道を歩いていてひょっと足元を見ると、排水枡のわきに苔が生えている。
撮ったときは気づかなかったが、苔と、歩車道両側の枡のふたの模様の組み合わせが、錆びかけた弱めのガードレールも手伝って、何か奇妙に見える。
苔、二つの枡、ガードレール、そのどれがなくてもこの奇妙な画面にはならない。
ものには、それぞれの役割をもったものも、役割をもたないものもあって、それらが一緒になると、おのおのの役割とはまったく無関係で無用なのだが、役でない何かが生まれてくる。
人の集まりもそうなのだろう。役立たずとか、邪魔者だとか、そこにいる人を役目や価値勘定だけで見てはいけないのだ。