俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

繡線菊(しもつけ)

2012-05-31 | 俳句・夏・植物


繍線菊に旅の一息つきにけり

バラ科の落葉低木。山野に自生するが、庭木にも植えられる。五~六月頃、枝先に淡紅色の小さな五弁花が傘状に密集して咲く。下野の国(栃木県)で初めて見つかったのでこの名がある。下野草は草本で全く別種。柔らかな温かみのある繍線菊が咲いていた。この花を眺めて旅の疲れを取った。

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繍線菊につきたる虫を赦(ゆる)しけり


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蛍袋

2012-05-30 | 俳句・夏・植物


入口の蛍袋に屈みけり

キキョウ科の多年草。山野に自生。六~七月頃、淡紅紫色で釣鐘形の花を下向きにつける。白花もある。子供が捕まえた蛍をこの花筒に入れて遊んだからこの名がついたとの説がある。武家屋敷の入口に蛍袋が咲いていた。島原の蛍袋は花筒が長く、屈んでよく眺めた。

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遊ぶ子のゐなくて蛍袋かな


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石榴の花

2012-05-29 | 俳句・夏・植物


花柘榴武家の裔(すゑ)なる老婆ゐて

ザクロ科の落葉小高木。南西アジア原産。六月頃、新枝に筒状の顎をもつ朱赤色の六弁花を数多くつける。園芸品種を「花石榴」と呼び、花色は白・淡紅・朱・絞りなど。単に「石榴」とすると果実を指し、秋の季語。武家屋敷の道を老婆が歩いていた。きっとこの土地に住む武家の末裔に違いないと思った。石榴の花が鮮やかに咲いていた。

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花ざくろ女に声をかけられぬ


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枇杷

2012-05-28 | 俳句・夏・植物


枇杷生るや今も残りて武家屋敷

バラ科の常緑高木。冬に地味な花をつけ、翌年の六月頃倒卵形の果実が黄橙色に熟する。果肉は少し酸味があるが甘く、中には大きな焦げ茶色の種子がある。島原には城の北西に武家屋敷街がある。今も残る三軒の武家屋敷が無料で開放され、自由に見学することができる。道の両側は石塀の家が多く、道の真ん中には水路があり、きれいな水が豊かに流れている。ある家の枇杷が黄色く熟していた。

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島原名物寒晒(かんざらし)





今生に生くるは枇杷をすするため


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夏霞

2012-05-27 | 俳句・夏・天文

眉山

天守閣より八方の夏霞

「霞」は春の季語だが、夏に発生する霞をいう。気象学的には霧と靄はあるが、霞はない。したがって、多分に情緒的な季語といえる。島原城の天守閣に上った。遮るものがないので見晴らしがよく、360度見渡せた。向かいの山やその下の町にはうっすらと夏霞がかかっていた。

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眉山と平成新山

訪ねきて異郷の山や夏霞


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