玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*2つのインタビュー

2008年09月23日 | 捨て猫の独り言

 作者の日常的な声を聞いてその作者を身近に感じたいという欲求は誰にでもある。NHKのラジオ深夜便のインタビュー番組 「科学と短歌~ふたすじの道を歩む」 永田和宏(歌人・京都大学教授)が9月の中旬2夜連続であった。目覚ましを午前4時にセットして聞いた。こんなことは初めてだ。一方を趣味としてでなく歌人と科学者の両方を続けるには意地でも頑張らざるを得ない。短歌を読み返すとその瞬間瞬間のことを鮮明に思い出すという。

 永田は今年還暦を迎える。短歌結社 「塔」 を主宰、京都大学再生医科学研究所の教授である。夫人は歌人の河野裕子で、今年からは夫婦で宮中歌会始詠進歌選者となった。長女永田紅も歌人だ。永田は鹿児島の南日本新聞歌壇の選者でもある。永田は私の想像していた通りに庶民的な語り口であった。家人からは 「あくび大明神」 と呼ばれている。私とは異次元の超人的な仕事ぶりなのだろう。

 岩波書店00年発行の前登志夫著 「明るき寂寥」 を市立図書館で発見した。その中に 「歌人の山住み」 と題したインタビューがあった。歌人の若い頃からの歩みの概括も興味深く読んだ。

八月の灼ける岩根の汗拭ひ絶倫といふ明るき寂寥

●この歌は性的なことをパッと・・・・

○そうではなくて自然や宇宙の魔力が主題になっています。デモニッシュですね。何か並外れて強い生命感をもっているもののある孤独みたいなものでしょうね。いける物、存在するものの汗の寂寥というか。

 このインタビューはつぎのような笑いで始まり笑いで終わっている。

●いま奥さんと二人なんですか?お嬢さんも?

○娘は今、勤めを辞めて帰っていましてちょっと賑やかでぼくも機嫌いいんです。そうでないと、奥さんの言うことはおおかたボヤキですからね(笑)

●お酒が好きだということは有名な伝説ですね。

○なんでそうなったんですかね(笑)ぼくはそんなに強くない。ところがぼくを酒豪だと思っているんですね。歌がどんなに下手でも何でも、ぼくは酒豪に対してそれだけで畏敬の念を表する(笑)

コメント
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