それぞれ東京と大阪を出発した2人は8日の夜に札幌駅近くの 「東横イン」 で合流しました。私の相棒の旅の信条は胃袋でその土地を感受するというものです。目標の一つは太陽のもとでジンギスカンを心ゆくまで食すことでした。陽はとっくに沈んでいましたが、札幌駅から大通公園をこえてススキノまで歩き、ジンギスカンの食べかつ飲み放題の店に飛び込みました。薄暗い灯りと狭い空間のもとでしたが、たらふく食べられたことで満足でした。
普通列車で稚内に到達するには10時間37分かかります。札幌を6:02に出て、やむなく旭川で2時間の途中下車をして、稚内には16:39に到着です。旭川では駅前大通りをやみくもに直進し、相棒はラーメンを私は寿し弁当を求めて別行動です。旅するラーメン党は他にも見かけました。列車の出発時間の関係で11時では無理で10時半開店を捜すのに必死です。ラーメン店 「蜂屋」 で望みを果たした相棒の感想は 「うまかった!」 ではなく 「食べた!」 でした。
「天北の湯・ドーミーイン稚内」 に2泊しました。稚内駅と港のすぐ近くです。新しい建物で最上階の露天風呂が自慢のホテルです。裸で風に吹かれて空を見上げ、さいはての街の夜景を見おろしていました。ホテル近くの居酒屋のカウンターには若くない母娘が忙しく立ち働き、壁には持ち帰りたくなるような利尻富士のポスターカレンダーが貼られています。明日についてカウンターの意見を受け入れ、午前は礼文・利尻の島を訪ね、午後はバスで宗谷岬と決めました。当初は礼文島内をめぐり、その結果宗谷岬は断念するつもりでした。
新造船が多いハートランドフェリーは6:20に稚内を出港し、2時間で礼文に入港します。私達は100分後に別船で利尻に向かい、そこで新たな客が乗り込むと直ちに離岸して12:40に稚内に帰港しました。礼文の100分間は町役場への一方的表敬訪問やウニ専門店でバフンウニの加工現場を覗くことぐらいしかできません。利尻山はアイヌ語で 「リイ・シリ(高い山)」 です。海から標高1721mまで一気につきあげているので島全体が利尻山です。この日はいつまでもかすんで見えていましたが、言葉通り 「海上に浮かぶ富士」 の景観を堪能することができました。