまかなうようになってしまった。そういう一面もあるのです。本当に野口英世を理解するには、そういう一面も知った上で、何故彼が貧しさや手の障害に負けてしまったのか、放蕩癖から足を洗う為には何が必要だったのかまで理解しなければ、彼の本当の偉大さも分からないのではないですか。
 それを、政府が自分にとって都合の良い一面だけを取り上げて、それを国民支配の道具に利用するだけでは、余りにも野口英世も国民もバカにした態度だと思います。

 しかも、一つ一つの事象についての捉え方も、余りにも政府にとって都合の良い、非常に偏ったものでしかない。
 例えば自由についても、自由の何たるかも教えずに、いきなり「自由には責任を伴う」なんて言われても、大人の私ですら面食らってしまうのに、子供にその意味なんて理解できる筈がない。(小学校高学年用の単元「1.自分をみがいて―(3)自律的で責任ある行動を」)
 みんな今何気なしに当たり前の様に使っている「自由、平等、平和、人権、民主主義」と言った言葉も、ごく普通に使えるようになったのは戦後になってからでしょうが。確かに戦前でも、そういう言葉はあったし、選挙や議会もありました。でも、みんな実際はおっかなびっくり使っていたのではないでしょうか。だって、「神」である天皇を自由に批判する事なんて出来なかったのだから。戦争反対や共産主義なぞ主張しようものなら即ブタ箱行き、下手すれば死刑にされた時代です。
 それに、当時は労働基準法も最低賃金制度も生活保護も奨学金制度もありませんでした。婦人参政権なんて認められていなかったし、労働者のストライキ権も認められていなかった。アジア・アフリカ諸国の大半も大国の植民地として搾取されていた。
 そんな中から、多くの犠牲を払って、ようやく今の状態まで持ってきたのです。自由も平等も、まだまだ十分ではないけれど。その大切さをまず教える方が先でしょう。それを先にきっちり教えてこそ初めて、「自分の権利を守ると同時に、他人の権利も尊重しなければならない」という事も理解できるのに。
 その最も肝心な事をすっ飛ばして、いきなり「自由には責任を伴う」なんて言われても、「はあっ?」としか言いようがないでしょう。これでは教える順序がまるであべこべです。

 何故こんな本末転倒がまかり通るのか。政府が、幾ら口先だけ「自由、平和、民主主義を守る」と言っても、本音ではそれを疎ましく思っているからです。だから、一応それらは認めるけれど、いざ国民がそれらの権利を行使しようとすると、「自由には責任が伴う」とか何とか言って脅しに出て、出来るだけそれらを行使させないようにしているのです。「自由や権利を尊重する」と口先では言いながら、実際は国民の事を奴隷か何かのようにしか思っていないからです。
 そうでなければ、こんな事は言わないし、そんな事ばかり書いた教科書で道徳の授業なぞしたりしません。偉人の伝記も、こんな当たり障りのない(実はものすごく政府にとって都合の良い一面的な)描き方、取り上げ方なぞはしません。マザーテレサやオリンピック選手や宇宙飛行士だけでなく、田中正造とか、そういう時の権力に歯向かってでも弱い者の人権を守った人物も、もっと分け隔てなく取り上げる筈です。

 でも、こんなクソみたいな道徳の教科書で、幾ら「クラスから虐めを無くしましょう」なんて教えた所で、絶対に虐めはなくなりません。逆にますます陰湿化するだけです。
 だって、教師自ら先頭に立って、「建前と本音の使い分け」をしているのですから。これだけブラック企業的な働き方が蔓延しているのに、労働基準法の知識もまともに教えず、バイトにも有給休暇の権利がある事すらまともに教えずに、幾ら口先だけ「自由、平和、人権を尊重する」と言われても、誰がまともに信用するか。実際には自由も平和も人権も民主主義も全部「有名無実化」しようと企んでいるくせに。「建前と本音の使い分け」「ウソも方便」「面従腹背」がますます酷くなるだけです。
 秋葉原の無差別殺傷事件やアクりフーズの農薬混入事件のような事が全国各地で頻発し、毎年3万人も自殺者が出ているのが、その何よりの証です。こんなクソみたいな道徳教育やっていたら、最後には子供から思いっきり復讐されますよ。この際はっきり言うといたるわ。それが嫌なら、こんなクソみたいな教育なぞ即刻止めて、もっと国民の人権を尊重する、民主的な政治や教育をすべきです。豪雪被害を見捨てながら人間の絆を説いたり、原発を推進しながら自然保護を説くようなエセ道徳教育なぞ即刻中止して。
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続・福島・沖縄の次は山梨も見殺しか

2014年02月21日 20時56分50秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権




 以下、IWJの下記記事より引用。

【検証:大雪災害】「白い恐怖」に背を向けた、首相官邸の主・安倍総理の優雅なるウィークエンド

(前略)
 2月14日(金)から、15日(土)、16日(日)の週末、関東甲信越は記録的な大雪に見舞われ、関東・甲信越・東海から東北・北海道にかけて広い範囲で甚大な被害をもたらした。
 予想を遥かに超えた積雪により、各主要道路、私鉄各線は数日間にわたりストップし、物流は壊滅。車や電車は立ち往生し、中に何千人もの人が何日も取り残される事態となった。雪で陸路が遮断された限界集落などでは、各地で数千世帯が孤立した。未曾有の雪害である。
 降雪がおさまったのは明けて17日(月)になってから。自衛隊や地元土建会社、各自治体の職員や国交省事務所などによる懸命な除雪作業が行われ、徐々に道路・鉄道網が復旧し、数日ぶりに帰宅の途につく人の朗報が相次いだ。
 政府が本格的に動き出したのは18日(火)になってからである。14日から開いていた「関係省庁災害対策会議」に初めて安倍晋三総理が参加。「豪雪非常災害対策本部」に格上げし、自衛隊の大幅な強化や、ライフラインの復旧、今後孤立による凍死などの犠牲者を出さないことなどが、対応策として示された。
 被害が出始めてから、4日も過ぎてからである。
 14日以降、大雪による直接的な負傷者は365人、死者は、交通事故を除き8県で19人にも上っている。
(中略)
 雪の重みで倒壊した屋根の下敷きになったケースのほか、立ち往生した車内で一酸化中毒や凍死で亡くなったり、帰宅途中に凍死したケースなどがある。もし十分な注意喚起がなされ、適切な情報が伝えられていたら、防ぎえた死だったのではないだろうか。

(中略)

 14日12時30分、迫る大雪に備え、内閣府で関係省庁災害警戒会議が開かれた。この会議は古屋圭司防災担当大臣が中心となった会議で、安倍総理は出席していない。ネット上では一部の安倍支持者の間で、14日の時点から安倍総理が陣頭に立ってリーダーシップを発揮していたかのような主張がみられるが、それは事実と異なる。
 14日の首相動静によると、この会議が行われていた昼間は、安倍総理は官邸と国会を行き来し、基本的には官邸で様々な人間と会っている。内閣府には移動していない。また、この会議の配席図をみても、安倍総理の席はもちろんどこにもない。

