遠州の遺跡・寺社・地名 94 磐田市の前方後方墳・小銚子塚古墳
ほぼ南北の方向にある銚子塚古墳の西横に、前方後方墳の「小(こ)銚子塚古墳」があります。銚子塚古墳の説明版の向かい側になります。
小銚子塚古墳は、独特な「前方後円墳」で、静岡県内には今のところ確実なのは5基しかないようです。全長47mで、方向はちょうど東西を向いています。
というより、西の後方部は幅36mで高さ6m、東の前方部は幅25mで高さ3mなので、おがむ場所の東の前方部から西の墓地のある後方部を見ると、ちょうど西に日が沈む方向です。
つまり、春分や秋分の、お彼岸に先祖参りをする習慣とぴったり合っています。
この「小銚子塚古墳」と「銚子塚古墳」が同じ時代とされているのは、どうも納得がいきません。どう考えても、西の平野に近い「小銚子塚古墳」の方が先に出来て、その奥に位置する「銚子塚古墳」は後でしょう。問題は、どれくらい後か、ですが。
東西の太陽信仰から、南北の「天神」信仰への転換という点でも、同時代というのは、かなり無理がある説明ではないでしょうか。
「小銚子塚古墳」の方には説明版もありません。大きな古墳でも小さな古墳でも、その価値に変わりはないと思います。
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10月18日(木)朝、付記。辰巳和弘さん著『日本の古代遺跡 1 静岡』保育社、昭和57年初版、p168では小銚子塚古墳が銚子塚古墳より「やや先行して築造されたと考えたい」としている。その通りだと思います。