新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

中原先生の過労死訴訟棄却:これをきっかけに改善の方向に動けばよかったのに・・・

2008-10-22 23:47:58 | 医療

続けます。

 

中原先生の過労死訴訟・・・敗訴のようです。医者の安全は保障されないか・・・と悲しく思います。

CBからです。

医師の過労死、損害賠償請求を棄却-東京高裁

10月22日13時18分配信 医療介護CBニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081022-00000000-cbn-soci  

 

小児科医中原利郎さん(当時44歳)がうつ病によって自殺したのは、最大で月8回に及ぶ当直勤務をこなすなど過重な業務が原因として、遺族らが、勤務先だった病院を運営する立正佼成会の「安全配慮義務違反」などを理由に損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審判決が10月22日、東京高裁であった。鈴木健太裁判長は、民事訴訟で東京地裁が否定した「過重な業務とうつ病との因果関係」は認めたものの、「病院側が(中原さんの心身の変調を)具体的に予見することはできなかった」として、原告側の訴えを棄却した。(山田利和・尾崎文壽)  

 

判決は、中原さんが1999年3月に月8回、週当たり2回の割合で当直を担当し、翌4月には、6回の当直のうち、当直を挟んで通常勤務や半日勤務を行う連続勤務が4回あったことを挙げ、「3月と4月の勤務は過重で、著しい身体的心理的負荷を与えたというべき」などとして、中原さんの業務の過重性を認めた。 

また、中原さんが勤務していた立正佼成会附属佼成病院(東京都中野区)の小児科の部長が退職したのを受け、中原さんが部長代行になった直後の同年3、4月ごろ、常勤医や日当直担当医の減少という事態に直面したことについて、「部長代行としての職責から、問題解決に腐心し、見過ごすことのできない心理的負荷を受けたというべき」と指摘した。 

 

これらを踏まえ、「主として、99年3月以降の過重な勤務、加えて、常勤医の減少などによって大きな心理的負荷を受け、これらを原因とした睡眠障害または睡眠不足の増悪とも相まって、うつ病を発症したというべき」などとして、過重な業務とうつ病との因果関係を明確に認めた。  

 

一方、「安全配慮義務」については、過労で自殺した社員の遺族が電通の責任を求めて提訴した「電通事件」で、最高裁が2000年3月24日に出した「使用者は、雇用する労働者に従事させる業務を定めて管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負う」などとした判決を引用。 

 

しかし、中原さんについては、「過重な勤務であっても、病院側が、中原さんの疲労や心理的負荷などを過度に蓄積させて、心身の健康を損なうことを具体的客観的に予見することはできなかった」などとして、病院側の「安全配慮義務違反」には当たらないとする見解を示した。  

中原さんの訴訟については、07年3月14日の行政訴訟の判決では、「うつ病は過重な業務によって発症した」と労災認定したが、同29日の民事訴訟の判決では、「うつ病と業務との因果関係が認められない」と、同じ東京地裁が“正反対”の判断を示していた。行政訴訟では、厚生労働省が控訴せず、労災が確定していただけに、高裁が、医師の当直勤務の過重性や病院の「安全配慮義務」について、どのような判断を示すかが注目されていた。

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労災認定されたということで期待していたのですが、なかなか難しいですね。

 

僕も今だからこの状況の勤務が苦になりませんが、家族ができたりすれば普通にそちらの人間関係も重視しなくてはなりません

 

そのことを考えると十分な人手や1カ月に一回くらいでいいから休暇や家族で旅行などをする時間をもらえるような体制になってほしいと思っています。

 

基本的に今の体制では医者が休める体制にはなかなかならないでしょう。それは僕らのような血液内科をはじめとして・・・重症患者を見たり、救急患者が多い診療科では共通点でしょうね。

休暇を取ることがなかなかできない実際の医療現場

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なかのひと 

ギリギリの状態で勤務を継続しており、それに責任が伴えば、いろいろと心理的負担も増えると思います。

 

これからの国の政策に期待したいところです。

 

