気象に異常が感じられます。
このごろ地球がどうかしているのではないか、とも思います。
そんなことはなさそうです。
自然と人間のかかわりを見つめて、「自然それ自体に矛盾はない。それにかかわる人間活動との間に矛盾が生まれるだけ」と、レヴィ・ストロースが書いています。
気象に変動の幅の大きな時期と小さな時期があるのはあたりまえのことで、変動幅の大きな時期にさしかかれば、自然が怒っているかのように見えるでしょう。
気象の安定した時期だけの経験から、まあこの程度で大丈夫と思っていれば、そうはいかないということが、しばらく経つうちに必ず起きます。
一人ひとりに経験不足ということはあっても、日本全国経験不足などということはありません。
どこかで経験しているはずのことが、その時の都合々々で、知らなかったこと、思いのほかの出来事にされているだけではないかと思います。
自然災害に遭うのは、そこに居たからです。
人々を居させるには、それなりの手立てが必要です。
全国どこでも同じ条件で「居る」ことはできません。
水が通る、土砂が押し寄せる、そういう場所に家を建てれば、その家は水や土砂には勝てません。
災害に遭われたお気の毒な方には、被害だけしか受け取るものがないのです。
洪水や土石流の通り道は、キッチンやバスルームの排水とは全く違います。
家を建てる人が、洪水や土石流の通り道を考えることはできても、造ることはできません。
東京から名古屋まで、居眠りも出ないうちについてしまうほどの高速で飛んでいく鉄道よりも、洪水や土石流の通り道をしっかり作るほうが、先に必要なことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。