新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

最終的に必ず患者を受け入れる病院:日本の医療の終末が見える・・・

2009-01-01 23:25:04 | 医療

さて、続きます

 

先程の記事を書いている間にも3回電話があり、病棟とやり取りをしておりました。そんな感じが僕の日常です

 

さて、昨日の当直中に研修医の先生から聞いた記事です。探すのに時間がかかりましたw

 

これに関しては様々な条件を作らなくては地域医療の崩壊を来すと明言します。拠点病院の崩壊から始まる地域医療、国の医療の崩壊ですね。

 

読売新聞です。

急患たらい回し防げ、地域の体制作り義務付けへ…消防庁

12月31日3時5分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081231-00000006-yom-soci  

総務省消防庁は、救急患者の「たらい回し」を防ぐため、地域内の病院が急患を必ず受け入れる救急医療体制「地域ルール」作りを、都道府県に義務づけることを決めた。  

救急隊と病院が2009年度に協議の場を設けることなどを盛り込んだ消防法改正に向けて、年明けから準備を進める。09年度からスタートする東京都の「東京ルール」も参考に、急患の搬送先探しを病院にも担ってもらう狙いがある。  

消防法改正は、救急業務に関する35条について、救急を所管する消防機関と医療機関による協議の場を、都道府県に設ける規定などを盛り込む方向で関係省庁と調整する。消防庁は改正後、通知などで都道府県にルール化を求めたいとしている。  

急患の搬送先探しは現在、消防機関側で負っている。現場に到着した救急隊が病院に1か所ずつ電話をかけ、急患の受け入れが可能かどうかを照会している。病院側は、当直医が処置中かどうかやベッドの空き状況などから可否を判断。「専門外」「満床」などと断る病院が相次ぐと、患者の処置が遅れる「たらい回し」問題が起きていた。  

消防庁は、消防機関と病院が連携し、〈1〉最終的に急患を必ず受け入れる病院の確保〈2〉搬送先の病院を選ぶ方法や優先順位〈3〉救急隊が急患の症状を判断し、病院に伝える方法--などをルール化したいとしている。東京のような大都市と、地方では救急病院の数や体制に違いがあり、消防庁は、地域の事情に沿ってルールを作るよう求める考えだ。  

「東京ルール」は、12に分けた地域ごとに2病院を地域救急センター病院に指定。センター病院は救急隊から要請を受けると、事前に把握している地域内の病院の当直体制などから搬送先を決め、自らも患者を受け入れることもある。

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明言しますけど、「必ず受け入れる病院」を作ればそこに患者が集中するのが当たり前になっていくと思います

 

こういうと新年からとんでもなく暗い話をするようですが、すでに日本の医療はすべての患者さんを受け入れられる態勢ではなくなっています

 

例えば「大学病院をはじめとした3次救急病院は必ず患者を受け入れないといけない」とするとします。患者のコントロールをするのが「拠点病院」であるのであればどうにかなると思いますが、2次救急の病院がすべて断ったら

 

他の病院に断られたので、地域ルールでこの患者さんを受けてください。法律で決まっています

 

などと言われるようになるかも知れないわけです。

 

3次救急の病院もベッドコントロールが不可能になりつつあります。

すでに今日の当直から連絡が来た急患の関係で、すでに年明けのベッドコントロールは難しくなっています。

 

この状況下で「必ず患者を受け入れなくてはならない」とされた場合、「助けられる患者さんを助けることができなくなる」可能性が高くなると思います。

 

申し訳ありませんが、例えば80歳の白血病の患者さんがいてこの方に積極的加療の適応はないです。緩和ケアということになると思います。

 

その方が発熱されて救急車を呼んだ場合、

「白血病があるのであれば大学病院に行ってください」

となったとします。

 

大学病院で「緩和ケア」になるはずの患者さんを受け入れたためにベッドが一床なくなり(そうでなくてもうちは病床稼働率100%超えていますし)、新規の白血病の患者さんの治療ができなくなるということもあります(実際9月、10月は5件新規発症の急性白血病の患者さんらしい依頼がきて受け入れたのは3件かな?)。

 

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なかのひと

他の科でも同様です。

 

日本の病院のベッド数が十分にある、もしくは患者さんを見る医者の数が十分にいるのであればともかく、正反対の状況です。

 

