一人の百姓と、一人の商人が、共に吹雪のなか峠越えを目指していた。
百姓は雪に降られるあいだ稼ぎに出ようと行きの峠越えであり、商人は売り歩いた末の帰りの峠越えであった。
二人は峠の袂で出会う。
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それぞれの思案と判断の結果、商人は売り上げのほとんどをはたいて、農民の持っていたにぎりめしを乞うた。
農民はにぎりめしを譲り渡す。
共に吹雪のなか厳しい峠越えに別れた二人、商人は握り飯のおかげでなんとか峠を越す、だが農民は遂に途中で力尽きてしまう。
そんな話を思い出す。
・・・・・。・・・・・。・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・。この部分の両人の思案と判断は様々だろう。
この話は、いい人や、賢い人はどっちかといったような、そんなレベルの話ではないように思える。