(中略)

 15日時点で、各地の被害状況などの情報が、官邸に届けられなかったのかといえば、そんなことはありえない。我々がTwitterで @iwakamiyasumiと、@iwj_sokuhouで情報の集約を呼びかけ、収集した限りでも、15日深夜から16日朝にかけて、立ち往生した車や電車からのSOSの声、ライフラインが切断された家屋に閉じ込められた方からの悲鳴など、救助を求める通報が止まなかった。
 各自治体の役場、警察、消防には助けを求める多くの電話がひっきりなしに鳴り続け、パンク寸前だった。
 実際に16日日曜日に開かれた「関係省庁対策会議」では、気象庁からは予想を遥かに上回る積雪の報告、国交省からは死者・負傷者数、通行止めとなった道路や鉄道の状況、車や電車の立ち往生などの被害状況も報告されている。
 さらに防衛省からは、15日から16日にかけて各県から自衛隊の災害派遣の要請があり、出動した旨も報告されているのだ。資料を見ると、最初に要請があったのが山梨県で、15日の11時20分。続いて新潟県、長野県、福島県が、明けて16日10時20分には東京都も派遣要請を出している。
 この時点で、今回の雪害が日本各地の都道県にまたがる未曾有の事態で、多くの国民の命に関わる逼迫した状況であることが、誰の目にも明らかだった。しかし、政府は対応を怠った。国民に向け注意喚起や適切な情報提供をしなかったのだ。

(中略)

 こうした災害に際し、各自治体、各省庁からあがってくる情報を集約し、即時に対策を講ずる役割を担う首相官邸は、この14日金曜日から17日月曜日の4日間にかけて、どのように動いたのか。
 驚くべきことに、官邸は(少なくとも国民に対して)一切の情報発信、対応を行っていない。
 首相官邸のHPを見ると、新着情報には2月15日に「安倍総理は羽生結弦選手へお祝いの電話をかけました」とするリリースが出ているだけで、17日の「安倍総理はアメリカ合衆国のエド・ロイス下院外交委員長一行による表敬を受けました」とするリリースまで、何も発信していない。
 平時における民間企業の週末のごとく、非常時だというのに、官邸は総理以下広報スタッフに至るまで、のんびりと休みをとっていたとしか考えられない。それどころか、週が明けても17日月曜日には雪害については何もアナウンスがなく、雪害に関するリリースを出しているのは2月18日火曜日の「総理指示(豪雪による災害に関して)」が初めてである。
 またTwitter上には首相官邸のアカウントとは別に、官邸からの災害情報を専門に届ける @Kantei_Saigai というアカウントが存在する。フォロワー数は96万人を超えているが、それだけ災害時の官邸からの情報発信を信頼し、重要視している証拠である。しかし、この官邸の災害アカウントも、ほとんど沈黙した。

(中略)

 一番事態が切迫した、14日~16日にかけては、1ツイートも情報発信を行なっていない。一体何のための災害アカウントなのか。被害が出始めた15日未明には既に、このアカウントに対し、情報発信や救援を求める声、災害対策本部の設置を求めるツイートが数多く届いていた。
 少なくとも、16日日曜日には内閣府の対策会議が開かれ、情報がある程度集約されているのだから、それに基づいた何らかの情報発信は可能なはずである。一体なぜこの災害アカウントが機能しなかったのか、理解に苦しむ。
 首相官邸のFacebookも同様である。この雪害について初めてコメントを投稿したのは、週が明けて17日月曜日になってから。それを見ると、「政府は、降雪前の14日から、関係府省が集まり事前対策の確認等を行い、被害発生後においては、警察や消防が救助や交通誘導などの初動対応に当たるとともに、国土交通省と自治体などが協力して懸命の除雪作業を行っています。15日からは、災害派遣された自衛隊が物資輸送や除雪などを行っており、今後とも、関係府省が一体となり、一刻も早い解決に向けて取り組んでいきます」などとある。
 政府は実は14日の時点から対策に乗り出していたのですよ、と主張したいのだろう。であるならば、なぜ14日・15日・16日の時点で被災者へ向けて具体的な防災情報や避難情報を発信しなかったのか、理解に苦しむ。アリバイ作りのコメントと批判されても仕方がない。先述したように、14日の時点の会議に、あたかも安倍総理が出席していたのではないか、というような「誤解」が一部に生じたのも、このあたりにあるのではないか。

(中略)

 予想を遥かに超えた雪害に見舞われていた15日、安倍総理は官邸で午後2時35分、ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子で金メダルを獲得した羽生結弦選手を電話で祝福し、午後2時54分には東京・富ケ谷の私邸に帰っている。
 内閣府でもようやく対策会議に乗り出した16日には、安倍総理は午前中から夕方までを私邸で過ごし、午後5時49分には東京・赤坂の高級天ぷら料理店「楽亭」で支援者らと会食し、午後8時5分には官邸に立ち寄ることなく帰宅している。
 もちろんこの間にも、安倍総理のTwitterアカウント @AbeShinzoや、Facebookには、被害の深刻な状況や、対策本部設置を訴える声、何らかの情報発信をして欲しいという要望が、数えきれないほど寄せられている。
 もし本人がつぶさにチェックできなかったにしても、秘書や広報スタッフはこうした声を確認できたはずである。彼らの中に、総理に進言する人間はいなかったのだろうか。それとも安倍総理の取り巻きは、そろいもそろって、何千人もの人間が雪の中で孤立していた時に、何の危機感も抱かず、のんびりとした週末を過ごしていて、総理に進言することを誰も思いつかなかったのだろうか。

(中略)

 実際には15日土曜日の夕方には、山梨選出の国会議員たちが超党派で、政府に対策を訴え始めている。15日15時37分にはみんなの党・中島かつひと議員が、政府に対し緊急対策を実施するよう要請し、それに対し菅官房長官から「しっかり対応します」との返答を受けていたことを、18時41分にTwitterで報告している。当然この15日夕方時点で、菅官房長官から安倍総理に対し報告がいくはずである。
(中略)
 また、自民党の宮川典子議員 @norikomiyaも、古屋防災担当大臣にコンタクトを取ったことを23時24分にTwitterで報告している。このように、山梨選出の議員から再三にわたり政府中枢に強い要請が行われているのである。
 さらに、前述したように菅官房長官は18日火曜日の会見で、「首相の指示で古屋圭司防災相がしっかり対応している」と語っており、首相官邸のFacebookでも、政府は14日からしっかり対応している、と強調している。まるで、安倍総理も14日から対応を練っていたかのような言い振りである。
 にわかに信じがたいが、それが仮に事実であるならば、安倍総理は被害の深刻な状況を把握しながら、自身のTwitterやFacebook、首相官邸を通しての情報発信をことごとく怠り、非常災害対策本部の設置を遅らせてしまったということになる。そうなると「知らなかった」ではすまされない。「不作為」というレベルを超えて、安倍総理は深刻な事態を知っていながら拱手傍観していたことになる。

