悪魔を成長させるものは寵愛。
悪魔の成長とは、増長による悪魔性の強靭化。
寵愛によって悪魔を増長させてしまった失敗例は数限りなくある。
失敗の原因は悪魔という動物が、姿かたちだけは人間の一種族のようでありながら、心を持たないことに、人間が気付かなかったことにある。
愛が人を救うのは、人が心を持つからであり、もともと心のない悪魔は、愛によって救われることは断じてない。
人間は、泰然として寵悪を重ねてきた。
それが後世に大きな難物を残すことに気づくのが遅かった。
その一つが一昨昨年来の生物兵器実験であったことに、ようやく気づいた人もいれば、いまだに気づかない超善人、あるいは気づきながらも過去の寵愛に要したヒト・モノ・カネを忘れきれない吝嗇人がいる。
まだまだ権力にしがみついていれば、ありもしない悪魔の心をとらえられると、いまだに思い込んでいる魔力中毒症患者がいる。
もうこれ以上後世に難物を遺さないために、いま必要なのは、対生物兵器のみでなく、魔力中毒のワクチン、それと魔力中毒解毒剤である。