畑の隅に大きな石が転がしてある。
次の耕作には邪魔なはずなのだが、あえて邪魔ものを置く。
多分これは横着除けだろう。
畑道と接するところは、隅切りどころかできれば道に乗り出してでも耕作面積を広げたいと、畑を持っている人は思うだろう。
作物のないときに、畑の隅に何も置いてなければ、車も歩く人も、少しでも通過距離の短縮行動に出る。
そうして踏み固められれば、次に耕すときの面倒は、石を寄せる手間どころではなくなる。
そんなことまで考えなくても、畑をあけて置くときはこうしておくものだと、代々伝えられてきた方法なのかもしれない。
境界には誰にもそれとわかる目印が必要なのだ。
であるのに、国の境界にあたる島に、何も置かずにしゃらっとしていられるのは、いったいどういう神経なのだろうか。