(中略)

 では、安倍総理という人物は、もともと非常時に反応できない人物なのだろうか。
 山梨県内のある自民党関係者A氏は、私の取材にこう答えた。
 「恨みは残ります。安倍総理は、もともと災害が起きた時に反応の鈍い人物なのかといえば、そうではない。昨年の夏、参院選後、総理の地元の山口県では、たいへんな豪雨に見舞われました。この時には、安倍総理本人も、山口県選出の議員たちもすぐにお国入りして、災害対策にあたっているんです。今回の対応とは大違いです」
(中略)
 「安倍総理がやりたいことは戦争準備だけなんだとよくわかった。自分の地元山口にだけは手厚く、他県ではこれほどの災害に見舞われようともこんなに冷淡でいられる。信じられない! 自民党の支持者でも皆、怒っています。山梨選出の12人の議員のうち、8人が今、自民党です。前回の衆院選で我々は新人3人を送り込んだ。だが、その新人の動きが鈍い。この点も不満です
 山梨の北部はもともと故・金丸信さんの地元で、いまだに北部は金丸さんの関係者の影響下にあります。旧経世会系が強い。一方、山梨の南部は富士急ハイランドの経営者の堀内光雄さんの地元で、宏池会が強い。安倍総理が属する清和会は山梨では弱い。だから冷淡だったのではともっぱらです」
 Aさんはそう語り、今回の安倍政権の対応に、自民山梨県連内部でも怒りの声があがっていることを繰り返した。
(後略)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/125934

 この問題を単に「総理の天ぷら会食の是非」だけに矮小化してはならない。主権者・国民を自己の野望実現の為の単なる「手駒、踏み台」としか見ない、安倍・自民党政権の本質が現れたものとして糺されなければならないのだ。
 そして私自身も、総理の天ぷら会食については知ってはいても、ここまで政府の対応が後手後手に回っているとは思わなかった。政府の対応は非難されて然るべきだが、自分もブロガーの端くれとして、もっと積極的に情報拡散に努め、政府に抗議しなければいけなかったと反省している。
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福島・沖縄の次は山梨も見殺しか

2014年02月16日 19時20分20秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権












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命拾いした選挙だった

2014年02月12日 10時31分14秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権


 東京都知事選の感想について書くつもりでいましたが、喉が痛くてそれどころではありませんでした。このままでは時機を逸してしまいますので、取り急ぎ言いたい事だけ端的に述べさせてもらいます。

2014年都知事選データ
・執行日:2014.2.9 投票率:46.14% (前回比-16.46ポイント)
・主要候補の得票数・率、新旧別・所属党派:
 ・舛添 要一 2,112,979 43.40% 無所属・新 自民都連・公明推薦
 ・宇都宮健児  982,594 20.18% 無所属・新 共産・社民・みどり・新社会推薦
 ・細川 護煕  956,063 19.64% 無所属・新 民主・生活・結いの党推薦
 ・田母神俊雄  610,865 12.55% 無所属・新 維新・新風推薦

 今度の都知事選挙では、やはり下馬評通り自公推薦の舛添が当選してしまいました。これを見て宇都宮・細川支持者の中には意気消沈している人も多いようです。私は「何を寝言を言っているのか」と思いますね。こんな稚拙な選挙戦を展開しておきながら、この程度の傷で済んだのですから、寧ろ「不幸中の幸いだった」「命拾いした」と胸をなでおろすべきではないでしょうか。勿論、これは皮肉で言っています。

 何故そう思うのかは、上記の得票データをご覧になられたらよく分かります。今まで一致して石原や猪瀬を推し、しかも労働貴族の連合まで手なずけて、毎回大量得票を重ねてきた保守陣営が、今回初めて舛添・田母神の双方に分裂したのですよ。分裂選挙になったのは何も左派・リベラルだけではありません。そういう意味では、左派・リベラルにとっては、今回は都政奪回の千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスだった筈です。そのチャンスを前に、自分たちも保守と同じ愚を犯した挙句に、舛添に勝利をかっさらわれてしまったのですから。

 寧ろ「勝ったのが田母神ではなく舛添でまだ良かった」と私は思っています。今の安倍政権・自民党の動向からすれば、田母神を推薦する方に回っても一向に不思議ではありませんでした。思想的には舛添よりも田母神の方が、安倍政権の「本音」に近いのですから。でも、猪瀬辞任に伴う急な選挙で他に適当な候補が見当たらず、「後の東京オリンピックの事を考えれば流石に極右の田母神では拙い」という事で、「とりあえず知名度があり一番勝てそうな舛添で今回は我慢しておこう」となったのでしょう。

 舛添にはかつての石原や猪瀬の様なカリスマ性や指導力はありません。それどころか、政党助成金流用疑惑や女性スキャンダルも抱え、いつ失脚してもおかしくない状況にあります。どうせ短命都政に終わるでしょう。その後で、たとえオリンピックや公明党との協力関係にはマイナスに作用しようとも、「今度こそ田母神だ」と自民党が判断した時に、それに対抗できるだけの勢いが今の左派・リベラルにあると思いますか。今のままでは確実に負けますよ。
 実際、上記のTBS選挙特番データによっても、20代有権者の10.5%、30代有権者の20.7%が田母神に投票した事が明らかになっています。もっとも、投票率が一番低かったのも20代ですから、そのうちの1割の動向だけで世代全体を決めつける事は出来ません。しかし、他の候補が全然食い込めていないのに、田母神だけが一定食い込める事が出来た事については、今後警戒が必要でしょう。

 では、石原・猪瀬亜流のネトウヨ(ネット右翼)やホリエモンみたいな奴らから都政を住民に取り戻す為に、左派・リベラルは何をすべきなのか。まずは現在の立脚点を冷静に分析すべきでしょう。そうすれば、宇都宮・細川の非保守2候補の得票合計が舛添票に肉薄している事が分かります。そんなに悲観すべき状況でもない筈です。いくら前日の大雪被害のなごりが残っていたとは言っても、選挙戦術如何によっては、もっと票の上積みは可能だったと思います。
 少なくとも候補者一本化に成功し、2007年都知事選と同じ54%まで投票率を引き上げる事が出来、その時に得票した浅野・吉田両候補の合計2,322,872票(得票率42.18%)と同じ数を押さえる事が出来れば、舛添に勝つ事が出来たのですから。

