新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

ネットワーク構想:医療費をいい意味で削減できるか?

2011-11-17 21:02:14 | 医療

追加でこちらの記事も紹介

 

 東日本大震災からの医療復興の一環として、情報通信技術(ICT)を活用した地域医療の構築を目指す官民組織「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会」が15日、発足した。診療・介護情報を関係機関が共有し、連携を強化することで、被災地で懸念される医師不足の影響を抑える。

 ネットワークを先行導入する地域は、気仙沼、石巻の両2次医療圏。医療機関や薬局、介護施設を専用回線で結んで患者の病歴や投薬履歴、検査結果などの情報を共有し、診療の効率化を図る
 へき地診療所と中核的病院もネットワークでつなぎ、検査結果の解析などを病院側が担うことで、へき地勤務の医師の負担を軽減する。
 震災による津波で多数のカルテが流失し、その後の治療に支障を来したのを教訓に、地域全体で診療情報のバックアップ体制を敷く狙いもある。
 3次医療圏の県全域では、県医師会内に新設する「地域医療連携支援センター」(仮称)と東北大病院が加わる。2次医療圏では完結できない専門的な診断や治療などの役割を果たす。
 ネットワークを生かし、病歴に基づいた治療がどこでも受けられるよう県内共通診察券を発行する構想もある。
 ICTを駆使した地域医療は、県震災復興計画に盛り込まれた主要施策の一つ。国の第3次補正予算案に関連費用が盛り込まれ、数十億円とされる財源のめどが立った
 協議会は今後、専門部会でネットワーク構築に向けた検討に着手。来年3月には協議会を法人化させて体制を整え、4月に事業を始める方針だ。
 仙台市青葉区で15日に開かれた協議会の設立総会には、東北大や県関係者ら約200人が参加。会長に選ばれた県医師会の伊東潤造会長は「全国のモデルとなるようなネットワークをつくりたい」と述べた。
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ネットワークで各医療機関、薬局、介護施設がつながればいろいろいいことがあります。
一つは書かれている通りで病歴や薬歴、検査結果などが共有化できるというものです。
これによってへき地勤務の医師の負担軽減よりも
「あぁ、ここの病院でこの間この検査やっているのか。結果はこれこれならば、この可能性は低い→不要な検査オーダーが減る
「あれ、この病院で先日この薬が出ているじゃないか。○○さん、この薬はこの薬と同じタイプの薬ですよ。だから、この薬を使用しているのなら不要な薬です→不要な薬、薬の重複が減る
「○○先生、▽さんは×病院でこの薬が出ています。気が付かれていますか?(薬局、ほかの病院から)→多数の医療従事者の目で一人の患者を診る。第3者の目ですよね
どこまで広げていいのか(プライバシーの問題)がありますが、うまくいけば「他院からの目」というものもあり、無駄が省かれ、適切な医療が受けられるようになるかもしれませんね。一人の患者さんを地域という大きな病院で見ている感じですかね。
他にも健康診断の結果なども反映するとより良いですね。家庭血圧や血糖値が携帯端末から地域の医療機関すべてで見れるような・・・。
ぜひ、よい結果を出して県医師会の機長さんがおっしゃるように全国に先駆けた良いモデルケースを作ってもらいたいものです。
では、また。
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スーパー女子高生:それを追及したのは偉いよね

2011-11-17 20:55:34 | Weblog

追加で1つ。こちらの記事を紹介します。

 

 茨城県の女子高生らが新たな化学現象を発見し、権威のある米専門誌に論文が掲載されることが決まった。

 専門家は「高校生の論文掲載は世界的な快挙。今後は彼女らの実験結果を、プロの化学者が後追い研究することになるだろう」とたたえている。

 茨城県立水戸第二高の数理科学同好会に所属し、今春までに卒業した小沼瞳さん(19)ら5人で、2008年2月の金曜日、「BZ反応」という実験を行った。酸化と還元の反応を繰り返すことにより、水溶液の色が赤と青に交互に変わる。

