俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

春の雪

2012-02-29 | 俳句・春・天文


犬吠えてゐる洋館や春の雪

春の雪は溶けやすいが、時として大雪となることもある。関東以西では、冬よりも春先によく降ることもあり、春を呼ぶ雪とも、豊作の予兆ともいわれる。関東地方に春の雪が降った。例年よりも積雪が多く、かなり積もったところが多かった。犬がしきりに吠えている洋風の建物があった。そこにも春の雪が静かに降っていた。

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春雪の行き合ふひとと目があひぬ


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残雪

2012-02-28 | 俳句・春・地理


夜の明けて山にも地にも残る雪

春になってもまだ消え残っている雪をいう。北国や日本海側などでは、降った雪が幾日も残り、残雪の期間が長い。春になっても北海道ではどこも雪が残り、山も平地も真っ白である。雪が消えるのは何か月も先のことと思われた。

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残雪の人の足跡真直なり


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流氷

2012-02-27 | 俳句・春・地理


流氷の隙間を船の進みけり

寒帯地方の海面が氷ったものが割れて、風または海流により海を漂流するもの。春の季語である。シベリア東部から南下した流氷は、一月中旬から三月下旬にオホーツク海沿岸にみられる。羅臼港から出航した船は、流氷の隙間を選んで進んで行った。流氷の上には大鷲や尾白鷲、鷗などが数多く止まっていた。

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流氷に乗つたる鷲の数知れず


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春暁(2)

2012-02-26 | 俳句・春・時候

更別

春暁のけあらしの日に染まりけり

気嵐(けあらし)は冬の季語で、氷点下二十度以下になると海や川に発生する霧であるが、雪の上でも発生し、木々を包んで流れ、幻想的であった。日の出直後が一番気温が下がり、この日は氷点下二十度となった。防寒着により寒くはなかったが、皮手袋をしていても指先が痛いほどに冷たくなった。北海道の春の曙はしばれるものであった。

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春暁の更別に音なかりけれり


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春暁(1)

2012-02-25 | 俳句・春・時候


春暁や国後島(くなしりたう)に雲かかり

春の明け方の時刻。「春は曙」と『枕草子』の冒頭に書かれて以来、春の明け方に情緒を感じる傾向が強くなり、日本詩歌にも多く詠われてきた。午前三時に起きて、羅臼港から船で流氷と大鷲を見に行った。真っ暗な中、沖にはスケトウダラ漁の漁火がずらりと並んでいた。しばらく進むと、国後島の辺りの空が濃いピンク色に染まり、徐々に辺りが見えるようになった。周りには雪の積もった流氷に大鷲が沢山止まっていた。船から餌の魚を撒くのを知っていて集まっていたのであった。

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春暁や飛び交ふ鷲を船上に


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