2007年都知事選データ
・執行日:2007.4.8 投票率:54.35% (前回比+9.41ポイント)
・主要候補の得票数・率、新旧別・所属党派:
 ・石原慎太郎 2,811,486 51.06% 無所属・現 自民・公明推薦
 ・浅野 史郎  1,693,323 30.75% 無所属・新 民主・社民・国民新党推薦
 ・吉田 万三   629,549 11.43% 無所属・新 共産推薦
 ・黒川 紀章   159,126  2.89%  諸派・新  共生新党公認

 その為には候補の一本化は不可欠ですが、単なる数合わせではなく真の団結・共闘が勝ち取られなければなりません。後から出馬したくせに「俺の方が知名度に勝っているからお前は降りろ」と一方的な態度を取ったり、自民・保守陣営とも本質的には変わらない専制・金権体質を温存したままでは、有権者の心を揺り動かす事はできません。
 公約のすり合わせも必要です。より多くの人に受け入れられる公約にしなければなりません。しかし、「すりあわせ」だけに目が行き、舛添や田母神ともそう変わり映えしない内容になってしまえば、都政奪還の意味はなくなります。都心の新富裕層の動向にも目を配りながらも、基本はやはり「かつての石原都政の様な独裁的で開発優先の政治とは縁を切る」「脱原発・反極右・反格差」を志向した内容にすべきでしょう。
 それを成し遂げなければ、また棄権の山を築く事になり、保守や極右に今後もずっと都政を奪われたままです。そして、開発偏重・金権まみれの弱者切り捨てで、ブラック企業やホリエモンみたいな奴らだけが潤い、庶民には「日の丸・君が代」や情報統制だけが押し付けられるだけです。たまたま今回は「命拾い」したからまだ良かったものの、今までと同じ様な事を繰り返していたのでは、今度こそ取り返しのつかない事になってしまうでしょう。
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続・もはや今度の都知事選には何も期待できない

2014年01月16日 22時51分04秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 東京都知事選での澤藤氏らの宇都宮候補批判に対して、「保守陣営を利するものでしかない」との意見があります。所謂「利敵行為」論です。実は私も、前回記事を書いた後、ある方から同様の意見をメールで戴きました。早速、私も自分の真意をしたためたメールをその方に返信させて貰いました。幸い、その方とは最終的に分かりあえる事が出来ましたが、これを機に、改めて前回記事を書いた真意をここに公開する事にします。

 私は、今回の件については、澤藤氏らの主張だけでなく、宇都宮陣営の言い分も聞かなければ公正なコメントはできないと思い、ネットで調べていました。
 でも、宇都宮氏は有力都知事候補でありながら自身のHPも持たず、後援会「人にやさしい東京をつくる会」HPにもなかなか反論が掲載されませんでした。ようやく掲載された先の「法的見解」も、抽象的な言い訳ばかりで、澤藤氏や醍醐氏の疑問に具体的に答える内容には全然なっていませんでした。

 まず第一に、「法的見解」には、最初に事件の発端となった澤藤大河氏など2名の随行員外し強行や、その背景となった選対の非民主的運営についての説明が、一切載っていません。選対を私物化し、街宣日程も当日にならなければ第一線の運動員には伝えず、現場からの人手不足解消を求める声にもまともに対応しなかった件です。それをずっと大河氏は指摘し続けていました。民主的な組織なら、ここで何らかの改善策が講じられる筈ですが、選対本部はずっと無視を決め込んだ挙句、最後には異論排除に打って出てきました。
 そして、候補者の宇都宮氏も、その選対の非民主的運営を是正するどころか、それを容認し寧ろ加担するかのような態度を取り続けました。最初は「大河氏たちには何の問題もない」と言っておきながら、後になれば周囲と口裏を合わすかのように大河氏たちの揚げ足取りを始める。これが果たして革新・民主の候補者のする事でしょうか。
 私は、ある意味、この非民主的運営への指摘の方が、後述の金権・企業ぐるみ選挙との指摘よりも重大だと思いました。何故なら、ここにこそ、宇都宮後援会幹部の「人にやさしくない」官僚的体質が現れていると思うからです。その現象としての現れが金権選挙です。

 そして第二に、金権選挙との批判に対しても、「法的見解」においては、「幹部が受け取った報酬は、ウグイス嬢などの機械的業務に対しては支払いが認められている労務費や、交通費・宿泊費などの実費支給に過ぎず、選挙買収には当たらない」との一般的な言い訳に終始し、「実費支給ならなぜ端数金額まで収支報告書に記載しないのか」「選対幹部の選挙運動まで機械的業務として処理できるのか」等の具体的疑問には何ら答えるものになっていません。
 選対事務局長が岩波書店から社員として給与を貰いながら選挙専従として約1ヶ月間張り付いていた件についても同様です。「法的見解」では告示日以降の17日間だけを取り上げ、「有給休暇で消化可能だから企業ぐるみ選挙には当たらない」と片付けています。しかし、では告示日以前についてはどうなのか。本当は、告示日以降であろうとなかろうと、業務外の選挙活動に業務命令で参加する(させられる)事自体が、企業ぐるみ選挙であり、個人の思想信条の自由を侵すものであるのに。

 そのくせ第三に、澤藤氏の妻が宇都宮氏の供託金を一時立て替えた事について、澤藤氏があたかもそれを宇都宮氏への人格攻撃に利用しているかのように書き立てています。実際は、宇都宮氏の借金が供託の為に必要に迫られたもので、何らやましいものでない事は、澤藤氏もブログで言及しており、その上で「何故借金したと正直に言わずに、自腹で供託したと同窓会で嘘をついたのか」と書いているだけなのに。(だから私も、こんな事は議論の本筋とは無関係なので、前回記事でも敢えて取り上げませんでした)
 そんな「どうでも良い事」で澤藤氏と論争する暇があるなら、第一で取り上げた選対の非民主的運営についての釈明をまずすべきだろうと思います。

 要するに、宇都宮氏も後援会幹部も、保守陣営の金権・腐敗や非民主的・権力的体質を批判しながら、自身も規模こそ違えど、それと同じ様な体質にまみれていたという事です。
 勿論、全てとは申しません。清廉潔白で真に弱者の味方として活動しておられる方も一杯いる事は私も知っています。でも、幹部の中には保守陣営と同じ様な体質が蔓延っている事が、今回の事件で露わになりました。しかも、宇都宮後援会には、共産党関係者だけでなく、過去には「共産党は非民主的・スターリン的」と罵ってきたような人(高田健氏など)や、無党派市民活動家(上原公子氏や内田聖子氏など)もいます。そういう人も含め、前述の体質にまみれていた事が明るみになったという事です。これは相当根が深い問題だと思います。 
 ソ連が何故崩壊したか、北朝鮮が何故あの様な独裁国家になってしまったのか、いずみ生協でなぜ経営私物化問題が起こったのか。その最大の原因は、いずれも当事国の国民や職員が、「私たちの国は労働者の国だから」「私たちの勤務先は民主団体だから」という理由で、実際の不正や人権侵害に目をつむってきたきたからでしょう。

