南無煩悩大菩薩

今日是好日也

刻々と風景

2015-09-03 | 世界の写窓から
(photo/source)

『 アミエル(Henri Frédéric Amiel )は、「風景はひとつの心理状態だ」と言った。

だが、この言葉は凡庸な夢想家のお粗末な思いつきに過ぎない。風景が風景となった瞬間から、それは心理状態であることをやめてしまう。

・・・とはいえ言語のこんな心理学的思弁がいったいなんの役に立つだろう。

私とは関係なく、草は生えるし、生える草の上に雨は降るし、すでに生え、これからも生える草むらを太陽は黄金色に染める。

山々は昔から聳えているし、風はホメロスが聞いたのと同じように吹いている。

「心理状態は一つの風景だ」と言ったほうがずっと適切だったに違いない。

そうすればこの文は、理論の嘘を含まず、隠喩の真理を含むという長所を持ったことだろう。』-フェルナンド・ペソア(Fernando Pessoa)-
コメント (2)
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