雀の子そこのけそこのけお馬が通る
小学校の国語教科書にあった一茶の句、どこまでかな書きだったか、どういうかなだったかは覚えていない。
昔の馬は雀を追いやって通ったが、今の馬は車が来ても除けずにすむよう、あらかじめ左端いっぱいに寄って歩いている。
街の裏道、砂浜で、このゆっくりと歩く姿をときどき見かける。
見ているだけでも、なかなかよいものである。
いつだったか、馬上の婦人に声をかけたら、鸚鵡返しに「はい、気持ちいいです」と涼しそうな顔を見せてくれた。
涼しそうな、そう、あれは去年の夏だったか。