一人踏む一人の音の落葉かな
冬の間に落葉樹が落とす葉のことをいう。
梢から散った葉は風に吹かれて舞い、あるいは音もなく地上に散り敷く。
やがて山野を埋め尽くす落葉は、地表に堆(うずたか)く積もる。
落葉の上を一人で歩くと、かさかさと一人分の音がした。
古鎌倉街道
落葉してゐたる鎌倉古道かな
一人踏む一人の音の落葉かな
冬の間に落葉樹が落とす葉のことをいう。
梢から散った葉は風に吹かれて舞い、あるいは音もなく地上に散り敷く。
やがて山野を埋め尽くす落葉は、地表に堆(うずたか)く積もる。
落葉の上を一人で歩くと、かさかさと一人分の音がした。
古鎌倉街道
落葉してゐたる鎌倉古道かな
足止めて桜落葉に魅せられぬ
散って落ちた桜の葉をいう。
桜は他の木よりも早く黄色から赤く色づき、散ってもよく目立つ。
また、深紅に色づいた桜落葉は美しくもある。
川沿いの小道を歩いていると、桜落葉が見られた。
足を止めて見ていると、その美しさに魅せられてしまった。
風にまた散つたる桜落葉かな
久々の日差し恋ひけり冬薔薇
冬になっても花をつけている薔薇をいう。
薔薇の花が盛りとなるのは初夏と秋だが、暖地では十二月中旬まで咲き続ける。
冬枯れの中、鮮やかな小振りな花をつけている様子は健気(けなげ)で美しい。
長い間曇っていた空が久々に晴れ渡った。
その日差しを恋しく思った。
日を浴びた冬薔薇も喜んでいるように美しかった。
冬薔薇や煉瓦の門を潜りきて
木洩れ日といふ日差しあり帰り花
小春日和に誘われて咲く、季節外れの花のことをいう。
主に桜についていうが、躑躅や山吹などにも見られる。
花がほとんどない季節だけに、その不思議な咲き方が珍重される。
森林地帯の木漏れ日という日差しを受けて、躑躅の帰り花が咲いていた。
人の世は宇宙の刹那返り花
山茶花に丘陵の日の溢れをり
ツバキ科の常緑小高木。
日本特産種。
四国、九州、沖縄の暖地の山野に自生するが、庭木や生垣に植えられもする。
十~十二月頃、枝先に白色の椿に似た五弁花をつける。
園芸種には鮮紅・桃・白色や八重咲きもある。
椿のように花ごとそのまま落ちるのではなく、花弁が散る。
花弁が地面に散り敷いたさまや、寒風にはらはらと散るさまは、寂しくも風情がある。
大きな山茶花の木に花が咲いていた。
丘陵の日がその山茶花に溢れていた。
山茶花や夕暮れの気の漂ひて