・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

潮気

2011年02月08日 | なんだいまあ(何だこりゃが念仏になった)
国語の辞書で「しおけ」を引くと、塩気、鹹気、潮気の三つの熟語が並んでいる。
塩気と鹹気は、塩からい味、塩の分量、塩分を意味し、潮気は、潮の気配、海上や海辺の塩分を含んだしめり気とされている。
万葉のころには「塩気立つ荒磯にはあれど」などと詠われていたらしい。

電気工学の講義で、「碍子はチョウキ、ジンアイのフチャクによって絶縁性能が低下する」と先生が話されたことがある。
ジンアイのフチャクはすぐ見当がついたが、チョウキとは何だろう。教科書を見ると「潮気、塵埃の付着」と書いてあった。

後に電力供給の仕事をするに及んで、台風のさなかに変電所の窓から、送電線鉄塔の上のほうにボワァーンと火柱の立つのを見たとき、これがチョウキの影響なのかと授業の手ごたえを感じた。
こういう現象は、いまでは「塩害」と呼ばれている。その言葉をはじめて聞いたとき「潮害」と言ったほうが正しいのではないかとも思ったが、「鳥害」との区別の要もあってのことかと納得した。

塩害は、電気絶縁だけでなく、金属構造物の敵にもなる。
海岸近くの構造物はすぐ錆びてくる。


塩分に強い塗料も塗装法も、その気になって探せばあると思うのだが、相変わらず昔流の塗装が行われているようである。
錆びなくなるとペンキ屋さんの仕事が減るからだろうか。

仕事というと、質の問題より先に失業を考えるように世の中がなってしまっているから、錆びは繰り返し出てくるだろう。