さて、続けます
この記事を読み、Yahooのコメント欄でいろいろ書かれているのを見た後に、MRICのある記事を読みました。両方紹介しますので、コメントください。
「診療報酬引き上げ容認意見なし」財政審-分科会、中医協森田会長らからヒアリング
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111128-00000006-cbn-soci
医療介護CBニュース 11月28日(月)17時7分配信
この日の会合では、中医協の森田会長のほか、社会保障審議会(社保審)介護保険部会の山崎泰彦部会長、日本医師会(日医)の中川俊男副会長、医療法人鉄蕉会の亀田隆明理事長からヒアリングを行った。会合後の記者会見で、財政審の吉川会長は「診療報酬を引き上げるべきという意見はなかった。現状で引き上げるのは、国民の理解が得られないとの意見が何人かの委員からあった」と述べた。
このほか、診療報酬と医師の給与に関連して分科会委員から、ドクターフィーについての考え方を聞かれた日医の中川副会長は、「医療機関の経営原資の主たるものは、広く薄く支払われる診療報酬。ドクターフィーの考え方はなじまない」との見解を示した。また受診時定額負担制度について、鉄蕉会の亀田理事長は「いろいろな病院に何回も行く患者もいるので、受診時定額負担を導入すべき。ただ、前回の診療報酬改定による病院の雇用増加を鑑みて、病院の医師等に関わる診療報酬のマイナス改定は避けるべき」との考えを示した。
■介護報酬のメリハリ「24時間巡回サービスなどで質向上に対応」
12年度の介護報酬改定の審議状況は、社保審介護保険部会の山崎部会長が説明した。介護報酬改定について分科会委員から、「介護報酬の中で、メリハリをどのように付けていくのか」との質問が出た。これに対し山崎部会長は、「地域包括ケアの概念の中で、24時間巡回サービスを実施するなどして、介護サービスの質を高める対応を行う」と述べた。
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もう一度言う、この国の医療をどうしたいのか。マスコミは、恣意的な発表をせず、もっと勉強して正確に伝えてほしい。国民皆保険の医療は、国の根幹をなす大事な分野である。いざという時のセーフティネットは、年金より医療である。財務省主導で目の前のお金の配分を決めれば済む話ではない。」
「医師の外来診察技術料が70点(700円)という赤字必須の診療報酬からさらに減額させられるとどうなるかご存じだろうか。診療所では、無駄な検査と余分な治療が増えていく。頻回な受診が求められる。開業当初は、純粋な気持ちで向かい合っていても、借金を背負って背に腹は代えられなくなっていく。気持ちも荒んでいく。周囲を見渡せばこんな開業医がたくさんいる。今でさえギリギリである。」
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恣意的な…のところは記事本文をお読みください。すべて重要ポイントを抜粋すると、記事本文に誰も行かなくなりそうなのでw
僕は両方の文を読んで一つだけ国民の皆様に知っていただきたいことがあります。
医療は医師が重要なんです。
・・・・って書くと「馬鹿か。それくらいは知っている」と言われてしまいそうですが(笑
医師が診察して検査前の確率を見積もることで、診断確率が上昇します。
例えば、胸痛で受診(あえて血液内科医が癌以外で行きますw がんの診断は最終的には病理診断ですので)した患者さんがいたとします。
胸痛と言われていやだな~と思うのは心筋梗塞や不安定狭心症などの心臓関連の疾患があります。ほかにも呼吸器関連(気胸、肺炎から胸膜炎、膿胸など)、血管系(大動脈解離とか)、消化器系(GERDや特発性食道破裂なんかも教科書的ですか?)、骨格筋の痛みなんかもあるかもしれませんね。
ここに診察で痛みは労作時(動いた時)に悪化して、安静で数分で収まる(なんか狭心症かも…という病歴)。深呼吸などでは痛みは増悪しない(呼吸器ではなさそう)。消化器症状を伴わない(確か論文か何かで、心臓と消化器系の胸痛との鑑別として、否定はできないが消化器系に多いとはされている)。とか、病歴が聴取されていく。
ここで既往歴に糖尿病・高血圧・高脂血症が加わったら心臓・血管系を考えます。年齢が65歳以上(でしたっけ?)が加わったら、さらに点数が上昇しますね。
で、診察で脈の左右差はない(友人は脈の左右差で大動脈解離 Stanford Aを診断しました。これはやはり重要な所見です)とか、心音がどうだとか・・・・。
そして心電図で~(発作時の心電図があれば・・・)とかですね。
条件がバリバリに整ったら、アメリカだったら負荷心電図とかしないでしょうね。日本でもしないかな・・・。検査をする理由が診断のためにするのであれば・・・必要がないこともあるし、条件が悪かったら負荷がかかりすぎるかもしれない。まぁ、重症度の確認にはなるかな?
僕が言いたいのは…診察が最も重要ということと、負荷心電図をとる必要がないのに取らなくては診療が成り立たない構造になっているかもしれません…ということ。
有名な話をもう一つ書きます。
HIVの検査の感度(HIV感染者を陽性とする割合)・特異度(HIVでない人を陰性とする割合)は高いのですが、有病率が日本ではあまりに低いために偽陽性ばかりになる。
下のパワーポイントは僕が研修医のころ(地域医療とかでですかね。比較的時間があって)作ったスライドの一部(38枚ありましたw)です。
この有病率というのは実際の患者さんがいる割合ですけど、()で書いていますが検査前確率です。一般の検査はこんなに感度も特異度も高くないので、いかに検査前確率を上げるかが勝負になってきます。
すなわち、診察です。
内科医は不要?:ベイツの定理と診断確信度
という記事でも書いていますが、どれだけ検査が発達しようとコンピューターが発達しようと、おそらく医師の出す検査前確率によるところが診断に寄与するところは大きい。そして診断の確率をどう見積もるかで「検査」「診断」「治療」と進むわけです。
この辺の医療の可能性は過去にも記事にしてきましたし、上記MRICの記事でいろいろ書いてあるので割愛します。
ただ、
1、医師の診察の重要性に関しての理解してほしい
2、その重要なところが医師不足のために短い時間しか取れない
3、そのため検査が増える
4、検査をしないと診療所や病院が成り立たないから増える
5、かなり不足している医師数でぎりぎり持たせている日本医療に「訴訟」の話が出るようになって、万一の可能性を考えたため検査が増えた
と、強調させてください。
いつも読んでいただいてありがとうございます(読んでくださった方の時間を無駄にしていませんように)。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。