半月を落さむばかり春疾風
春の強風、突風をいう。
前線を伴った低気圧が日本海を通過するときに吹く南寄りの暖かい風で、荒れ模様の天気となることが多い。
涅槃西風、彼岸西風などの季語に比べ、より身近で実感のある季語である。
昼下がりの空に上弦の月が出ていた。
その半月を落さんばかりに、一日中、春疾風が吹き渡っていた。
武蔵野の雑木林や春嵐
半月を落さむばかり春疾風
春の強風、突風をいう。
前線を伴った低気圧が日本海を通過するときに吹く南寄りの暖かい風で、荒れ模様の天気となることが多い。
涅槃西風、彼岸西風などの季語に比べ、より身近で実感のある季語である。
昼下がりの空に上弦の月が出ていた。
その半月を落さんばかりに、一日中、春疾風が吹き渡っていた。
武蔵野の雑木林や春嵐
花曇マレットゴルフ音立てて
桜の咲く頃の曇り空をいう。
この頃は、日本列島を前線が通過して小さな低気圧が発生しやすくなるため、すっきりしない空模様の日が多い。
音読みの「養花天」は漢語的な表現である。
今日は、東京で桜が満開の宣言があったが、空は花曇であった。
その下で、年配の人たちが楽しんでいるマレットゴルフの珠を打つ音がしていた。
用水を歩く鷺をり養花天
風光る川の中州に鷺のゐて
麗らかな春の日に、風がきらきらと輝いているように見えることをいう。
春は日差しが強まり、草木や水面や建物などに反射してまばゆく感じられる。
それを風が光ると感じた季語である。
川の中州に鷺がいた。
そこを吹く風が光って見えた。
久々に白き富士あり風光る
菜種梅雨レターパックを小脇にし
三月から四月菜の花が咲く頃、しとしとと降り続く長雨をいう。
本来の意は、その頃に吹く雨を含んだ南東の風のことであったようであるが、今では雨天を指す。
暗さの中にもどこか明るさの漂う気分がある。
昨夜から菜種梅雨となっていた。
その中を、レターパックを小脇に抱えて、郵便局のポストまで出しに行った。
野菜なき直売所なり菜種梅雨
すれ違ふ人なき道や鳥曇
雁や鴨などの渡り鳥が、春になって北方へ帰っていく頃の曇り空をいう。
その雲を鳥雲といい、この頃の風を鳥風という。
この風に乗って鳥は北へ帰っていくという。
また、帰る鳥の群れをなして羽ばたく音が風音のように聞こえるので、鳥風という説もある。
川沿いの道を歩いた。
鳥曇というべき曇り空であったため、すれ違う人がいなかった。
木を映す潦あり鳥曇