 これについては、私自身にも忸怩たる思い出があります。生協に勤務していた当時、残業代は殆ど支払われておらず、大変な長時間労働とサービス残業が職場に横行していました。その実態を誰かが労働基準監督署に告発し、労基署から監査に入られた事がありました。その時に職制は何と言い訳したか。「労基署といえども国家権力の手先である、サービス残業摘発に名を借りた弾圧から生協を守らねばならない」という趣旨の事を言ったのです。そして「生協理事会としても決して長時間労働やサービス残業に手をこまねいている訳ではないが、その是正には時間がかかる」とも。しかし、実際には何人もの労働者が過労死させられていたにも関わらず!(私が退職するまでに、知っているだけでも4名)
 しかし、その頃の私は、その職制に内心反発を抱きながらも、「まずは生協を弾圧から守らねばならない」と思っていたのです。今にして思えば、何て能天気だったかと思います。労働者の人権や人命を平気で蔑にするような生協が、政府の憲法改悪・リストラ政策と本気で闘えるか?ズルしても競争に勝てれば良いという立場で、財界の新自由主義(弱肉強食)の考え方やブラック企業の搾取を本気で批判できるか?できる訳がない。その様な立場では、最後にはこれらの問題でも、組合員や国民を平気で裏切るだろう事は、容易に想像できるのに。

 私は何も、宇都宮氏の候補者としての適性だけを問題にしているのではありません。単に「演説が下手」等の技術的な問題だけなら、それを克服すれば良いだけです。直ぐには克服できなくても、場数を踏む中でいずれは解消される問題です。宇都宮氏の問題はそれに止まらず、選対の非民主的運営を容認し自らもそれに加担してきた所にあります。だから革新統一候補として不適格だと私も思ったのです。
 これらの両者の主張を見比べてみて、果たしてどちらの言い分の方が正しいかどうかを考えた結果、たとえ澤藤氏に息子の大河氏に対する親としての思い入れが多少あったとしても、澤藤氏・醍醐氏の主張の方にこそ分があると私は判断し、自分のブログでもこの問題を取り上げました。
 現実の不正や人権侵害に対しては、それが保守の国家権力や資本によるものであろうと、民主団体や革新政党によるものであろうと、あくまで人権擁護の立場で闘わなければならない。そうしなければ、最後には自分たちにもそのツケが必ず回ってくる。逆に、たとえ困難ではあっても、それを成し遂げてこそ初めて革新勢力の再生・復権も可能になると思います。
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もはや今度の都知事選には何も期待できない

2014年01月13日 23時14分57秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 今年2月9日投票の東京都知事選で、本来なら猪瀬・徳洲会献金疑惑追及の先頭に立つべき候補が、猪瀬同様の金権体質を抱えていると、かつての仲間から批判されています。澤藤統一郎氏や醍醐聰氏らによる宇都宮健児候補への批判がそれです。特に澤藤氏などは、ご自身のブログ「澤藤統一郎の憲法日記」で既に20本以上も宇都宮氏の立候補辞退を呼びかける記事を書いています。

 澤藤氏や醍醐氏による宇都宮氏批判の要点は概ね次の通りです。

(1)選対本部長(上原公子・元国立市長)や選対事務局長(熊谷伸一郎・岩波書店社員)など一部幹部による専断的な選対運営によって、翌日の街宣日程が前日になっても決まらなかったり、現場の人手不足がずっと放置されてきた。それに対して、宇都宮候補の随行員として選挙ボランティアに加わった澤藤氏の息子・大河氏が、選対事務局に何度もその問題でかけ合ってきた。選対事務局はそれに対し、改善するどころか逆に、大河氏ともう一人の随行員を、理由も明らかにしないまま、いきなり「臭い物に蓋」とばかりに随行員から外す挙に出た。

(2)その一方で、上原本部長は、公選法では買収供応として明確に禁じられている選挙報酬を、ウグイス嬢などの労務費(バイト料)や交通費・宿泊費などの実費支給に限り例外的に認められている規定を悪用し、違法に受け取り、政治資金収支報告書にも虚偽の記載をした。

(3)熊谷事務局長も、岩波書店社員として給与を貰いながら、有給休暇も使わず、選挙活動に業務として参加する「企業ぐるみ選挙」を行っていた。

(4)その他にも、選挙ボランティアを単に自分たちの手足としてしか見なかったり、ビラ配布中に不当逮捕された運動員の釈放・救援にもまともに取り組まなかったりといった、差別的な選対運営がまかり通っていた。

(5)自身も選対幹部として加わった父親の澤藤統一郎氏が、何度もそれらの問題点を内部で指摘してきたのに対し、選対事務局は今度は澤藤氏も選対事務局から排除するに至った。

(6)宇都宮健児氏自身も、前述の選対運営の横暴を何ら諌めず、事実上、見て見ぬふりでお茶を濁してきた。

(7)宇都宮氏自身の都知事候補としての適格性も甚だ疑問だ。選挙戦の最初から最後まで同じ内容の演説の繰り返しで、かみ合った論戦が全然できていなかった。

 それに対する反論が「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」の名で宇都宮後援会「人にやさしい東京をつくる会」の公式サイトに掲載されましたが、抽象的な言い訳に止まり、全然、具体的な反論になっていません。例えば、選挙報酬について、「あれは交通費や宿泊費等の実費支給に過ぎず、買収供応には当たらない」と反論していますが、それなら何故、実費なら必ず出る筈の千円以下の端数が一切計上されず、まるで判で押したように10万円ちょうどという、いかにも取って付けたような報酬金額になるのでしょうか。既に醍醐聰氏もご自身のブログでこの疑問に言及しておられますが、私も醍醐氏と同じ疑問を持ちました。確かに猪瀬・徳洲会の5千万円疑惑とは全然金額が違いますが、やっている事は全く同じです。

