新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

自衛隊の20km圏内除染:自衛隊法83条との整合性は・・・?

2011-11-20 15:08:00 | Weblog

もう一つ追加します。

 

2つの記事の複合です。

 

一つ目はTPPと米。もう一つは自衛隊と除染活動に関してです。

 

では、1つめの記事はこちら。

 読売新聞社の「農業」に関する全国世論調査(12~13日実施、面接方式)によると、農業の生産性を高めるために規模の大きい農家を増やしていくことに「賛成」は68%で、「反対」19%を大きく上回った。

 農家に補助金を直接支払う制度の拡充に関しては「賛成」59%、「反対」29%だった。新たに農業を始める人を政府が補助金などで支援することに、「賛成」と答えた人は80%に達した。

 政府が検討している、これらの農業再生策は多くの支持を得ているようだ。

 企業が農業を自由に行えるようにすることに「賛成」する人は62%だった。

 仮にコメの輸入が自由化された場合、価格が高くても国内産のコメを主に買いたいと答えた人は89%を占め、価格が安ければ外国産を主に買いたいとする人は7%に過ぎなかった。

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これは予測の範囲ですね。過去にタイ米が輸入されたことがありましたけど、翌年には解消されました。余った米って牛とかの餌になったんですよね。安くてもだれも買わない。だから牛とかの餌になる・・・。

 

それを考えると自由貿易になっても(今、最低限の輸入は国としてやっていますが)、多くの人は国産米を買うだろうな…というのは予測範囲。

むしろ、日本米を売り込むチャンスかもしれませんけどね。

 

減反しなくてよくなったりしてw

ただ、小規模農家(特に専業農家でなく、兼業農家の方)は厳しくなるかもしれませんね・。

 

次に自衛隊の「放射能除染」の話です。

 東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内にある自治体庁舎の除染作業に陸上自衛隊を派遣する政府方針が、防衛省内で波紋を呼んでいる。野田佳彦首相には来年1月から始まる民間業者の作業に先んじて国の機関が取り組む姿勢を示す狙いがあるようだが、本来は国防を担う自衛隊を政治の「道具」「便利屋」扱いする姿勢が透けてみえるからだ。(峯匡孝)

 政府は、1月から政府直轄の除染事業にあたる民間企業の作業拠点となる自治体庁舎の除染が必要で、専用資機材と専門的知見を有する陸自部隊の派遣が適切と判断した-としている。

 庁舎の除染は環境省が要請する福島県の浪江、富岡、楢葉3町が検討され、側溝にたまった汚泥の除去や放射性物質を洗い流すなどの活動が見込まれる。放射線に対応する陸自化学防護隊など300人程度の派遣が想定され、12月中の2~3週間程度の短期間で活動を完了する予定だ。

 「これは自衛隊でなくても、民間業者でも十分できる内容だ」

 陸自幹部は今回の派遣にこう疑問を示す。一方、一川保夫防衛相は18日の記者会見で「除染事業開始までに拠点場所(の除染)を早急にやるとすれば自衛隊の能力が期待される。民間には難しい」と強調したが、これも疑問符がつく。

 たとえば環境省は当初、町庁舎以外の除染も要請していたのに、防衛省側との協議であっさりと町役場庁舎だけの除染で決着した。民間との役割区分があいまいで、自衛隊でなければならない理由は分からない

 首相から指示を受けた一川氏はあっさり派遣を了承したが、防衛省幹部によると、渡辺周防衛副大臣は派遣に不満を漏らした。

 渡辺氏は、同省幹部が報告した3町役場庁舎付近の放射線量が記載された資料が約4カ月前の7月時点に計測した数値だったこともあり、環境省の意向を“安請け合い”したのではないかとして怒ったとされる。防衛省幹部は「自衛隊を“道具”のように扱うことが許せなかったのでは」と推し量る。

 不十分な事前調査で安易に自衛隊を使う手法は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸自派遣でも同様だった。政権の都合で軽々に自衛隊を使う構図が浮かび上がる。陸自幹部は「自衛官は行けといわれれば行く。だが、私たちは便利屋ではない」と嘆いた。

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 「これは自衛隊でなくても、民間業者でも十分できる内容だ」

この意味が分からない方がいるかもしれませんが、災害派遣に関しては自衛隊法第83条に判断基準として緊急性・公共性・非代替性が示されています。この非代替性、自衛隊でなければ行えない活動かどうかということです。

 

町役場は自衛隊の除染で、ほかの場所は民間でOKなんて話があるか~ということですね。

 

今回の派遣だったら公共性はともかく、緊急性と非代替性は「?」が付きます

皆さんは、いかが思われますか?