それでは、また。

明日も忙しくなりそうです

コメント (2)
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ど~でもいい話:僕と主治医意見書

2008-10-22 23:32:52 | ど~でもいい話

こんばんは

今日は早めに帰ってきました。明日もありますし、何より昨日の件で若干疲れています。

 

朝型人間なので朝はどんなに遅く寝ても起きられるのですが、夜はそれに応じて眠くなるのは早いようです。

 

今日はどうでもいい話から・・・

 

介護申請の主治医意見書。

 

今日初めて書いたのですが、話には聞いていましたが実際に自分で書くとよくわかります

何がわかるかというと・・・65歳以下の介護申請がほとんど承認されない

 

癌の影響で麻痺などが出現しても、特定疾患に入らず。癌患者で特定疾患になるのは「末期患者」のみ

 

末期だけかい!

 

もちろん血液領域ですから何が起こってもおかしくはないのですが、末期とはとても言えませんし・・・。

 

初めての主治医意見書を書きながら・・・

「これって介護保険安くするためなんだろうか?厳しすぎる・・・」

と思いました。

 

正直突破口が見つからなかったため、神経内科の先生にご教授いただき、うま~く書いてみたつもりではありますが、どうなる事やら。

 

65歳以下が本当に必要であれば介護は受けられるような社会になってほしいと思います。医者として・・日本の介護ってどんなものなのだろうか・・と思わず思ってしまいました。

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なかのひと 

それでは、また。

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医者は100%完璧であれ!:期待にこたえたいが、無理だと思います

2008-10-22 07:21:20 | 医療

おはようございます

 

う~ん、朝が子供のころから異常に強いので、2時間半~3時間睡眠でもとりあえずは・・・ばっちりです。 だいたい週末ころに疲れがどっとでるんですけど、今回は仕方があるまい。

 

今日は中心静脈入れるところまでは集中しなくては・・・ 当然その後も全開で行きますけど。

 

さて、昨日記事を書けませんでしたので、今日はネットサーフィンをしてきました。で、この記事を紹介します。

この記事のことよりも、実はその先のコメント欄を紹介したいので、リンク先に跳んでください。

時事通信です

 

男性外科医を書類送検へ=適切処置怠った疑い-手術後の患者死亡・神奈川

10月22日2時34分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081021-00000191-jij-soci  

 

神奈川県相模原市の医療法人相和会「渕野辺総合病院」で2004年、入院患者が手術後に容体が急変し死亡する事故があり、神奈川県警は21日、病院側が適切な処置を怠ったとして、業務上過失致死の疑いで、22日にも男性外科医を書類送検する方針を固めた。 

病院関係者などによると、死亡したのは急性胆のう炎で入院していた同市の60代女性。 04年2月、この医師により腹腔(ふくくう)鏡による胆のう摘出手術を受けた。その日の夜になり容体が急変。大量出血し、翌朝に死亡した。 

同病院は院内に調査委員会を設置。この医師は今年9月に処分を受け、退職したという。 

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毎日新聞の記事ではこの医師が40代・・つまりベテランの医師であることがわかる。

<医療事故>腹腔鏡手術後死亡、医師を書類送検へ 神奈川

10月21日23時45分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081021-00000150-mai-soci  

神奈川県相模原市の医療法人相和会「渕野辺総合病院」で04年2月、手術を受けた同市の女性(当時68歳)が死亡する医療事故があり、県警は22日にも、術後の適切な処置を怠ったとして男性外科医(44)を業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。  

県警や病院によると女性は急性胆のう炎で入院。男性外科医が04年2月26日に腹腔(ふくくう)鏡による胆のう摘出手術をしたが、術後に容体が急変。翌朝、出血性ショックで死亡した。同病院は「手術自体は成功したようだが、術後の管理が悪かった。病院としては当初からミスを認めて謝罪した」と説明している。  

同病院は事故を受けて調査委員会を設置。男性外科医は08年9月に懲戒解雇処分を受けた。【鈴木一生、高橋直純】

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亡くなられた患者さんには深く哀悼の意をささげます。

 

この記事に関して初めは何とはなしに読んでいたのですが、コメント欄に気が付き読んでいくと、そう考えられるのか…と思いました。

要は 「医者は完璧であれ。特別な職業なのだから」ということなんだな…と思います。

 

