新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

もし、医療の需要≫供給で医療が受けられなくなったら?

2011-11-29 21:21:37 | 医療

さて、もう一つ。

 

先日、診療報酬引き下げという話がありましたが、民主党の医療・介護WTは診療報酬引き上げを要望するようです。

 

 民主党の厚生労働部門会議の下に設置された医療・介護ワーキングチーム(WT、座長=柚木道義衆院議員)は29日午前の会合で、前回までのWTの議論を踏まえた原案を基に、最終取りまとめに向けて議論した。原案では、2012年度の診療報酬改定で「ネット(全体で)プラスを目指した対応を政府に求める」と提言。出席者からは、より明確に「ネットでプラスを目指すべきである」とするよう求める意見があった。柚木氏は、これを受けて原案を修正し、30日に厚労部門会議へ報告する予定だ。

 会合後の会見で柚木氏は、政府の行政刷新会議が開催した「提言型政策仕分け」で、12年度の診療報酬改定について、本体部分の引き上げに反対する結果になったことに対し、「現場の地域医療の疲弊や、急性期医療の改善がまだまだ途上にあることを、十分に理解した議論とは思えない。WTとしては、国民をミスリードするのではと、非常に重大な懸念を持っている」と述べた。WTは以前からプラス改定を主張していたが、政策仕分けの結果を受け、「あえて『ネットプラス』と書いた」ことを明らかにした。

■処遇改善対象、「介護従事者」に拡充
 同日の会見で柚木氏は、12年度の介護報酬改定に関し、同年3月に介護職員処遇改善交付金が終了した後の介護職員の処遇改善を介護報酬内で行う場合、介護サービスを適正化・効率化した上で、交付金以上の報酬引き上げを行うべきと、最終取りまとめに盛り込む方針を示した。また柚木氏は、処遇改善の対象を「介護職員」から「介護従事者」に変えることで、対象者の拡充を提案することも明らかにした。
 このほか、最終取りまとめでは、介護報酬の地域区分の見直しで、現行より報酬が引き下げになる地域をつくらないよう提言する方針だ。

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 民主党の医療・介護作業チームは29日、医療・介護分野の見直しに関する報告書案をまとめ、2012年度の診療報酬改定について、政府に報酬引き上げを求めた。

 外来患者の医療費の窓口負担に一律100円を上乗せする新制度「受診時定額負担」の導入については、「『患者間で負担を支え合うことになる』という反対意見が多数だった」として、12年度からの導入を見送る方向性を明確に打ち出した。

 2年に1回行われる診療報酬改定を巡っては、政府の行政刷新会議が22日に行った政策仕分けで「据え置き」か「抑制」を求めたほか、小宮山厚生労働相も引き上げは困難との認識を示している。

 これに対し、民主党の報告書案では、医師の技術料や人件費に当たる「本体部分」と、「薬価部分」を合わせた診療報酬の全体について、「プラスを目指した対応を政府に求める」とした。
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基本的には将来的に、医師はますます不足すると僕は思っています。
それは「患者の重症度」的にもそうですし、普通に医療の需要と供給の関係でも難しくなるだろうと思います。
それを示したのは上先生たちのグループなのだと思いますが、今からゆっくりと回復させるしかないと・・・感覚的に思っています。
ゆっくりというのは、先ほども書きましたが「医師」を増やすために医学部を新設しても、その教官をどこから連れてくるのかという問題です。日本国内のどこも(東京は除くか・・・?)それほど余裕はないので、どこかから医師を集めればそこにひずみが生じます。
もはや余裕はないと思っています。
それ故、数年前に医師をともかく増やそうという話には反対意見を書いてきました。ゆっくり増やすしかない・・・って。
全医連の設立準備委員会の時(僕は受付をしていたんですがw)、懇親会で本田先生と話をしたのはその問題でした(覚えてらっしゃらないかなw)
今は立場もあるので正式に設立してからは距離を置いているのですけど。
今、打てる手を打たなければ…手足が縮まるだろう。
まだ、世界に誇る日本の医療は…現場で医師も看護師もみんなで頑張って支えています(うちの大学の血液内科の病棟・・・・看護師さんは16時間働いているのもいるみたい・・・。そりゃ、みんなやめますね・・・汗)。先程の記事にもありましたが、時間外労働は優に100時間を超えます。
しかし、いずれ限界が来て崩れます。リフォームならばともかく、一から建て直すのは大変ではないかと思います。
崩れてしまっては、それを再生させるための人材を集めることすらままならなくなるのですから。

