久しぶりに素晴らしい本に出会いました。
豊かな心の持ち主でなければ作れない本です。
はじめに、ギラギラ、キラキラでなく明るく光る、オランダの景色が見られます。
今までに見つけられて残っているフェルメールの絵37点のうち、34点のほんものを、克明に観て歩いた4年がかりの旅の記録です。
この上ない贅沢な旅と言えるでしょう。
絵画も彫刻も、最適の居場所にあってこそほんものとして観ることができるので、どこかから運ばれてきたものは、にせものではなくても、似たものでしかありません。
画家があえて見せない意味を描いたところは、場所によって見えたり見えなかったりします。
一つ疑問がわきました。
修復を重ねられた絵は、その画家の作品と言えるのだろうか、ということです。
その疑問に至る一歩手前の不思議さは、東京に集められた何点かの、色の鮮やかさを見たときから、ずっと頭に引っ掛かっていました。
むすびには、こう書かれています。
「こんな本が作りたかった」
読んだ感想、「こんな本がほしかった」