もちろん、何らかの出来事が原因で亡くなられるようなことがないのは理想です。このような死亡が少なくなることが求められるとは思います。

しかし、コメント欄にあるように

医者は患者の命を任されているのだから、責任は大きい

完璧であってほしい

と書かれてしまうと、げんなりしてきます。

 

全くその通り患者さんの命を預かる以上責任は大きく、完璧でありたいと思う。だからこそ、毎日努力し続けていると自分では胸を張って言える自信がある。

 

しかし、医療は確率論であるところもあり・・・・例えば胸部CTで

「この陰影はカリニ肺炎に特徴的な所見がある。しかし、肺水腫かもしれないし、白血病細胞の浸潤かもしれない。」

と考えられる陰影が出てきたとする。

 

実際は取ってきて調べてみないとわからないが、それを行える状況ではなく、専門家の意見を聞いたり、状況に応じて対応していく。

 

白血病細胞の浸潤であれば抗癌剤を用いるしかないが、それを末期の患者さんに行えるわけもない。高齢者のCMMLは治癒不可能な疾患である。病勢コントロールをしていくだけが精いっぱいで、そのコントロールが不能になっての症状ならどうしようもない。

 

肺水腫であれば水を引いていく必要がある。

 

カリニ肺炎であればクリティカルな疾患であり、ST合剤を大量に使用しないといけないが、溶解するのに大量に水が必要で肺水腫の治療とは正反対。しかも、ST合剤による炎症を抑えるためだけにもステロイドを使用しないといけないし・・・。

たとえ、電解質コルチコイド作用がないステロイドを使用しても・・・・、十分水はたまる印象がある。

しかし、一刻を争う疾患である。やっても勝てないことが多いのだけど・・・。

 

結局、抗癌剤治療以外をやるしかないわけですけど・・・この場合は原因の特定がこの現状では不可能であり、これ以上の処置はできないと思っている。

 

完璧であれ・・といわれても、確率論である以上医療は完璧にはならないと思う(ベイツの定理ですね)。

 

僕は外科ではなくて、オペには全く(先日骨髄採取で入りましたが)関係のない血液内科医ですから、この手術で何が起こったかはわかりません。

 

ベテランの外科医が見てもわからないような、微小な出血が残っていて気腹していたのを解除したら、出血したのかもしれないな~くらいにしか想像すらできません。

 

しかし、恐らく経験豊かな医師が手術をしていて、それで出血のリスクがないと思って閉腹(傷の閉鎖)していると思います。

 

出血リスクがあると思えば、開腹手術に移行したでしょうし・・・・。

 

ですから、このコメント欄を見て流石にげんなりしたわけです。

 

明らかな出血があって、それを止めなかったらどうなるかくらい外科医でなくてもわかります。腹腔内はスペースがあるので、タンポナーデ効果は期待できませんから出血多量で死ぬだけです

 

そんなことは外科医でなくてもわかることなので、ベテランの外科の先生がわからないわけもなく、注意して手術を終了されているでしょう。

 

にもかかわらず、微小な出血源があり・・・そこが気腹解除とともに出血したのか・・どうなのかは今となってはわからないですけど・・・。

 

いずれにせよ、このコメント欄を見て

「このコメントにはちょっとやる気をなえさせる」

と思いました。

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なかのひと 

まぁ、僕は医療が好きですからやれることを精一杯やるだけですが・・・

 

さて、記事を書いていたら出勤時間になりました。

そろそろ行きます。

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丑三つ時です

2008-10-22 02:28:52 | Weblog

こんばんは

 

2時に病院を出てきましたが、まだ研修医が2名働いておりました。

さすがに

「お前ら、早く帰れよ」

と、言ってきましたが・・・一人はこの1週間に6名の新患がいて明日の準備に時間がかかっている。もう一人は僕と一緒に最後までお見送りをしていたので、時間がかかったという状況です。

 

さて、今日も(すでに今日ですね)忙しくなりそうです。まずは朝一番にCV挿入して、明日からのInductionに向けてですが・・

 

この10月3人目ですね。

 

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なかのひと 

それでは、また。

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