埼玉県は2035年には医療事情は今の2倍悪化する(?):AERAより

という記事を書きました。これの元になった話は先日のこちらの記事にも書きました・。

現場からの医療改革推進協議会に参加

 

このままでは「災害」でも「戦争」でもないのに、平時で「Triage]が必要になってしまいます

僕はこのようなことを書きたくないのですが、書かせていただきます。

「もし15年後に、あなたの親があなた自身が…助かる医療技術はあるにもかかわらず、医療の供給が足りないという理由(医療の需要≫医療の供給)で医療が受けられない世の中になったらどうしますか?」


それが今の医療従事者の危惧です。正直自分の親はどうにかして自分で診断をつけに行くかもしれません。これも差別なのだと思いますが・・・。いや、選別ですね。

 

僕は医師としてそのような世の中になるのは嫌です。医師としてやり続けるのがつらくなります。

 

だから、今のうちに医療問題を改善していきたい。

 

そう心の底から思っています。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

 

P.S

 社会保障と税の一体改革に向け、民主党厚生労働部門会議の生活保護ワーキングチーム(WT、梅村聡座長)が検討している生活保護制度改革に関する論点整理案が28日、明らかになった。増大する生活保護費を抑制する手段として注目された医療費への一部自己負担の導入に関しては、反対意見も根強いため賛否両論併記としている。
 生活保護受給者は今年7月で205万人を超え、過去最多を更新。生活保護費の給付総額は今年度当初で3.4兆円に達し、うち医療費が約半分を占める。このため、政府の行政刷新会議は23日の「提言型政策仕分け」で、無料で受けられる医療への一部自己負担導入の検討を求めた。
 しかし、民主党内では、自己負担を導入すれば医療を受ける権利が侵害されるなどと反対する意見も強く、結論の一本化は難しいと判断した。
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医療に関しては難しい問題ですよね。生存権などもありますし。
ただ、お金の支給に関しては・・・先程別の記事のコメントにも書きましたが、個人的には現物給付(米とか野菜、果物など)を主体にして、できるだけ現金支給額を減らす…という形にまずはしてみてはと思っています。そうすれば「遊ぶ金」が欲しい人は働くのではないかと・・・・。
ひどい意見ですか?
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月100時間以上の時間外労働は勤務医の半数:新潟の医学部新設問題

2011-11-29 20:37:25 | 医療

こんばんは

 

今日も仕事が終わってからは走っておりました。今日は職場の人と二人で走っておりましたが8km位だったようです。

その後シャワーを浴びてから、丸亀製麺でうどんを食べて…で帰宅しました。

 

臨床現場からは遠ざかっていますが、一日ひとつくらいは医療相談があります。血液臨床とは全く異なりますが、診察して理由を説明して…例えば今日は・・・「骨折しているとか・・・あごの骨がずれているなどの心配はない」などと伝えると、みなさん安心して帰って行かれます。検査なんてないから問診と診察だけですけどね。

 

総合内科(内科でもないか・・・・w)といえば・・・そういえば…そろそろ内科専門医試験の合格発表かしら?

 

受かっているか…発表時期が12月上旬ころ(ころってなんだ?)なので、さっさと発表してほしいものです。

 

さて、今日はまずこちらの記事から。

 泉田知事は28日、県立病院勤務医の過重労働や深刻な医師不足に悩む新潟県の現状を踏まえ、医学部の新設に取り組む考えを示した。今後、全国知事会でも議題として取り上げ、他県と連携して、医師確保に向けた動きを強める考えだ。

 知事は同日の県議会企業会計決算審査特別委員会で、「新潟大の医学部定員は125人(学士入学含む)で、指導教官の問題もあり、これ以上の定員増は物理的に困難。医学部の新設を行う必要がある」と強調した。