 これでやっと、前回2012年都知事選での宇都宮大敗の理由が分かりました。当時は猪瀬直樹が石原慎太郎の後継者として自民・公明両党に加え「維新の会」からも推薦を得て、同時に行われた衆院選での自民党圧勝の余勢をかって、433万票もの大量得票で早々と当選を決めました。
 それと全く対照的だったのが宇都宮健児氏です。こちらも猪瀬には及ばないものの、元日弁連会長や年越し派遣村の名誉村長、サラ金に対する過払い金返還訴訟のリーダーとして、それなりに知名度がありました。それに加え、これまで同氏を支援してきた共産党だけでなく、社民党や緑の党、菅元総理など民主党の一部からも支援を得て、かつての革新共闘に近い体制で選挙に臨んでいました。東京都民ではない私も、この選挙にはかなり期待していました。
 ところが、いざ蓋を開けてみると、事実上の革新共闘が成立していたにも関わらず、僅か96万票しか得票できませんでした。得票率も僅か14%余りです。これが地方の知事選なら寧ろ善戦との評価になるでしょうが、仮にも大都市・東京で、民主党左派や革新無党派も加えれば今でも150万票ぐらいの潜在的リベラル票が存在する筈なのに、何故たった96万票しか得られなかったのか。確かに、衆院選挙との抱き合わせで都知事選の争点がかすんでしまった、民主党が自主投票に回り、かなりの票が松沢成文・元神奈川県知事や猪瀬に流れてしまったという、不利な条件もありましたが、その点を割り引いても、これでは幾ら何でも負け過ぎではないかと、ずっと疑問に思っていました。実際、その翌年2013年参院選での吉良佳子(共産党公認)70万票+山本太郎(革新系無所属)66万票+大河原雅子(民主左派系無所属)23万票の得票を合計すれば、約150万票になります。

 そりゃあ、街宣スケジュールが前日になっても決まらず、素人同然の技量しかないくせに、権力欲だけは一人前の選挙スタッフや、前評判こそ良いものの、実際はそんな選挙スタッフに振り回されるだけの、弁舌も朴訥なだけで論戦もかみ合わない候補者では、幾ら優れた政策を提示できても、全然勝負になりません。
 特に、これだけ政治不信が蔓延している中では、言っている事とやっている事が違う政治家は、有権者からことごとく総スカンに遭います。これは保守(右派)・革新(左派)問わずです。寧ろ、今はソ連崩壊や北朝鮮拉致問題などの思想的影響や、生活保護バッシングなどの弱い者虐めの風潮もあって、寧ろ左派の方が右派以上に叩かれる傾向があります。与党の保守系政治家にクリーンな政治や社会正義の実現なぞ誰も期待しません。それでも多くの人がそんな政治家を支持するのは、見返りを期待しての事です。逆に野党の革新系政治家には有権者はクリーンさや社会正義の実現を期待します。ところが、その野党の革新系も、保守陣営の企業ぐるみ選挙や権力支配を散々批判しながら、自分達は業務命令で部下に選挙応援させたり、与党も顔負けの権力欲にまみれていたのでは、有権者にとっては「どっちもどっち」でしかなくなります。「どっちもどっち」なら、「見返り」のより大きい方を選んでしまうのも、肯定はしませんが理解はできます。

 この澤藤氏や醍醐氏の宇都宮氏批判を、利敵行為や私憤で片付けてはいけないと思います。これでは、さしずめ「ブラック企業の搾取と闘う」と言いながら、支持母体の生協内部で蔓延しているパワハラや不当労働行為には目をつむり、それへの批判を利敵行為や私憤として握りつぶす様なものじゃないですか。元生協職員で前述の被害にも遭った私としては、そんな二枚舌の政治家なぞ到底許容できません。
 しかし、それでもやっぱり、若し私が東京都民だったら、しぶしぶ宇都宮さんに投票はするでしょうね。下手に棄権に回って、舛添や田母神なぞ都知事にさせようものなら、後々大変な事になります。福祉は切り捨てられ、ブラック企業も今以上に野放しにされます。「日の丸・君が代」強制を始めとした思想統制や、女性や障害者への差別も更に酷くなるのは確実です。何故なら、相手は、現憲法の主権在民(民主主義)・人権尊重・戦争放棄(平和主義)の思想をことごとく敵視し、戦前の帝国憲法を美化する様な人たちなのですから。万が一、田母神なぞ知事にさせようものなら、世界中からバカにされてしまいます。かつて橋下徹を知事にしてしまった後に他の大阪府民まで「お笑いバカ」と揶揄された以上のバッシングを受ける事になるでしょう。
 だから、棄権に回る位なら、まだ宇都宮さんに「しぶしぶ」入れるでしょう。しかし、今回の事で、私の宇都宮さんに対する期待はすっかり冷めてしまいました。もはや、かつての様に、他の人にも同氏を推薦しようという気には全然なれません。
 まだ告示日まで何日間かありますから、その間にもっと素晴らしい人が名乗りを上げてくれれば良いのですが、現状ではそれも望み薄です。私自身は、澤藤統一郎さんでも良いと思いますが、当人が固辞されている以上どうしようもありません。そういう意味では、今回の都知事選挙には殆ど何も期待できないでしょう。

 でも、これを「対岸の火事」と舛添や田母神自身が思っているなら、それはとんでもない間違いだという事も、ここで同時に申し上げておきます。人材難は別に革新陣営だけに限った事ではありません。人材難は保守も同じ。だからこそ、客観的に見れば「過去の人」でしかない舛添、田母神、細川、東国原といった人物しか、候補者として名前が上がって来ないのでしょう。それで仮に嘘とペテンで幾ら票を掠め取っても、それらが砂上の楼閣にしか過ぎない事は、今の猪瀬を見れば良く分かります。たとえ今回の件があっても、人柄と政策については、我々の陣営の方が「敵」を上回っているのは確かです。あちらの陣営の方が上回っているのは、嘘とペテンと権力で人をたぶらかすテクニックだけなのですから。(続編に続く)
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ネオナチの暴力を許すな!

2013年08月15日 13時55分03秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
  
  

 既に終戦記念日当日の掲載になってしまいましたが、下記の声明が出ていますので、こちらでもそれを転載・拡散させて貰います。

 ちょうどその終戦記念日に、母親大会連絡会のお母さん方が大阪・難波高島屋前で、「平和憲法を守って原発や核兵器を廃絶しましょう」と、この炎天下をものともせずに、上記のチラシをまいて署名を集めておられました。
 政府や右翼・御用マスコミは、とかく終戦記念日を靖国参拝一色で塗り潰そうとしますが、今の福島原発事故やブラック企業も、常に権力者が庶民に犠牲を強いるという意味では、昔の靖国神社と全く同じだという事を絶対に忘れてはなりません。
 「会社の為に死ね」と言われたらまだ拒否できるのに、何故「お国の為に死ね」と言われたら拒否できないのか。逆に拒否する人間への暴力を容認できるのか。そうやって「長い物には巻かれろ」で来た結果が、かつての戦争や今のブラック企業横行の体たらくではないか。


