黄水仙

黄水仙いつよりのこの遊び好き

ヒガンバナ科の多年草。南ヨーロッパ原産。三十センチほどの花茎の頂に黄色の六弁花をつける。観賞用として栽培。日本庭園の入口に黄水仙が日をいっぱい受けて咲いていた。この明るい花に心も解放された。ところで、いつからこんなに出歩くのが好きになったのだろうか。黄水仙を見ているとそんな自分に気づいた。

　




庭園に水音ありぬ黄水仙


　

梅見

母と子の昼餉となりし梅見かな

梅の花を愛でること。ただし、古来よりその香りが賞美された。梅が咲くと各地の梅の名所は観梅客で賑わう。公園に梅がよく咲いていた。その下で、母と幼子が楽しそうに昼餉を取っていた。誰にも邪魔されない、このような穏やかな梅見もあるのだなあと感じ入った。

　




観梅の彼らも俄（にはか）カメラマン



子の写真撮りて梅見とするらしき


　

椿

公園に握り飯食ひ椿かな

ツバキ科の常緑高木。藪椿が一般的。椿の花色は、紅・淡紅・濃紅紫・白など。多くの園芸品種があり、桃色・八重咲き・牡丹咲き・ラッパ咲きなどさまざま。公園のベンチで買って行った二個の握り飯を食べた。近くで咲く椿に温かさをもらった。

　




万葉の植物園の椿かな


　

犬ふぐり

傾斜地のどれも日当たり犬ふぐり

ゴマノハグサ科の越年草。ヨーロッパ原産の帰化植物。日本には明治の初めに渡来。田畑や草地などいたるところに見られる。一般にはオオイヌノフグリをさす。名前は犬の睾丸の意であるが、瑠璃色の小さな花が可憐。傾斜した土地に、よく見ると犬ふぐりがたくさん花をつけていた。どの花にもよく日が当っていた。

　




天空に風鳴つてをり犬ふぐり


　

早春

早春の雉鳩止る梢かな

立春後二月いっぱいくらいの時節。暦の上では春であるがまだ寒さが残り、とはいえ春の息吹が感じられる。木の枝に雉鳩が飛んできて止った。早春の雉鳩は鳴きもせず、首を動かして辺りを眺めているだけであった。

　




早春の犬に投げたるフリスビー