ビルの外階段に、らせん型のものをときどき見かける。
場所を取らないよう、うまく考えられていても、そこでの昇降は苦手だ。とくに降りるとき、勢いがついて足早やになると目が回ってくる。
散歩の途中、ふと見下ろすと、めまいの起こりそうな階段があった。
らせん階段ではないが、同心曲線の連続と、色合いと光線の具合がそう見せるのだろう。
体の不自由な方の出はいりもありそうな施設なので、余計なことだが少々気がかりである。
ヒッチコックに「めまい」という映画があった。
あれは高所恐怖症の話だったが、この階段は、歩道からすぐ踏み込める位置にあって、高所恐怖症の人がこの縁に立つと、吸い込まれるかしゃがみこむか、そんなことを考えながらカメラを構えると、なおのこと目がくらくらするのだった。