誰もゐぬベンチに夕日秋深し
秋も半ばを過ぎ、いよいよ深まった感じをいう。
草木は紅葉し、大気は冷やかに澄みわたり、寂寥感が深くなる。
「秋闌(あきたけなわ)」「秋闌く(あきたく)」も同様の季語だが、「秋深し」の深みはない。
「秋深む」は慣用的に用いられている。
誰も座っていないベンチに夕日が差していた。
その様子に、秋が深まった感じがした。
深秋の何も無き畑鴉きて
誰もゐぬベンチに夕日秋深し
秋も半ばを過ぎ、いよいよ深まった感じをいう。
草木は紅葉し、大気は冷やかに澄みわたり、寂寥感が深くなる。
「秋闌(あきたけなわ)」「秋闌く(あきたく)」も同様の季語だが、「秋深し」の深みはない。
「秋深む」は慣用的に用いられている。
誰も座っていないベンチに夕日が差していた。
その様子に、秋が深まった感じがした。
深秋の何も無き畑鴉きて
鳳凰の飛ぶと見えたり秋の雲
高々と晴れ上がった空に浮かぶ白い雲は、いかにも秋らしく爽やかに感じられる。
刷毛ではいたような巻雲、高い空一面に薄く広がる巻層雲、「鰯雲」といわれる巻積雲など、上層雲が多い。
秋の雲はからりと明るいものが多いが、どこか旅心を誘うものがある。
青空に秋の雲が浮かんでいた。
その形がまるで鳳凰が飛んでいるように見えた。
彩雲となりて夕べの秋の雲
柚子たわわ後ろに農夫働きて
ミカン科の常緑小高木。
中国原産。
晩秋、果実は黄熟する。
外皮に凹凸のある篇円形で香りが高く、果肉は酸味が強い。
果皮は削ぎ取って吸い物に浮かせて香りを楽しみ、果肉は搾って酸味料とする。
畑隅に柚子がたわわに生っていた。
その後ろで農夫が作業をしていた。
熱々のうどん柚子の香立ち上り
いにしへも瀬音の斯くや藤袴
秋の七草の一つ。
キク科の多年草。
中国原産。
山林や河畔などに自生する。
花期は八~十月。
淡紅紫色の小さな頭状花を多数散房状につける。
乾燥すると香気がある。
川岸に藤袴がようやく咲き出していた。
瀬音が高く響く所で、昔もこのように響いていたのかと思った。
川下の橋を目指して藤袴
薄墨の雲より出でぬ後の月
陰暦九月十三日の夜の月をいう。
名月に対して後の月という。
この夜が十三夜。
名月とともに二夜の月といって月見をするが、秋も深まり、十五夜の華やかさはなく、そのもの寂びた趣を楽しむ。
枝豆や栗を供えて祀るため、豆名月、栗名月ともいう。
薄墨色の雲に隠れていた後の月が、ぐんぐんと顔を出してきた。
久々に美濃より電話十三夜