★☆★☆★☆★☆(転送・転載大歓迎)★☆★☆★☆★☆

「8.15反『靖国』行動」への右翼妨害や弾圧を許さず、参加を呼びかける声明

安倍政権が参院選に圧勝した事で、憲法改悪、戦争、ナショナリズムの一層の推進が危惧されています。また街頭では「在特会」などの右翼が在日朝鮮人・外国人にヘイトスピーチを浴びせかけています。そしてこれらが最も暴力的に展開されるのが、毎年8月15日の靖国神社反対デモであり、それは最早限度を超えています。私たち参加者有志は妨害の暴力の停止を求めるとともに、より多くの方が実態を知り、今年の『ゴメンだ! 安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動』にもともに参加する事を呼びかけます。

★デモに対する凄まじい右翼暴力に反対を

靖国神社は戦前の侵略戦争で戦死した人々を「英霊」として祭り上げ、アジアへの侵略戦争と植民地支配を賛美し、天皇を始めとした戦争指導者の責任を免罪しています。そして敗戦日当日の8月15日は閣僚や首相が参拝・黙とうし、靖国神社と侵略戦争を肯定し続けてきました。そこで当日は朝から様々な抗議行動・デモが行われ、午後は「8.15反『靖国』行動」の集会とデモが行われ続けてきました。それに対して機動隊が過剰警備で阻止したり、靖国を参拝する街宣右翼がデモの沿道から暴行目的の突入を試みる妨害が繰り返されてきました。

そしていわゆる「在特会」などの新たな草の根右翼グループが街頭デモを始めた2009年頃から、ネット上の呼びかけなどでデモ中の妨害者が激増し妨害内容もエスカレートしました。靖国神社に最も近い九段坂下の交差点の四方に数百人もの妨害者が陣取り、凄まじい罵声とともに缶やペットボトルを投げつけてくる。デモグッズを奪い取る。街宣右翼もそれと張り合うかのように突入してきて、09年はデモ終了後に参加者が殴られて鼻の骨を折る大ケガを負いました。2011年は右翼の突入後の現場に何とナイフが落ちていた事が確認されました。私たちは「8.15デモ」がいま最も暴力を受けるデモになってしまったと思っています。

毎年の写真はこちら:http://www.mkimpo.com/diary/2012/yasukunix2012.html

いま「ヘイトスピーチ」が問題になっていますが、「8.15デモ」に対してもネットでの妨害予告や殺人教唆が行われ、今年もすでにネット上に溢れています。毎年同時期に行われる「靖国キャンドルデモ」に対しても、今年は右翼が車で突入を試みたと言います。今年の「8.15デモ」も集会の段階から深刻な妨害が予想され、それは開催前から参加者と主催者に多大な心労と被害を与えています。民主社会の根幹であるデモを文字通りの暴力で圧殺することは絶対に許されません。

また右翼暴力の多くが警察に放任されていることも見過ごせません。すでに今年6月の新大久保でも「在特会」らのデモが許容される一方でデモに抗議した側が4名も不当逮捕され、右翼が「被害届」を提出して警察が運動側の立件を狙う事も東西で起こっています。2011年の「8.15」の右翼所持品と思われるナイフは公安警察が拾ってバッグに隠して不問にしてしまいました。また2012年の<「危機」の時代の天皇制を問う!2.11反「紀元節」行動>では、未公表のデモ出発時間が右翼のブログに掲載され、デモコースも未公表なのにコース上で妨害右翼が待ち受けていました。デモ申請後に公安警察が情報をリークしたとしか考えられません。右翼暴力に乗じての弾圧も常に懸念されるのです。

★靖国神社は問題の根源。ぜひ多くの参加を!

首相や閣僚がどれだけ国内外から批判されても靖国参拝を続けるのは、権力者が支配体制を維持するための核心的行為だからです。靖国反対デモが右翼から凄まじい暴力を受けるのも、靖国への反対は権力者にとって「あってはならない事」になっているからです。「靖国神社への反対は死者への冒涜だ」「遺族や人々が個々の死者を追悼したい気持ちを踏みにじることになる」という批判がよく聞かれます。しかしこれは大きな事実誤認です。靖国神社は個別の死者を祀る場所ではなく、天皇のために死んだ者だけが選ばれ「英霊」と一まとめに祀られています。つまり死者を選別して個別性を奪い、国家のための死を優先し、私たちにそう思わせるのが靖国神社の機能なのです。それを通して戦前の戦争を正当化し、新たな侵略戦争で自衛隊員が死んだ際も活用されうるのです。

天皇制から安倍晋三まで、日本の権力者が戦前から継続していることは知られており、靖国神社はその核です。国家主義を極めている今の安倍政権下では、反対デモへの暴力と弾圧の危険性もより高まります。いわば現在の「8.15」と反対デモへの妨害は、原発事故の責任を取らず憲法改悪や貧者の切り捨てに突き進む安倍政権と日本国家の暴力的な本質と起源が、最も露呈する場だと言えるでしょう。だからこそ「8.15デモ」は今年もこれからも無事に大きく行われなければなりません。私たちは参加者としても「8.15デモ」への右翼暴力の停止を求めるとともに、多くの方々が暴力に反対することを呼びかけます。そして多くの方にご参加いただき、暴力や弾圧を止めながら問題の根源へ迫ることを、願わくば「3.11」原発事故後の酷い状況を変えたいと新しく社会運動に参加し始めた方々や、「在特会」らのヘイトスピーチに心を痛めてカウンター行動に参加し始めた方々にもぜひともに参加して頂くことを呼びかけます。

2013年8月13日 「8.15反『靖国』行動」参加者有志


ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う8・15反「靖国」行動

日時:2013年8月15日 13:15開場  集会後デモ!

会場:全水道会館(4階)(http://www.mizujoho.com/front/bin/ptlist.phtml?Category=9177)(JR水道橋徒歩3分、都営地下鉄水道橋駅上)

お話:吉澤文寿さん

主催:ゴメンだ!安倍政権 歴史認識を問う 8・15反「靖国」行動http://13815a.blogspot.jp/

呼びかけ:アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会
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我々こそ敵の手口にもっと学ばなければ

2013年08月12日 23時47分26秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 麻生太郎ナチス発言全文 2013年

 護憲と叫んでいれば平和が来ると思っているのは大間違いだし
 改憲出来ても世の中全て円満にと全然違う
 改憲はたんなる手段だ
 目的は国家の安全と安寧と国土、我々の生命、財産の保全、国家の誇り
 狂騒、狂乱の中で決めて欲しくない
 落ち着いて我々を取り巻く環境はなんなのか
 この状況を良く見て下さい
 という世論の上に憲法改正は成し遂げるべきだ

 そうしないと間違ったものになりかねない
 ヒトラーは民主主義によって議会で多数を握って出てきた
 いかにも軍事力で政権を取ったように思われる
 全然違う
 ヒトラーは選挙で選ばれた
 ドイツ国民はヒトラーを選んだ
 ワイマール憲法という当時、欧州で最も進んだ憲法下にヒトラーが出てきた
 常に憲法は良くてもそういうことはありうる

