今年は4月中旬になっても東京地方の桜は散り終えていない。庭のフキの小さな若葉がしだいに大きくなりあたり一面に広がり始め、みるみるうちにむき出しになっていた土を覆い隠していった。ヤマブキが濃い黄色の花を垂れ下げて強烈に自己主張している。いつの間にかハナミズキが空に向かってぽつぽつと淡いピンクの花をつけ始めた。柿の木の枝先も芽吹き始めた。あらゆる木が芽吹き始めた。今やまさに緑道の冬枯れの風景が、短期間のうちに青葉のトンネルに変わる目まぐるしい時期である。
市報で津田塾大学の公開講座の案内を見た。前期は4月から7月の毎木曜日の午後で後期もある。まず木曜のそのつど正門守衛所にて申し込みを受け付けるというのが気に入った。気楽に参加できる。講座名は「総合2012 常識?真実か、幻想か」となっている。第1回はオリエンテーションである。そこで講座名にある総合があの総合であることを知った。2000年ぐらいから日本の小学、中学、高校に導入された総合学習の時間のことだった。これが基礎学力の低下を招いていると、批判され衰退しつつあると聞いている。私見だが総合の授業は大学生ぐらいの年代ならば実りが期待できる。津田塾大学にはその総合という教科が存続していた。
これは津田塾大生が取得する選択科目の一つである。そこに一般の私達が自由に参加させてもらうのである。企画運営はすべて自発的に名乗りをあげた学生スタッフのミーティングで決定され、担当教員は提出されたレポートの成績評価をするだけだ。今年度のテーマが「常識」になった経緯は、他の津田の講義では聴けないような常識を覆されるような話を聴きたいというスタッフの一言から始まったという。常識について考え直すための問いを立て、それらの問いに基づいてそれぞれのスタッフが講師依頼を行う。前期13回 のうち7回分の7人の講師は決まったが残り6人は未定だという。
毎週違った講師の話が聞けるわけだ。それにしてもテーマを設定し講師を捜し依頼の交渉をするスタッフの苦労も並大抵ではなかろう。たとえば次回は日大理学部教授の小笠原善康氏でタイトルは「知っていることは学力か」、第7回は作家の雨宮処凛氏で「貧困の現実」とある。常識とは当たり前のことであるが、人は当たり前のことを当たり前に行うことが意外に難しい。そういえば今日は意外な場面に出会った。MLBの試合のテレビ放送を見ていたら、両チームの選手の背番号がすべて42なのである。1947年4月15日はジャッキー・ロビンソンという黒人選手が大リーグの試合に出場して人種の壁を崩した日である。それから50年後に大リーグはロビンソンの背番号42を全球団の永久欠番と決めた。(写真は4月15日の狭山湖畔)