沖縄の翁長知事は14日の会見で国連の人権理事会で演説する理由について「日米安保体制が自国民にすら自由・平等と民主主義を保障できないのに、なぜそれを他国と共有できるか、海外にも発信すべきと考えた」と説明した。21日のスイスのジュネーブでの国連演説の前にNGO主催のシンポジュウムでも講演し、新しい基地をつくらせない流れを作りたいと訴えた。
シンポジュウムでは沖縄が独自の言語、文化を持つ独立国だった歴史を説明。1879年に日本の一部となった琉球処分や、戦後の米軍基地建設など一貫して自己決定権がなかったと強調。「沖縄県に、県民がどうぞと土地を差し出した基地など一つもない。普天間飛行場が老朽化し危険だから、沖縄に負担しろと言われることに理不尽さを感じる」と述べた。(写真は9月15日撮影)
辺野古への移設計画についてあらゆる手段を使って基地建設を止める覚悟だと英語で2分間演説した。昨年11月の沖縄知事選などで住民の多数が基地の県内移設に反対の意志を示していることについて、日本政府は民意を一顧だにせず建設作業を強行しようとしていると述べた。演説後、取材に応じた翁長知事は「辺野古で強引に工事が進む可能性があるので、世界中の人が日本と米国の民主主義にぜひ目を向け、それぞれ発信してもらいたい」と話した。
一方日本政府の代表者が知事の発言を受けて理事会で発言。「一番大切なことは、安全保障環境が悪化する中、国民の安全を守ることだ。辺野古への移設は米軍の存在による抑止力を維持し、住宅密集地にある普天間飛行場のリスクを取り除く唯一の道だ」と語った。また米国務省の報道官は記者会見で辺野古移設を見直す考えのないことを強調した。「この道しかない」が政府の決まり文句だ。