7月4日・・・第二日目 三星堆博物館、川劇(FACE CHANGING OPERA)
前日の夜中まで続いた土砂降りの雨は朝、止んでいた。曇り空で時おり小雨がぱらつく天候だ。
ガイドの陳さんは朝6時に起きてバスターミナルに出かけた。今日は無理だが、できるだけ明日か明後日の九寨溝行バスには乗りたい。7時過ぎに戻ってきた陳さんから、明後日(6日)のチケットが買えたと嬉しい知らせがあり、ホッとした。さらに、昨日成都から汶川に行く途中で土砂崩れがあり、それでバスの運航に支障をきたしているとのこと。
(なあんだ、自分たちだけが乗り損なったわけじゃないのか)とちょっと平等感を味わった我々は気分が上向きになり、今日、明日の成都観光として、
①三星堆博物館
②川劇(FACE CHANGING OPERA) …4日
①パンダ基地
②昭覚寺(暇があれば)
③寛窄巷子 …5日
という予定を入れた。陳さんの旅程表では前半:九寨溝、後半:成都観光という計画だったが、前後を入れ替えたことになる。
また、陳さんの説明によると、金沙遺址博物館は三星堆博物館の後の時代のものであり、見学料も105元と高いが、三星堆博物館は82元で交通費を差し引いても金沙遺址より安いし、展示物も多いというので、一も二もなくそちらに決めた。
市内からバスを乗り継ぎ、午前10時頃には三星堆博物館に到着した。
写真は、発掘された代表的な面の一つをモニュメントにしたものである。飛び出した目に特徴があるらしい。中国では「古蜀時代」、日本では「殷末期」という時代区分が当てはまる長江流域の西南中国で、黄河文明とは異なる文化が花開いていたという。中国史上画期的な発掘だそうだ。漢民族の文化では全くないこの遺跡は、文化大革命後の1986年に、約3000もの遺物が見つかるという世界的にもセンセーショナルな大発見だったと説明書にあった。玉石器、青銅器、金器とさまざまな種類の遺物を見ながら、(そのころ自分は中国の大ニュースも知らず、子育てと仕事に追われていたんだなあ)と取り留めなく考えていた。
一番興奮していたのは、もちろん陳さんだ。学校の教科書に載っている数々の遺物が実物として目の前に現れたので、写真を撮りたくて堪らなさそうだった。周囲の中国の人たちは平気でカシャカシャ撮っている。何回か「写真、ダメですか~。」と、恨めしそうに聞くので、
「ここは中国。中国のルールに従ってください。私は日本人なので、博物館で写真はちょっと…。でも見ていませんから。」
と言うと、
「私は日本語学科の学生ですから、やっぱり写真は撮りません。」
と、妙に律儀なことを言う。博物館は、見張りの職員もあまり見かけず、本当に多くの人たちが自由自在に撮影しているので、我々に合わせてくれた陳さんが気の毒だった。
レプリカやキーホルダーなど色々売っているコーナーで、バックパックを貸してくれた王さんへのお土産にキーホルダーを一つ買った。例によって陳さんの「うわ~、高い!」が始まった。彼は自分で何か買ったんだろうか。
ゆっくり見学するともう、昼の3時を過ぎている。5時間も博物館で過ごしたことになる。そろそろ市内へ戻ろうと、またバスに乗り、1時間ほど木製の座席に座って帰って来た。ランチを何も食べていないので腹ペコだ。夜の川劇ショーまでの間にゆっくりディナーをとることにした。宿舎のごく近くまで戻ると、「陳麻婆豆腐」の看板があった。陳さんが、
「これ、私が2年の時の授業で四川省の食べ物紹介をした店です。」
と言う。そういうところなら是非入らねば!と中を覗いてビックリ。かなり高級感あふれるレストランだった。陳さんが後ずさりして
「やっぱりやめましょう。」
と気弱なことを言う。
「『私たちはインターネットで調べて来たのですが、麻婆豆腐の値段はいくらですか。』って聞いてごらん。」と背中を押した。
そのきれいなレストランは、意外なほど普通の値段だったので、二日目のディナーはここにした。
前夜の暗く重苦しいムードから一転し、ぺちゃくちゃしゃべりながら、四川料理の山椒は口が痺れるとか言いつつたくさん食べた。
特に、陳さんは昼ごはん抜きだったので、かなりガツガツ、ベチャベチャと音を立てながらかき込んでいた。
川劇はフロントで予約すると宿舎に10人乗りのミニバスのような車が迎えに来てくれた。着いたところには、日本人観光客がた~くさん来ていた。
「どこからいらっしゃったんですか。」と聞くと「長野県」とのこと。私に「あなた中国人?」と聞くので、(こんなに日本語がうまい中国人がいるかい?)と内心可笑しかった。それでも、地震・津波・原発事故に負けていない日本人と直に出会えたのが嬉しかった。
川劇は、非常におもしろかった。実は川劇だけでなく、四川省伝統芸能オンパレードだった。途中、人形の舞で急に睡魔が襲ってきたが、両手の影絵、二胡演奏、コミカルで見事な体の芸、扇の舞など次々と短時間に展開されて、眠気を克服することができた。やはり圧巻だったのが最後のface changing opera だ。なぜ?どうやってあんなに見事にお面を変えられるのだろう。これは四川省の無形文化遺産なので、誰にもネタは明かさないそうだ。それでいい。