さらに本来は介護施設等でみるはずの患者さんたちも、介護施設などが少ないために病院で診なくてはならない。そういう条件も含めて・・・・「日本の医師が患者を診療している範囲が幅広い」にも関わらず、このような決まりごとを作れば・・・昨日も話し合った際に出てきましたが「大学病院クラスの3次救急」が「姥捨て山」のような状況になりかねない(表現が悪いですけど)でしょう。

 

そうすれば本来の機能は果たせなくなります。

日本の医療の終わりが見えてきているようなものです。

 

仮に3次救急でなくて2次救急のいずれかの病院にそのような「必ず受け入れる」という機能を付与したとして、その病院は崩壊していくと思います。そうすれば次の病院に移り、また崩壊し・・・・となるでしょう。

 

やるのであれば先日書いたように、地域医療を拠点病院を中核としたシステムに切り替えて、「患者のコントロールを拠点病院がすべて行う」ようにするほかはないかな…と思っています。

 

僕はそう考えましたが、ま・・他の方法もあるでしょう。たぶんw

 

この問題は大きな問題だと思うので、むしろ総務省消防局がもう一度現場の意見を聞くことができるように、各マスコミがしっかりと報道してほしいと思います。

 

それでは、また。

 

P.S

 

救急隊で思い出しました。 昨日の救急対応中、救急隊の方々・・・・CT室まで患者さんを運んだあと帰っていきました。

流石に病棟に上がるまではいるだろうと思い、油断していたらCT取り終わったらいなかったという。

 

この救急隊に関しては「患者さんに対する責任感はどこに行ったのだろう?」と思わざるを得ないですね。

 

申し訳ないが、CT室からすぐに病棟に上がれるようにベッド調整をしてからCT室に行ったのに普通起き上がれない患者さんをCT室においていなくなるか?

 

初めてこんな救急隊を見たので、昨日は思わず唖然としました。この救急隊に関しては、これから

「○○救急は責任感に欠けるところ」

という目で見させていただきたいと思います。

 

結局病棟に連絡して研修医と看護師さんがすぐに来たんですけど・・・・。

 

そこまでするのが当たり前と思っている僕が悪いのかしら・・・?

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あけましておめでとうございます

2009-01-01 20:22:18 | Weblog

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なかのひと

昨日は当直でしたが、かなりドタバタと忙しく動いておりました。

 

重症の患者さん(実は今持ち直してきて、どうにかいけるか・・・と頑張っているところですが) のことで、12月31日0時30分に帰った後、3時半には病棟に戻ってきて患者さんに説明、説得して家族が来た後いろいろ始めるということになり、そのまま病院内で待機。

 

翌朝6時過ぎに血液の患者さん(僕の外来の患者さん)が救急車で来るということで当直の代わりに診療し、それが終わった後当直の先生が診ていたもう一人の方の手伝いをし(入院する手前まで)、そのまま当直の引き継ぎをして当直に突入。

 

午前中は入院させる患者さんはいませんでしたが、電話で話を聞いただけで

入院だな・・・・・、たぶん。救急隊に連絡してください

というような患者さんが午後に救急車でやってきて、それが完全に終わる前に(循環器内科と話をする前に、病棟にあげて電話連絡したところまで)次の救急車が来てこの患者さんを別の医師にお願いをして救急対応へ。

 

こっちはこっちで

「JCS1くらい、40.5度、SpO2 90%、循環動態はOK。WBC200、Plt4000・・・・」

という状態のMDSの患者さんが肺炎で来て、パタパタと動き回り・・・血液培養、肺炎球菌尿中抗原などの確認の後に、敗血症の時は3回なのに、肺炎だと一日4回投与できる抗菌薬(ゾシン:タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム)を投与開始。

G-CSFその他を使用しながら「少し解熱傾向か?」くらいの状況で経過しています。

 

 

その後も病棟の事やらなんやらで過ごした後、1時ころ寝ましたが3時には次の救急車が到着し(僕の初急患です。こっちは帰しました。一言でいえば軽症なので・・。しかし、本人にとっては苦しかったのでしょう。それは誰にも否定できないのです。)、その後患者の点滴が漏れて入らないだのどうのこうので対応していたら、4時過ぎになり…そのまま今日の患者さんの診療へ突入し、今に至っております。

 

流石にさっき寝てましたが・・・・・・

 

さて、皆様はすでに初詣にはいかれましたでしょうか。

 

僕は明日も当直なのでまだ行けそうにありませんが、何とか1月3日位にはいけたらいいな~と思っております

 

それでは、また。

 

今年もよろしくお願いいたします

コメント (2)
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