 県によると、2008年末現在で、本県の医師数は人口10万人当たり、187・5人(全国224・5人)。全国平均よりも約37人少なく、全国で41位だった。

 新潟大医学部は県内唯一の医学部。定員は県の人口に比べて少ないが、来年度の医学部医学科の募集定員は120人にとどまっている。

 医師数を増やせば、医療費が増え、結果的に国家財政が逼迫(ひっぱく)するという懸念があったが、文部科学省が医学部定員のあり方に関する検討会を設け、改善に向けた取り組みを始めている。

 このため、県は〈1〉県立の大学医学部開設〈2〉私立大医学部の誘致――を軸に検討する方針。いずれの場合も県からの補助金の支出が避けられない見通しで、「財政支出に県民の理解が得られるか不透明だ」(県幹部)との指摘もある。

 一方、15の県立病院では、昨年度、時間外労働が月100時間を超えた勤務医はのべ195人だったことも特別委で明らかになった。勤務医全体(381人)の2人に1人が過重労働を強いられている計算になるという。泉田知事は「過重労働を続ければ、医師が事故を起こす可能性はある。勤務時間の抜本的な改善を検討したい」と述べた。

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大学病院にいたころは・・・特に1,2年目は時間外労働100時間以上でしたけど。研修医の一時期は1日3時間以外は家にいなかった(まぁ、帰らない日もありましたが)し・・・驚くには当たりません。
ただ、この状況に関して問題意識が少ないのは、それが問題だと思います。
もっとも・・・2006年からBlogを書き始めてこういった問題を書いてきましたが、最近は問題意識も高まったような・・・。
繰り返しますが、医師は不足しています。ただ、今回も医学部新設となっていますが・・その教官たちをどこから確保するのかなど…問題は山積みです。そういったことも含めて、いろいろ考えていかなくてはならないと思います。
医師増員に関して・・・教官確保などに関しては過去の記事

医大の新設? or  既存の医学部拡充?

第2のインターン闘争へ:CBT/OSCE国家試験へ

医学部新設への動き:僕はこう考える

3私大医学部新設へ:教育的な問題でちょっと反対です

医学部定員増で教育水準低下:前から言ってましたが可能性は高いです

大学病院や地域の病院を改革させる、もしくは改革できるような体制を作らせることが肝要だ

旧体制へ逆戻りか・・・・:僕はそうなると反対だな・・・

臨床研修のあり方に関して

臨床研修改革案?

臨床研修1年へ:前後をどう変えるかが重要でしょう・・・

医学部定員693人増へ:とりあえず、対応可能範囲でしょうか?

医学部定員増:教育予算の十分な確保を!

医師養成数5割増し提言:教育システムの改善は必要不可欠

定員増は負担

医局を超えた横の連携実施!:群馬大、4大学と連携

医師の大幅増員を求める署名活動:増員後の対応は可能だろうか?

若手医師、大半は戻らず:僕たちが中堅になるころに完全崩壊します

医学部定員国管理見直し論:いずれにせよ、医局改革が先だと思う

久坂部羊の医師増員批判:病院勤務医の待遇改善のためにも医師増員は必要だと思いますよ?

医学部定員増加:焼け石に水だが・・・

医学部定員増を要望:医局員の疲弊から医局完全崩壊するぞ?

医師定員増へ:しかし、良いところはKeepすべきかな・・・

医師不足は新臨床研修制度のせい:ただ、魅力のある場所に人が集まっただけです!

「ねじれ」と佐藤先生の講演から:医局改革の必要性

医師教育制度はどうするべきか?

医師増員の意見書:医者を増やすとしてどう増やす?

医療連携:縦と横と心

意見投稿してきました

派遣の前に:大学への政策を改めよ!

新しい医局制度:全医連に対する期待は・・(これはただの僕の考えですけどね)

も、もしよろしければご覧ください。
新潟県内から人を集めたら、勤務環境はもっと悪化します。外からでも同じ。要するに余裕がない。そこが一番気になります。
僕はおそらく方針転換できるのは…今のうちだけだろうなと思います。
根拠を示せないですけど、これ以上医師数が不足すれば「打てる手」がなくなっていきますので。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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