連休など関係ない身分になっても、大型連休の声を聞くと何となく落ち着かない。柔らかな陽の光と若葉が私たちに外出をうながす。このところ私の行動範囲は極めて狭く、自宅から自転車で出かけるぐらいが関の山である。一年を通して休む間もなく日本各地を旅してみたいという望みを持っているけれど、想うところあって今は封印している。もっとも囲碁の学習に専念するためにはその方が好都合ではある。この時期の住宅街の庭先には淡黄色の「木香バラ」が目立っている。
連休のある日、東京都水道局が管理する狭山湖(山口貯水池)に出かけた。狭山丘陵の浸食谷を活用してつくられた人造湖である。すでに隣りの多摩湖(村山貯水池)はサイクリングロードをぐるり一周した経験がある。狭山湖は多摩湖に先立って堤体の耐震強化工事が完成した。同時に公園整備も行われ、そこには東京都知事の筆による「五風十雨の味わい」の石碑があった。あとでその意味を調べると、世の中が平穏無事である譬えだという。残念ながら多摩湖と違い、狭山湖の周回道路は半周だけで、あとは一般道路だった。
連休のある日、久しぶりに映画を見るために立川に出かけた。上映の前に、近くの国立昭和記念公園の入口広場の草の上でデパ地下弁当をいただく。そこでは幼い子供を連れた数多くの家族を観察することができる。類似の場面が他にもあったことに思いが至る。たとえば緑道でシジュウカラの親鳥が子育てのために巣箱を出入りするのを人は飽きずに眺めるというようなことだ。映画は「英国王のスピーチ」だった。それほど劇的でない題材を映画に仕立てたことにまず感心した。ヒトラーの演説の実写を見ている劇中の英国王が「ドイツ語は解らないがうまい演説」だと感心するシーンが記憶に残った。
連休のある日、鹿児島から「あくまき」が届いた。もち米を竹の皮で包んで灰汁(あく)で煮込んだ、ちまきの一種である。童謡「背くらべ」に5月5日にちまきを食べたと出てくる。以前はあまり気にしなかった童謡や小学唱歌が最近は親しいものになってきている。この童謡にある、柱のきずがなぜ「おととし」なのか。「やっと、羽織の紐のたけ」もよくわからない。ネットを検索してひとまず疑問が解けた。平均身長を調べると小学生は一年ごとに約6cm伸びる。2年間では12cmだ。また唱歌「夏は来ぬ」に「卯の花の 匂う垣根に」とあるように、玉川上水ではマルバウツギ、ガクウツギナなどの白い花がまさしく咲き始めている。(堤の上の遊歩道、上が狭山湖、下が多摩湖)