風受けてをり炎天の川堤
真夏の灼けつくような空をいう。
外に出ると鳥も飛ばず、猫も歩かず、歩く人もほとんどいない。
照りつける太陽に、やりきれない暑さである。
炎天のもと川堤を歩いた。
だが、風があり、まだ歩くことができた。
炎天下昼餉のために出でにけり
風受けてをり炎天の川堤
真夏の灼けつくような空をいう。
外に出ると鳥も飛ばず、猫も歩かず、歩く人もほとんどいない。
照りつける太陽に、やりきれない暑さである。
炎天のもと川堤を歩いた。
だが、風があり、まだ歩くことができた。
炎天下昼餉のために出でにけり
恙なく生きゐて土用鰻かな
夏の土用丑の日に食べる鰻をいう。
一年中で最も暑い時期で、その時期に夏ばて防止のために食する。
一説によると、平賀源内が鰻屋から宣伝を頼まれ、丑の日の鰻は薬になると看板に書いたことに由来するとされる。
ふつくらと御飯炊けたり鰻の日
青蘆を渡る風音よかりけり
イネ科の大型多年草。
夏に蘆の葉が青々と茂っているのをいう。
春に芽を出した蘆は、芒に似た細く鋭い葉をつけ、夏には二メートルほど成長する。
沼や川辺に群生する。
青蘆が風に一斉に揺れるさまや水に映る様子は、いかにも夏らしく涼し気である。
青蘆を風が吹き渡っていた。
その葉の擦れ合う風音がよかった。
青蘆や晴れし川面に影落とし
練馬区立牧野記念庭園
歩を入れば牧野庭園涼しかり
夏の暑さの中にあってこそ感じられる涼気をいう。
牧野富太郎博士胸像(手前は寿衛子笹)
暑いさなかに吹き渡って行く風や流れる水、木陰などに涼しさを覚える。
涼しさは皮膚で感じるだけでなく、風鈴や氷を削る音、金魚などから耳や目で感じる涼しさもある。
繇條書屋(ようじょうしょおく)
俳句では暑さの中のかすかな涼しさを捉えて夏を表現する。
暑い日に、練馬区にある牧野記念庭園を訪れた。
中に一歩入ると涼しさを感じた。
記念館
涼しさや植物図見て庭に出て
川中の岩に鵜のゐて動かざる
ウ科の水鳥の総称。
首は細長く、全身が黒色の羽毛に覆われている。
嘴の先は曲がり、水かきがあり、潜水が巧みで、魚を捕らえる。
川鵜、海鵜、姫鵜などがある。
長良川の鵜飼には海鵜が使われている。
川中の岩に鵜が止まって、流れを見ながらじっとして動かなかった。
夕空を黙して翔る川鵜かな