 

コメント (4)
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医師課税特例問題:診療報酬改善と同時にやるしかないかな・・・?

2011-11-20 14:48:09 | 医療

さて、続けます

先日も書きましたが、医師課税特例の話です

 会計検査院が「不公平だ」と指摘していた開業医や小規模医療機関を対象とする社会保険診療報酬の課税特例措置の見直しが、平成24年度税制改正では見送られる見通しとなった。実際よりも多い経費が認められるなど医師の“特権”として問題視されてきたが、反対する業界団体との調整が難航するのは必至。野田佳彦首相が最優先課題とする消費税率引き上げの議論に影響する可能性があり、24年度税制改正では見直しの方向性を打ち出すだけに終わりそうだ。

 特例は従業員の少ない医療機関の事務を軽減する目的で設けられた。社会保険や国民健康保険から支払われる診療報酬が年5千万円以下が対象になる。

 所得税や法人税の対象となる課税所得額を計算する際、本来は診療報酬から実際にかかった必要経費を差し引くが、特例では一定の経費率を診療報酬に掛け合わせた額を概算の経費と見なして差し引くことができる。

 経費率は診療報酬の額ごとに72~57%まで4段階に分かれ、報酬額が少ないほど経費率が大きくなる。

 本来の計算方法と特例のどちらかを選択できるため、会計検査院の調査では、9割近くが実際の経費も計算して比較し、有利な方を選んでいたという。さらに1654件について経費を計算したところ、特例に基づく経費率の平均値が70・4%だったのに対し、実際の経費率の平均値は51・5%にとどまり、20%近くも経費が水増しされていた。水増し分が、1千万円を超えるケースも294件あった。

 このため、会計検査院では「他の事業者との公平性が大きく損なわれている」とし、見直しを要請。政府税制調査会も当初は廃止を含む見直しを検討する方針だった。

 ただ、廃止は診療報酬の減少で経営が悪化している医療機関への影響が大きく、全国保険医団体連合会は「小規模零細の医療機関や高齢の医師が閉院に追い込まれる」と猛反発。民主党内でも「懸案だが、実施に移すのは簡単ではない」(党税調役員)とし、25年度以降への先送りが優勢となっている。

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開業医の課税特例:へき地医療限定にしたら?

まぁ、それなりに診療報酬を改善すると同時に課税特例をある程度のレベルで廃止するのが良いのでしょう。

8人の方が答えてくださっているようですが・・・・、皆様は改めてどう思われますか?

 


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起ち上がれ日本の勤務医よ(植山直人著):ドクターズ・デモンストレーション2011本日開催

2011-11-20 13:13:49 | 医療

こんにちは

 

昨日風邪気味と書きましたが、葛根湯+休養でなんとか体調も改善したようです。

さて、その間何をしてたかというと本を読んだりしておりました。アマゾンで「起ち上がれ日本の勤務医よ」などを購入していたのが届いたので読んでおりました。

 

この本の中には今の医療問題のことがいろいろ書かれています。

特に労働問題に関してですね。労働基準法や欧米諸国における医師の労働基準などについて書かれています。

 

医師ユニオン代表の植山直人医師の著作ですが、僕もこの問題を大きな問題だと思っています。

僕も一勤務医として「勤務医の労働問題(僕がブログを書き始めたのは尊敬する先生(40前後)が寝る間もないほど遅くまで働いていたから)」を研修医が終わったころからインターネット上で書き続けてきた医師なので(眠らない医者の人生探究劇場)、こころからこのような活動を応援しております。全国医師連盟の準備委員会までは協力してましたしw

正式発足してからは、立場上は協力が難しいので距離を置いておりますが、今の日本の医療を改善したいという思いは同じです。

しかし、勤務医の労働環境の改善に関しては本当に同時並行的に様々なものを行わなければならない。

 

確かに僕も3年前は1年間で病院に行かなかったのは2日だけでした。その翌年も14日でした

2年間で大学から離れるという話から、延長してもう一年(3年目)になってからは、「これは過労死するな(体重が62kg→53kgになったため)」と思い、後輩と完全に週末は折半することにしました。ただ、何かあたら駆けつけていましたけど。

 

このくらいやってどうにか病院が維持できている状況を急に「労働基準法違反」と言って改革しようと思っても、やはり無理があるわけです。それは全員がわかっていますが、それでもこのままでは過労死予備軍が多すぎる…という問題があります。

 

