少し汗ばむが自転車で通勤していると 、どこからか金木犀の甘い香りがしてくる。通勤途中の玉川上水の土手に彼岸花がある日突然姿を現した。いつの頃からか我が家の庭の内外にも彼岸花が自生して、少し遅めではあるが毎年その時が来ると律儀に姿を見せてくれるようになった。その数が今年は150本ほどだ。むかし墓所などに群れ咲き不吉な花と忌み嫌われていたという記憶がある。
雨が続いた先週は電車で通勤した。久しぶりの電車で目につくのは 「紅満ちる華の秋」 の色鮮やかな車内広告だ。所沢の奥には高句麗からの渡来人が住んだ高麗(こま)の里がある。蛇行する高麗川の一部に、まるで巾着袋のような特異な地形が存在してそこは肥沃である。そしてそこは巾着田と呼ばれ春には菜の花、秋にはコスモスのハイキングコースができる。その巾着田になんと100万本の曼珠沙華の大群落がある。まさしく今が見頃で大変な人出だろう。ボランティアの支えがあるという。以前は無料であったが現在は200円の入場券が販売されているということだ。
京の味便りという通販誌に彼岸花についてつぎのことが掲載されていた。『赤い花は1週間もすると萎え、花が終わった後に葉が伸びてきます。1本の茎を共有しながら花と葉は決して出会うことはないことから韓国では彼岸花を 「サンシチョ」 と呼び 「相思華」 と書きます。花は葉を想い、葉は花を思い焦がれているから 「相思華」 というわけです』 これまで私はこんな思いでこの花を見ることはなかった。
曼珠沙華を辞書で調べてみると天上に咲く花。白くて柔らかく、見るものに悪を離れさせる働きがあるとある。昨年の故郷の同級生のメールで彼女の庭の白い彼岸花の話があった。いつかこの目で見たいものだ。ところが先の通販誌には 「天上界の花、赤い花」 という意味で、おめでたい花が天から降ってくると仏教の経典にあると書かれている。赤か白かで多少の混乱がある。盛りが1週間のなんとも不思議な花だと思う。
念のため、お彼岸の昨日もう一度足を運んみた。
ありました!やっぱり彼岸花なんだ!なんと30センチ30本3分咲き。こうも突如出現する花とは今まで知らなかった。まるで「もやし」か「アスパラ」。
土曜日毎日新聞で「はみずはなみず」とも呼ぶと書いてあった。「相思華」と同じ、決して出会うことの無い「花は葉を見ず、葉は花を見ず」の意と解説してあった。今週は満開です。デジカメ引っさげて行って来ます。
さて、彼岸花とかけて可愛い赤ん坊と解く。そのココロは、赤い花の下に葉が後から生えて来ます。