雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 346 斎藤貴男『カルト資本主義 増補版』ちくま文庫、2019年

2020年08月26日 21時07分51秒 | 雨宮日誌
新・本と映像の森 346 斎藤貴男『カルト資本主義 増補版』ちくま文庫、2019年


 原著1997年、458ページ、定価本体950円。


 カルト・オカルトと企業の関係を探究している貴重なノンフィクションと思います。


  ソニーと超能力
  永久機関
  京セラの稲森和夫さん
  「万能」微生物EM
  比嘉照夫さん
  世界救世教
  船井幸雄さん
  ヤマギシ会
  アムウェイ商法
  道德オリンピック


 全体として「危ない」人・団体・会社がルポされています。著者の主張に共感します。なお「共感」だけで「賛同」ではありません。


 以下、抜萃です。


 「米国の臨床心理学者マーガレット・シンガーによれば…「カルトは、信者の行動をコントロールするという点で全体主義的すなわち全体を包括するものであり、世界観において熱狂と過激な傾向を示すという点でイデオロギー的な意味でも全体主義的である。(中略)ほとんど全部の問題に関して、いわゆる白か黒か式の思考で単純に割り切り、すべてか無かの観点に立つことをカルトは奨励するのだ。」(中村保男訳『カルト』p32)」(p124)


 「(EM液のビンを見せる)。このなかには、全部で80種類以上の微生物が入っています。人間の役に立つ微生物だけです。そして、この微生物に協力してもらって、悪くなっているいろいろなことをストップする。」(p230)


 「私は、EMを超能力だと教える向山のやり方の本質を表現するのに、多くの言葉は必要ないと思った。わずか一言で足りる。
 愚民教育。」(p234)


 「今はただ、たまらなく怖い。本書で取り上げたさまざまな人物や企業、政府機関ばかりではない。彼らの扇動にたやすく操られ、一定の方向に突っ走ってゆくわれわれ日本人が、である。」(p419)


 この本は買って読むことを推奨します。