戦争と平和 2 「「不特定秘密法案」を読む2 「安全保障」なる用語について」
この「不特定秘密法案」の第1条に、原案とは違う修正で、原案の「我が国の安全保障に関する情報」から、修正「安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ)」となりました。
これまでの「安全保障」の概念から見ると、やはり、まず「日米安保条約」を見るべきでしょう。
以下は原文の引用です。
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、
両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
よつて、次のとおり協定する。
- 第一条
- 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
- 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。」
日米安保条約は「軍事同盟」であることはあたりまえですが、ここには「「国の存立に関わる外部からの侵略等」のような「等」というだらしない曖昧概念は出てきません。
非常に重視すべきは、2012年6月20日に成立した「原子力規制委員会設置法」の第1条「目的」には「(原子力の利用は)わが国の安全保障に資することを目的とする」と いう文章が入ってことです。
そして、同法には、付則で「原子力の憲法」と呼ばれる原子力基本法を改正し、原子力基本法第2条「基本方針」に、同じく「安全保障」という文言が加えられました。
つまり、日米安保条約=原子力基本法=不特定秘密法、の3つが串刺しで、同じ「安全保障」という概念でくくられたわけです。
日米軍事同盟=日米原子力帝国=日米による国民抑圧体制、という連携=体制が法的に成立した瞬間、といえるのではないでしょうか。
もちろん、「本当の安全保障」「国民の安全保障」とは、かけはなれた「国民に危険をもたらす体制」ですが。