 今回の憲法の話も狂騒の中でやって欲しくない
 靖国神社も静かに参拝すべきだ
 御国の為に命を投げ出してくれた人に敬意と感謝の念を払わない方がおかしい
 いつからか騒ぎになった
 騒がれたら中国も騒がざるを得ない、韓国も騒ぎますよ
 だから静かにやろうやと

 憲法はある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ
 誰も気づかないで変わった あの手口に学んだらどうかね
 ワーワー騒がない、本当にみんないい憲法とみんな納得してあの憲法が、
 あの憲法変わっているからね

 僕は民主主義を否定するつもりは全くありませんが
 私どもは重ねて言いますが喧噪の中で決めて欲しくない(以上、文字起こし)
 http://www.youtube.com/watch?v=gPrg3UArtKA

 私もそうですが、この麻生発言を最初聞いた時は、「よりによってナチスを肯定するとは、何て事を言うのだ!」と思いました。

 確かに彼の発言を聞く限りでは、前半ではいかにも「ヒトラーは選挙で選ばれた、ドイツ国民はヒトラーを選んだ、ワイマール憲法という当時欧州で最も進んだ憲法下でヒトラーが出てきた、常に憲法は良くてもそういうことはありうる」と、ナチスを批判するような事を言っています。
 しかし、後半では一転して「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ、誰も気づかないで変わった、あの手口に学んだらどうかね」と、ナチスのワイマール憲法蹂躙を肯定するような論調に変わっています。
 そして、「ワーワー騒がない、本当にみんないい憲法とみんな納得してあの憲法が変わっているからね、僕は民主主義を否定するつもりはありませんが、私どもは重ねて言いますが喧噪の中で決めて欲しくない」と、まるで「ナチスに見習ってこっそり改憲しろ」と言わんばかりの台詞で締めくくっています。 

 発言の前後でナチスの評価が完全に入れ替わり、最後には寧ろ肯定的な評価で終わっています。
 これを聞いて、「この人、首相の時もそうだったが、発言が支離滅裂で、しかもナチスに見習えなどと言う、民主主義の政治家なら絶対口にしてはならない事も平気で言う」、「前半のナチス批判は、後に自分の発言が問題になった時に言い逃れする為の予防線(アリバイ工作)にしか過ぎず、寧ろ後半のナチス肯定発言こそが彼の本音だ」と思っていました。若し本気で「よい憲法を踏みにじったナチスを許せない」と思っていたら、今の日本国憲法の精神を踏みにじって改悪しようなぞと誰がするものですか。

 しかし、それでも言っている事が無茶苦茶です。ナチスは決して「ワイマール憲法をこっそり改憲」した訳ではありません。寧ろ、第一次大戦後ドイツの政治的混乱や世界恐慌への不安・不満に乗じる中で、突撃隊や親衛隊を組織し、ユダヤ人や左翼勢力を暴力的に威嚇しながら、如何にも「労働者の味方」の様な顔をして票を掠め取り、政権を取った途端に国会放火事件をでっち上げ、その罪を共産党に擦り付け他の野党も全部弾圧して、全権委任法でワイマール憲法そのものを有名無実化してしまったのです。
 ナチスの政権掌握以後もワイマール憲法そのものは残りました。決して「ナチス憲法」という別物に変わった訳ではありません。あくまでも「全権委任法」という一片の法律で、憲法自体を無効にしてしまったのです。そういう意味では、「みんないい憲法とみんな納得してあの憲法が変わっ」た訳では決してありませんでした。

(参考資料)
・ヴァイマル共和政 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%AB%E5%85%B1%E5%92%8C%E6%94%BF
・ナチ党ヒトラー独裁政権の成立過程:ワイマール共和国のナチス(鳥飼行博研究室)
 http://www.geocities.jp/torikai007/war/1943/race.html

 だから、「何だ、麻生は当時のワイマール共和国やナチスの事についても、何も知らずに言っていたのか」と、最初は思っていました。
 でも、「それなら別にナチスを引き合いに出さなくても良いのじゃないか」「労働者の味方のふりをして選挙で多数を制し、政権についた途端に独裁者としての本性を現し、国民から自由を奪いたいのが本音なら、別にスターリン・ポルポトや、226事件の時の青年将校でも良かったんじゃないか」という事にやがて気付きました。この麻生発言の本音は、「ナチス」云々ではなく、寧ろ「こっそり改憲」の「手口に学べ」にこそあるのではないかと。

 実際、その後の安倍政権の動きを見ると、麻生発言の本音は別の所にあったのではないかという気がしてなりません。

 ●安倍も野党党首時代は改憲については余り大っぴらに言わなかったのに、政権に復帰した途端に改憲を公言し始めた。
 ●最初は「憲法9条改正して自衛隊を国防軍に」「従わなければ軍法会議で処罰」、
  その為に「96条も改正して改憲手続きも自分たちにとって都合の良いように」と画策。
 ●それが「お手盛りの八百長ルールでズルして改憲」と批判を浴びると、立憲主義や基本的人権を否定して一挙に外堀まで埋める作戦に。
  国民に憲法擁護義務を課す。→「憲法は権力の横暴から国民の自由と権利を守る為にある」という立憲主義の考え方を否定。
  権利主張は義務を果たしてから、公の秩序に反しない限りで。
  (では勤労・納税の義務を果たそうにも果たせない障碍者・失業者には人権はないのか?)
  →「人間は生まれながらにして自由・平等で幸福になる権利がある」とする天賦人権説(基本的人権の考え方)も否定。
 ●それも批判されると、今度は集団自衛権の行使を容認するような人物を内閣法制局長官に抜擢する事で、再び9条否定の正面突破に。
  石破の「軍法会議」発言や麻生の「ナチスの手口に学べ」発言に世間の目が引き寄せられているうちに、こっそりと。前回記事の丸山論文参照)

 そうして、今までなら専守防衛(日本一国の防衛)だけでしか認められてこなかった(個別)自衛権の行使を、次からは米国が発動する世界規模での紛争・戦争にも参戦しなければならなくなる集団的自衛権にまで広げようとしています。この「改憲クーデター」とも言うべき手法こそが、ナチスが全権委任法でワイマール憲法を有名無実化した手口と、全く同じじゃないですか。

 このように、改憲勢力は手を変え品を変え、日本国憲法の改憲や有名無実化に躍起となっているのです。その執念たるや、敵ながら天晴と言うべきではないでしょうか。
 私もそうですが、あれこれの選挙やデモで勝利する度に有頂天になり、逆に負けて敗北する度に意気消沈し、というのを、今まで何度も繰り返して来たじゃないですか。
 それに引き替え、この改憲勢力の執念深い事と言ったら!我々もこの敵の手口に、もっと積極的に学ばなければならないのではないでしょうか。但し、あくまでも「反面教師として、改憲を阻止する為に」ですが。
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