2日目後半に石川県立能楽堂を見学した。金沢は昔から能楽が盛んだった。加賀藩の前田家が武家の式楽(儀式に用いられる芸能)として保護育成を図り、庶民にも広く奨励し、それが現代にも引き継がれている。金沢能楽美術館もあり、能楽堂では金沢能楽会が「月例能」や「観能の夕べ」などを催している。
まず座席数は401という観覧席の片隅に着席してDVDを鑑賞する。能面をつけ視野が狭められた役者が目安にする「目付柱」、そして「シテ柱」「ワキ柱」「笛柱」。本舞台への通路である「橋掛り」、手前に植えられた松は舞台に近い方から一の松、二の松、三の松と順々に小さくして遠近感を出している。
それらが終わるとじゃりじゃりと音を立てながら白洲を歩いて舞台の下に埋められた甕を覗きに行く。これは足拍子などの振動に共鳴し大きく響かせる効果があるという。さらに舞台裏に案内されて楽屋、鏡の間を見学する。能を知らない私でもひきこまれてしまう。見学が無料というのも金沢らしいと思った。
2日目前半の九谷焼体験館では、無地の丸皿に絵付け作業に取り組んだ。絵柄の見本が配られたが私は桜島を描いた。しかし、やたら重ね塗りをしたのはまずかったようだ。焼き付けられて後日郵送される。3日目の松川遊覧船・富山城址公園は悪天候のため、高岡市の錫の鋳物工場見学に変更された。(了)