玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*父とその娘(中)

2023年09月21日 | 捨て猫の独り言

 引用ばかりで恐縮だが「坂本さんの来訪」もおもしろい。

◯父の死後3ヶ月ほどたった夏の初めの頃だったと思う。坂本龍一さんから電話があり「あの~吉本さんのお仏壇にお参りしたいのですが」と言う。坂本さんは80年代には父がいようがいまいがフラッとアポなしでよく我が家を訪れたものだ。坂本さんはお仏壇に手を合わせると、開口一番「あのぅ・・・吉本さんは原発について、どうおっしゃってしたか?」とボソボソと尋ねる。

◯(悪いけど)ちょっと吹き出しそうになった。本当に父親を泣くしたばかりの心細そうな少年の顔をしていた。やっぱり気にしてたんだ。その頃坂本さんは「たかが電気のためになんで命を危険にさらすのか」という発言だけが切り取られ、1人あるきして「電気を使った音楽で食ってるお前が言うな!」的な誹謗中傷にさらされていたのだとおもう。ヨ・・・弱い。

◯「何も特別なことは言ってないと思いますよ」人が”火”を見出してしまったからには、決してそれ以前の生活には戻れない。その扱いについても、後始末についても、代替エネルギーにしろ新エネルギーにしろ、もう人類は永遠に”火”と向き合って考え続けねばならない。「一貫してその考えでしたから」—ってなこと話したと思う。猿でも分かる論理だ。

 

 ◯そして父は、自分たちこそが「絶対善」それ以外の考えは、絶対に「悪」という理念から徒党を組み活動することを最も嫌ったが、それは別に言わなかった。坂本さんは、また1人トボトボと帰って行った。

コメント
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