昨年半ば頃から、いわゆる「断捨離」に励んでいる。高度経済成長期に買い込んで、あまり活用しなかったものが多いことにいまさらながら驚く。無駄な買い物ばかりだったと後悔することしきりだ。
悔しい買い物はほとんどが訪問セールによるものだ。外国製の水フィルター掃除機や高温蒸気洗浄機は高額なものだった。悲しいかなセールスマンのトークに、断固として断ることができない質なのだ。書籍ではライフ社の美術と歴史全集などがある。
給料・ボーナスが潤沢な世の中だったから無駄な買い物はどんどん増えた。日本製品の中での大物はオーディオセットである。なにかにつけて飽きっぽく、音楽にのめり込んだ時間も長い期間ではなかった。音楽の感性に磨きがかかったという実感などまるでない。難聴の今では全く無用の長物となり、これも近いうちに処分する。
昨年は書籍の処分に邁進し、2階の本棚はすべて空になった。1階の本棚を空にするとあまりにも寂しいので、そこには3つの全集ものが残ったが、その中の1つ14巻の武田泰淳全集は読み終えていない。仏教の基本は欲望を捨てるということ、物を所有しないということなのだが、これまでそのことに無自覚であったことを思い知る。