新緑

新緑に染まらむほどの道なりし



　



初夏の頃の鮮やかな緑をいう。







木々の緑が物に映えるさまを「緑さす」という。







百合の木などの大木の明るい新緑が見られた。

その下の道を行くと身体が緑色に染まってしまうほどであっ

た。






四阿に開く弁当緑さす



　

朴の花

天上のひとを想へり朴の花



　



モクレン科の落葉高木。

日本特産。

日本の暖帯から温帯にかけての山野に自生する。

五～六月頃、枝先に径１５センチほどの白い大きな花を上

向きに開く。







朴の花がいくつか上向きに開いていた。

天上のひとに見せるかのように開く朴の花に、亡きひとを偲

んだ。






朴の花夕暮の風立ちにけり



　

薔薇園

髪長き乙女似合へり薔薇園に



　



深大寺の北隣の神代植物公園に行った。







ばら祭の期間とあって、入場券を買うのに６・７０ｍ並んで

いた。







２０分ほど並んでようやく入ると、薔薇園の薔薇は満開で、

よく晴れた日差しに薔薇たちは最高の姿を見せていた。







薔薇に顔を寄せると、薔薇によって香りが違い、その強さも

違っていた。

薔薇を見る人々の顔は平和で満ち足りていた。

花には人々を幸せにするパワーがあることがよくわかった。







黒髪の長い女性がいたが、美しい薔薇園には絵になると思

われるほどよく合っていた。






薔薇園にひとりといふも楽しかり



　

薔薇

薔薇溢れ裸婦像いよよ輝けり



　



バラ科バラ属の総称。







世界に野生種は約二百種、改良され国際的に登録された

薔薇は二万種に近い。







五月頃、茎の先に一つまたは房状に五弁～多弁の花を

つける。







花色は赤、白、ピンク、黄、薄紫など様々。




マリア・カラス

見（まみ）えけりマリア・カラスといふ薔薇に






純白の薔薇にも薄き影ありぬ



　

杜若（かきつばた）

人影の水面に映り杜若



　



アヤメ科の多年草。

池沼、湿地などに自生し、庭園などにも植えられる。

五～六月頃、茎の頂に濃紫色の花を開く。

花は外側の三片が大きく垂れ、内側の三片が小さく直立し

て細い。







杜若が池に咲いていた。

その向こう側の道を人が通るのが水に映っていた。






業平の妻を偲べりかきつばた