この本の中で「問題はシンプルで、日本の医療は医療従事者を犠牲にし、アメリカの医療は患者を犠牲にしているだけ」という言葉があります。

勤務医の負担は診療科によっては「かなり大きい」と僕も思います。知っている血液内科の先生が勤務医を辞められたりするのをみて、このままでは続かない「日本の医療」だなと思っています。

しかし、1983年以降行われてきた日本の医療の負の遺産を、いきなり欧米諸国のようにしようと思えば「患者さんを犠牲」にすることになるかもしれない。そしてそれは日本国民が望むことであるはずもなく、そうなれば大きな反対が起きるのも了解できます

 

かといって、何もしないでいれば「堤防」はいずれ決壊し、日本の医療は水の底に沈むかもしれない

 

今は緩やかに、しかし確実に改善させなくてはならない。ただ、「高齢化」「専門化」が強くなり今の労働環境でも壊滅的な状況になりそうだと予測している中で、どうやったら労働環境が改善できるのか。

 

まぁ、これは医師数を増やすしかないのですが、増やすにしてもどう増やすか。

この本の中でも「今の医師数でよい」という意見と「1.5倍程度に増やす必要がある」という意見と書かれておりましたが、僕は医師数はかなり増やさないといけないだろうと思っている人間です。

しかし、過去にも書いてきましたが「教育体制」がなっていないだろうとも思っています。大学の医局に魅力がないから研修医が来ないのが第一であり、それはスタッフの余力がないからです。研修医はいなくなった。そのため、さらに医局に余力がなくなった(一部、盛り返している病院もあるみたいですが)。

大量の医学生が来ても教育に差し障りがあって、レベルも下がる。また、これ以上負担を大学病院の人間に追わせれば、大学から人がいなくなり負のスパイラルに入ってしまう。だから以前より、大学病院の待遇改善をまずは行わないといけないと書いてきたのだが…そんなこと言っている人ってこの6年間であまり見たことがない(汗

医大の新設? or  既存の医学部拡充?

第2のインターン闘争へ:CBT/OSCE国家試験へ

医学部新設への動き:僕はこう考える

3私大医学部新設へ:教育的な問題でちょっと反対です

医学部定員増で教育水準低下:前から言ってましたが可能性は高いです

大学病院や地域の病院を改革させる、もしくは改革できるような体制を作らせることが肝要だ

旧体制へ逆戻りか・・・・:僕はそうなると反対だな・・・

臨床研修のあり方に関して

臨床研修改革案?

臨床研修1年へ:前後をどう変えるかが重要でしょう・・・

医学部定員693人増へ:とりあえず、対応可能範囲でしょうか?

医学部定員増:教育予算の十分な確保を!

医師養成数5割増し提言:教育システムの改善は必要不可欠

定員増は負担

医局を超えた横の連携実施!:群馬大、4大学と連携

医師の大幅増員を求める署名活動:増員後の対応は可能だろうか?

若手医師、大半は戻らず:僕たちが中堅になるころに完全崩壊します

医学部定員国管理見直し論:いずれにせよ、医局改革が先だと思う

久坂部羊の医師増員批判:病院勤務医の待遇改善のためにも医師増員は必要だと思いますよ?

医学部定員増加:焼け石に水だが・・・

医学部定員増を要望:医局員の疲弊から医局完全崩壊するぞ?

医師定員増へ:しかし、良いところはKeepすべきかな・・・

医師不足は新臨床研修制度のせい:ただ、魅力のある場所に人が集まっただけです!

「ねじれ」と佐藤先生の講演から:医局改革の必要性

医師教育制度はどうするべきか?

医師増員の意見書:医者を増やすとしてどう増やす?

医療連携:縦と横と心

意見投稿してきました

派遣の前に:大学への政策を改めよ!

新しい医局制度:全医連に対する期待は・・(これはただの僕の考えですけどね)

 

個人的には

1、大学などの教育施設に対する待遇の改善。スタッフの増強

2、それに合わせた医学生の定数増加

3、それに合わせて勤務環境の改善

と思っています。

もちろん、大学などのスタッフ増強にはほかの施設の医師数が減る可能性も考える必要があります。あと、将来的には交通機関がさらに改善し、病院への搬送(時間的距離)がよくなって、集約化できることは期待しています。

さて、今ドクターズデモンストレーションをやっているのですが、盛況なんですかね?様々な団体が来るので、それなりに盛況になるのでしょうけど。

僕も立場がなければ(あと、勉強会みたいなもので、デモでなければ)、講演会だけでも聞きたかったですね。誰か参加した方教えてくださいw

 

では、また。

P.S

ドクターズ・デモンストレーション2011

 
現在、進行中です。僕は参加しておりませんが、興味のある方は是非とも応援のほどをよろしくお願いいたします。
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