今日は一日、精力的に観光した気分。明日も雨が降りませんように。
前日の夜中まで続いた土砂降りの雨は朝、止んでいた。曇り空で時おり小雨がぱらつく天候だ。
ガイドの陳さんは朝6時に起きてバスターミナルに出かけた。今日は無理だが、できるだけ明日か明後日の九寨溝行バスには乗りたい。7時過ぎに戻ってきた陳さんから、明後日(6日)のチケットが買えたと嬉しい知らせがあり、ホッとした。さらに、昨日成都から汶川に行く途中で土砂崩れがあり、それでバスの運航に支障をきたしているとのこと。
(なあんだ、自分たちだけが乗り損なったわけじゃないのか)とちょっと平等感を味わった我々は気分が上向きになり、今日、明日の成都観光として、
①三星堆博物館
②川劇(FACE CHANGING OPERA) …4日
①パンダ基地
②昭覚寺(暇があれば)
③寛窄巷子 …5日
という予定を入れた。陳さんの旅程表では前半:九寨溝、後半:成都観光という計画だったが、前後を入れ替えたことになる。
また、陳さんの説明によると、金沙遺址博物館は三星堆博物館の後の時代のものであり、見学料も105元と高いが、三星堆博物館は82元で交通費を差し引いても金沙遺址より安いし、展示物も多いというので、一も二もなくそちらに決めた。
市内からバスを乗り継ぎ、午前10時頃には三星堆博物館に到着した。
写真は、発掘された代表的な面の一つをモニュメントにしたものである。飛び出した目に特徴があるらしい。中国では「古蜀時代」、日本では「殷末期」という時代区分が当てはまる長江流域の西南中国で、黄河文明とは異なる文化が花開いていたという。中国史上画期的な発掘だそうだ。漢民族の文化では全くないこの遺跡は、文化大革命後の1986年に、約3000もの遺物が見つかるという世界的にもセンセーショナルな大発見だったと説明書にあった。玉石器、青銅器、金器とさまざまな種類の遺物を見ながら、(そのころ自分は中国の大ニュースも知らず、子育てと仕事に追われていたんだなあ)と取り留めなく考えていた。
一番興奮していたのは、もちろん陳さんだ。学校の教科書に載っている数々の遺物が実物として目の前に現れたので、写真を撮りたくて堪らなさそうだった。周囲の中国の人たちは平気でカシャカシャ撮っている。何回か「写真、ダメですか~。」と、恨めしそうに聞くので、
「ここは中国。中国のルールに従ってください。私は日本人なので、博物館で写真はちょっと…。でも見ていませんから。」
と言うと、
「私は日本語学科の学生ですから、やっぱり写真は撮りません。」
と、妙に律儀なことを言う。博物館は、見張りの職員もあまり見かけず、本当に多くの人たちが自由自在に撮影しているので、我々に合わせてくれた陳さんが気の毒だった。
レプリカやキーホルダーなど色々売っているコーナーで、バックパックを貸してくれた王さんへのお土産にキーホルダーを一つ買った。例によって陳さんの「うわ~、高い!」が始まった。彼は自分で何か買ったんだろうか。
ゆっくり見学するともう、昼の3時を過ぎている。5時間も博物館で過ごしたことになる。そろそろ市内へ戻ろうと、またバスに乗り、1時間ほど木製の座席に座って帰って来た。ランチを何も食べていないので腹ペコだ。夜の川劇ショーまでの間にゆっくりディナーをとることにした。宿舎のごく近くまで戻ると、「陳麻婆豆腐」の看板があった。陳さんが、
「これ、私が2年の時の授業で四川省の食べ物紹介をした店です。」
と言う。そういうところなら是非入らねば!と中を覗いてビックリ。かなり高級感あふれるレストランだった。陳さんが後ずさりして
「やっぱりやめましょう。」
と気弱なことを言う。
「『私たちはインターネットで調べて来たのですが、麻婆豆腐の値段はいくらですか。』って聞いてごらん。」と背中を押した。
そのきれいなレストランは、意外なほど普通の値段だったので、二日目のディナーはここにした。
前夜の暗く重苦しいムードから一転し、ぺちゃくちゃしゃべりながら、四川料理の山椒は口が痺れるとか言いつつたくさん食べた。
特に、陳さんは昼ごはん抜きだったので、かなりガツガツ、ベチャベチャと音を立てながらかき込んでいた。
川劇はフロントで予約すると宿舎に10人乗りのミニバスのような車が迎えに来てくれた。着いたところには、日本人観光客がた~くさん来ていた。
「どこからいらっしゃったんですか。」と聞くと「長野県」とのこと。私に「あなた中国人?」と聞くので、(こんなに日本語がうまい中国人がいるかい?)と内心可笑しかった。それでも、地震・津波・原発事故に負けていない日本人と直に出会えたのが嬉しかった。
川劇は、非常におもしろかった。実は川劇だけでなく、四川省伝統芸能オンパレードだった。途中、人形の舞で急に睡魔が襲ってきたが、両手の影絵、二胡演奏、コミカルで見事な体の芸、扇の舞など次々と短時間に展開されて、眠気を克服することができた。やはり圧巻だったのが最後のface changing opera だ。なぜ?どうやってあんなに見事にお面を変えられるのだろう。これは四川省の無形文化遺産なので、誰にもネタは明かさないそうだ。それでいい。
今日は一日、精力的に観光した気分。明日も雨が降りませんように。