橋本竜太郎首相とモンデール駐日大使が普天間飛行場の返還合意を発表したのは1996年4月だった。県内移設が条件ながら、普天間飛行場は5~7年で返還される計画だった。あれから27年にもなろうとしているのに新基地建設は完成の目途さえたっていない。
政府は「辺野古が唯一の解決策」と主張して、選挙でいくども示された民意は無視され続けている。軟弱地盤問題を抱え、「普天間の猶予できない危険除去」を置き去りにしてあと何年かかるか確信のもてない工事に突き進んでいる。泥沼化は政治の責任だ。
正月には「世界の基地問題と沖縄」川名晋史編・明石書店を読んだ。あえて一度沖縄を離れて、そして十分距離をとった地点から沖縄で起きている問題をいま一度見直そうと、沖縄、ドイツ、韓国、イタリア、イギリス、マリアナ諸島(グアムを含む)、バーレーン、スペインなどの基地問題について13名が執筆している。
米軍は世界33か国に基地を置いており、施設数、兵員数において日本、韓国、ドイツが多く、中でも日本は突出している。「日本が基地問題の改善を働きかけるうえでの最善のパートナーとして韓国を位置づけること。北東アジアにおける米軍のプレゼンスを支えるために日韓が協調するとれば、米国にとっても歓迎すべき展開のはず」というのは、この本の中で注目したことの一つだ。