新入幕の力士には簡単には勝たせない、先々の為によくないからと、先輩力士は頑張ったものですが、近頃はちょっと強かったり技をもっていたりする新入幕に、みなころころと負けます。
大関まで、待ったを続けた揚句、立ち上がった途端に転がされてしまうこともあります。
相撲のインタビュー放送も、そこに呼ばれる力士が最近変わってきました。
新入幕を負かした力士が呼ばれるようになったのです。
インタビューでは、しめくくりにこれからのことを尋ねられます。
「一日一番、頑張ります」が模範応答のようになっていましたが、この「一日一番」が、なんとなくわかるような、意味のはっきりしない文句だと思っていました。
どこかに引っ掛かるようなこの文句が、あるときに聞いた「一日一番しか相撲は取れない」という言葉で、あたまの中をスッと通り抜けてくれるようになりました。
それを言ったのは、昭和以降の新入幕力士で最年長の初金星記録を更新、さらに年6場所制以降の最年長新関脇記録を塗り替えた豪風関です。
相撲は、はじめ負けていてもその日のうちに挽回できる競技ではなかったのでした。