雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森99 吉野裕子さん『蛇 ー日本の蛇信仰ー』講談社学術文庫

2010年11月10日 05時20分49秒 | 本と映像の森
本と映像の森99 吉野裕子さん『蛇 ー日本の蛇信仰ー』講談社学術文庫、講談社、1999年5月10日第1刷~2010年4月20日第18刷、324ページ、定価1050円+消費税、(原書、1979年2月、法政大学出版局)

 「蛇(へび)」です。
 都会では、田んぼがつぶされてマンションや駐車場になってしまい、蛇の餌の小動物、とくにカエルがいなくなったので、蛇さんは、めったに見れなくなりました。

 でも、ぼくたちの里山では、蛙さんたちがいっぱいいて、蛇さんたちもいっぱい生き残っています。
 つい最近では、ヤマカガシが田んぼで餌を探しているのを目撃しました。

 吉野さんは、この「蛇」と日本人の古代信仰を、蛇の生態に即して考え、調査し、解明しました。
 この『蛇』は、古代史の基本文献であると思います。

 吉野さんは、縄文土器の文様から、縄文人の蛇信仰を解明し、さらに弥生~古墳時代には、その蛇文様が変形して残っていくことを解明しました。

 蛇の古語は「カガ」「カカ」です。

 『古事記』では、スサノオさんが退治したヤマタノオロチは、目が「赤かがち」のようだと表現しています。
 『日本書紀』では、天孫降臨の時に行く手をさえぎったサルタヒコの神は、「目はヤタカガミに似て、アカカガチのようだ」と記述しています。
 つまり、カガチ=カガミ、です。
 
 「チ」は古い神様の表現の接尾語です。たとえば「テナヅチ」とか。
 「ミ」は、古い神様のうち女性表現だと思います。

 たとえば「イザナギ」「イザナミ」のように。
 ですから、「神(カミ)」の「ミ」は、本来は女性の神様ではないしょうか。
 
 「かかし」は何物かという解明は、納得します。

 そして、圧巻は、ペニスのシンボルとしての蛇信仰や、蛇巫女の解明だと思います。
 「性=セックス」を排除した柳田民族学への対論として。