玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*緑道散策10キロ

2011年05月23日 | 捨て猫の独り言

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 一か月前から予定していた玉川上水散策が男女数人が参加して行われた。ひと汗かいた後の会食の方が気分もよいのではという提案が通ったのである。天気予報では午後から弱い雨になるという。玉川上水はJR中央線の北側を流れ、三鷹駅の真下を暗渠となって南側に抜ける。三鷹駅に10時に集合して小金井公園まで5キロ歩き、昼食の後にさらに上流へ5キロ歩く行程である。5キロをそれぞれ2時間かけて歩いた。

 三鷹駅から下流の万助橋までは、玉川上水沿いに「風の散歩道」というレンガ敷きの歩道になっている。その歩道を駅から300mほど行くと太宰治が入水したと考えられるあたりに青森県金木町の石で造られた「玉鹿石の碑」がある。さらに300mほど行くと山本有三が戦前に住んでいた邸宅が記念館として公開されている。そこで引き返して駅に戻り、いよいよ上流を目指して歩き出した。境浄水場を過ぎて桜橋のたもとには国木田独歩の碑がある。

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 小金井公園は都立公園で最大の広さをもつ。日比谷公園のほぼ5倍である。東京府は昭和14年の愛国ムードが高まる中で、紀元2600年記念事業の名を借り、時局に備え防空緑地とするために、短時日に買収を執行した。この日たまたま公園の裏道を通り、その一部に民有地と表示した土地が存在しているのに出会った。当時の買収に抵抗した人達がいたのかと想像したりする。紀元2600年の式典で使われた光華殿が皇居前から移築されたのが昭和16年である。戦後にも幾多の変遷を重ねた光華殿が現在は「江戸東京たてもの園」の正面出入り口の建物として存在している。

 この日の緑道でひときわ目立っていたのはエゴの木の花である。どのエゴの木の下も、あたり一面が白い落花で敷きつめられている。他にはヤマボウシとノイバラに出会う。木々の緑は日増しに濃くなってきているようだ。午前中高かった気温も午後になって下がり始め、歩くのには都合がよい。しかし明るかった空も雲に覆われだした。そのうち強い風が吹き、木の葉が大きく揺れ動いてざわめきだした。ぽつりと雨も落ち始める。青葉のトンネルの中を急ぎ足になって我家にたどり着いてまもなく、かなりまとまった雨が落ちてきた。雨の降りだしが早かったものの、予報通りの恵みの雨となった。

コメント (1)
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