俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

竹の春

2012-10-31 | 俳句・秋・植物


鳴り出せし携帯電話竹の春

春に地下茎から竹の子を地上に出し、急成長させるため生気を失った親竹が秋になって回復し、若竹とともに青々と枝葉を茂らせることをいう。携帯電話はいきなり鳴り出す。竹林の道にいると誰かの携帯が鳴った。青々とした竹の葉が眩しいほどであった。

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犬の曳く綱張つてをり竹の春


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榠樝(かりん)の実

2012-10-30 | 俳句・秋・植物


気兼ねなき一人歩きや榠樝の実

バラ科の落葉高木。中国大陸原産。果実はいびつな楕円形で晩秋に黄熟し、芳香を放つ。果肉は硬く、酸味と渋味があって生食には適さない。砂糖漬けや果実酒にする。一人で歩いていると榠樝の実が生っていた。まだ青かったが、形は大きくしっかりとしていた。

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拳骨のやうな榠樝に魅かれけり


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鬼灯(ほおずき)

2012-10-29 | 俳句・秋・植物


鬼灯の赤しと言ひて女どち

ナス科の多年草。アジア原産。花の後、萼が大きくなり、球形の漿果を包んで熟するとともに赤く色づく。子供は実の種を除いて外皮だけを口に含んで鳴らして遊んだ。万葉植物園にいると、数人の女性たちの一人が、「あら、鬼灯が赤くなっているわ」と大きな声を出していた。後でそこへ行ってみると、本当に鬼灯が赤く色づいていた。

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酸漿を鳴らせしことも遥かかな


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2012-10-28 | 俳句・秋・植物


落ちさうな山栗しかと青空に

ブナ科の落葉高木。北海道中部以南のほぼ全国の山地に自生し、果樹としても栽培。栗の毬は晩秋に暗褐色となり、裂けて光沢のある実がこぼれ落ちる。丹波栗などの大粒種もある。食べ方は、焼き栗、茹で栗、栗飯、甘露煮、きんとん等がある。小振りの毬の山栗が生っていた。口を開けて中の栗が今にも落ちそうに見えた。青空に栗がつややかであった。

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落栗を拾はむとして紙袋


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後の月

2012-10-27 | 俳句・秋・天文


坂上りきて東(ひんがし)の後の月

陰暦九月十三日の夜の月。名月に対していう。枝豆や栗を供えて祀るので、「豆名月」「栗名月」ともいう。後の月が出ていたので、坂を上って高台へと行ってみた。まだ満ちてはいない月が東の空に明るくかかっていて、この月を愛でた昔の人の気持ちが理解できるようであった。そのうち次第に薄雲が出てきて、しばらくしたら雲に覆われてしまった。

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覚えなき指の傷なり十三夜


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