2月8日の夕刊の「惜別」は詩人の谷川俊太郎さんだった。2024年11月13日死去(老衰)92歳。死亡日は北の富士さんの翌日だ。文責は谷川さんの晩年にロングインタビューを試みた記者のT嬢だ。「思考を、感覚を、なんとか理解したいと質問を重ねた。けれど、つかめるかもしれないというところでするりと手から抜けていってしまう。後日、取材の録音を聞き直して気づいた。かわしたのではなく、面倒くさがったのでもなく、誠実だったのだ。(中略)
70年以上詩を書き続けられた理由を尋ねると、すぐにこう言った。〈それは疑っているからでしょう。詩を疑ってる、言葉を疑ってるから〉(中略)疑いながら、信じながら、割り切れないまま受け入れ、向き合う。それが、谷川さんの示した《生きているということ》だったのろう」 と惜別の記事は書かれていた。
詩人は死去の直前まで夕刊に月一度「どこからか言葉が」のコーナーに投稿を続けた。2022年12月に掲載された「今といという時」と題した詩をつぎに書きとめておく。
すぐ消え去って 二度とかえってこない 今 この今は 永遠と同じく 歴史に属していない
今という時を 刻々に いのちは生きる 天に湧く 雲とともに 地に沁みる 驟雨とともに
そしてヒトは 星々とともに 激しく回転し続けて 天に散らばり 時に溶けてしまう
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