駅の通路に「ふらつき注意!」というポスターがある。
ホームから落ちる人が増えているので、効果はともかく貼っておこうというわけか。
駅のホームの端が、場合によって危険なことは誰でも知っている。
落ちるのは自殺か泥酔のどちらかだろう。
自殺願望には、ここにしようかという誘引効果が働くかもしれない。
泥酔すればこんなポスターのことは忘れてしまう。
落ちそうな人はまだいた。心の病に罹っている人だ。
自分の行動がわからなくなるほど病んでいる人は、落ちる危険を感じない。
そういう人は、ひとの背中を押せばえらいことになるとも思わない。
ホームに柵を設けなければならないというのは、人の病よりも世の中全体の病、これは半世紀かかって罹病した超難病である。