 その日、水溶液の色は想定通り赤で動かなくなった。メンバーは器具を片付けないままカラオケへ。ところが月曜日に実験室に戻ると、液は黄色くなっていた。

 
予想外のことで、観察を繰り返した結果、赤青の変化が一度止まった後、突然、始まった。
全く知られていない現象だったが、試薬の条件が整えば、5~20時間後に変化が再開することを突き止めた。

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器具を片付けないままカラオケに行ったのは「お叱り」を受けることかもしれないが、ここで起こったことをきちんと後追い実験をしてたしかめたのが素晴らしですよね。

「偶然」を見逃さなかったこと、それが一番素晴らしいと思います。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

僕も偶然を見逃さないように頑張りたいと思います。

 

では、また。

 

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自由診療の弊害:こんなこともあり得るかも

2011-11-17 20:54:53 | 医療

こんばんは

 

相変わらず寒いですね。今日は走った後に、近所のショッピングストアに行き「焼きサバ定食」を食べ、ハリーポッターのブルーレイを購入し、ボジョレーヌーヴォーも購入。今に至ります。

 

もっとも、ハリーポッターはしばらく(暇ができるまでは)寝かせておこうかと思っています(だれか、つっこんで)。

 

さて、先ほど「TPPと医療:医療を売るか?その前に売れるか?」という記事にまる子さんがコメントをくださいました。

コメントを返す時

実際、自由診療でどうやったら設けるかね・・・?」

と思いました。

 

高い値段を設定しても患者さんが治療を受けにくるだけの評判を獲得しないといけません

 

その評判は当然

「あの先生は治してくれる」

というものです。

 

すべての患者さんが助かる…というのは申し訳ありませんが、まずないと思います。

急性白血病でも「予後不良因子」というものがあります。このような遺伝子を持っていると、初発時に白血球数がいくつ以上だと・・・とかですね。もともと助かる可能性が低いと思っていても、患者さんを助けたいと思うから(急性白血病に関しては、何もしなかったら1か月以内に多くの患者さんは死にます)頑張るわけです。患者さんとともに。

 

ただ、評判をよくしようと思えばどうすることができるか・・・というと、治る可能性の高い患者さんを積極的に治療し、予後不良因子を持つ人はできるだけ他院に送る。そうすれば患者さんは治る人が増えますよね。そういう裏の事情が分かったら、評判なんてガタ落ちでしょうけど。

また、それって「人の命を選別」しているので、平時としては「それでもてめぇは人間かぁ~(by レイ(北斗の拳))」

と思うところもあります。

 

人の命の選別。それをTriageと言いますが、災害時や戦争時のように「医療資源」よりも「患者数」が多い時に行うべき処置です。もっとも、過去の記事にも書いてきましたが「今の日本」は医療資源は枯渇する直前だと思いますけど。

そのTriageを平時に行うことは、本来・・・認められません。人の命を選別するような権利が誰かにあるわけがないと(戦争や災害時だから、多くの人のために、心を鬼にして行うことがTriageです)思います。まぁ・・・以前書いた記事でいろいろコメントをいただきましたが、血液内科も壊滅的な地域がありますし、若手は減少している地域が多いと聞きます。そういう意味では少なくとも血液内科領域は将来的にTriage(若い人優先など)をしていかざるを得なくなると思います。

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なかのひと 

評判がよくなれば、多少の高い診療費でも受診する人は増えるでしょう。例えばよくテレビで出るような脳神経外科の福島先生に手術してもらえるならお金はいくらでも積みます…という人は出てきてもおかしくないのではないでしょうか。別に福島先生がそういう方だとは思っていませんが。

 

医師として「来る患者さんは拒まず」というのは僕は当然の姿勢だと思っています。

しかし、もし自由診療をすることになったらそういうことを考える人(僕も普通に思いつきますし)は大勢いると思います。実際に人の命を平時に選別するような傲慢な医師がどの程度いるかは知りませんが・・・・・。

 

杞憂ではなく、そういうことはおそらく行われると思います。

 

それでは、また。

コメント (3)
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