毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

ベランダ工事終わる   2011年7月21日(木)No.174

2011-07-21 18:16:08 | 中国事情
 先週の月曜日、そして今週の月から水曜日の合計4日間かかって、やっと昨夜、ベランダにプラスチックカバーと窓を取り付ける工事が終わった。
その間も私は何事もないかのように淡々とブログを書き続けていたが、実はたいへんな喧噪の中の苦行だったのである。

 けたたましい罵声は、ミズ劉のものだ。彼女に怒鳴られながら工事作業員たちは、A棟からC棟まで、3つのビルディングの1階から4階までの南側ベランダ(通達ではバルコニー)にプラスチックカバーと防雨防風防塵窓を取り付けるのだが、いやはや、この作業たるや日本の大工さんの仕事をご存じの皆さんが見たら、その雑さ加減に開いた口が塞がらないに違いない。

 そりゃ、1ビルデング当たり8個のベランダがあり、それ×3=24個のベランダ工事なので、たいへんだとは思う。
私はA棟の3階に引っ越したばかりだ。向かいのB、C棟の作業の様子を見て、(ぼちぼちA棟の番だな)と心構えをする。ミズ劉は留守中の部屋を一人であちこち同時に見張りをしなければならないので、まだ部屋に残っている者が多いA棟は概ね入居者任せだ。
 一部屋ずつ完成させるのではなく、同時並行的に作業を進めるので、毎日、ちょびちょび進んでいく。私はパソコンをしたり食事の支度をしながら、時々覗く程度だが、彼らが帰った後は、必ずため息が出る。日本の建築業者は、その日の仕事が終わったら、そこそこ掃除をしたり片づけたりして見苦しくないように最低限は配慮するところだが、ここでそれをするのは住人だ。へたしたら、使ったリビングの椅子はベランダにほったらかし、ベランダに行く途中通るリビングに粘着質の液体がべたべたとテーブルや床に落ちている。蜂起じゃない箒、モップ、洗剤を使い、
「片づけるのは、私の仕事か?!」
とブツブツ言いながら掃除していると、向かいのベランダでも同様にカナダ人のヴィクトリアがため息をつきながら箒で掃いていた。

 そういえば昨年秋に北側のベランダも同様な工事をしたが、その時オフィスに苦情メールが殺到したっけ。オーストラリア人のメルダッドが(彼はとても優しくて気さくないい人であるのは間違いない)、
『我々西側文化圏の者にとって、工事人が片づけもせずに散らかしたまま帰るということは、全く信じられないことだ。』
といったことが書かれていたのを覚えている。〝我々西側文化圏”という言葉には大いに引っかかった。私は(東洋文化圏の者だって、こりゃ、あきれるよ)と心中つぶやいたものだ。私が〝西側文化圏”の人たちに持つ根深い違和感は、(いざとなれば彼らはこういう線引きをして常にアジア人を見下す準備をしているのではないか)と疑うからだ。彼らは平等な地平に立っているつもりだろうが、どこか骨の髄で西洋が優位と感じているような気がする。これは私の悪しき線引きだろうか。

 さて昨秋、さんざん入居者から文句を言われたので、ミズ劉は彼らに「ちゃんとやれ!」と怒鳴りながら進行を見張っている。わが部屋では気を使って日本風に靴も脱がせ、裸足で作業をさせた。私が出した部屋履きも「不要!」と使わせない。ある日の作業にはプラスチックのサイズを測って切り落とすというのがあり、裸足だと幾らなんでも危険なので草履をはいてもらった。
 帰った後は、接着用の吹付け発泡スチロールがボトボト落ちている。危険なプラスチックの切りくずも落ちている。木くず、紙くず、ねじも。

 それでも、作業は少しずつ進んで、時にはミズ劉がスイカの差し入れをしてくれたこともあった。スイカの種を入れるために皿を出すと、「不要!」と言ってゴミ箱を抱えて食べている。
その後、スイカの皮もゴミ箱に入れたんだろうと思っていたら入っていなかった。(あれ?学生たちはいつもゴミ箱にスローインするのに?)と不思議だったが、ベランダの外を眺めて分かった。外に投げたのだ。その皮はベランダから外を見るたび、地面にまだそのままある…。

 今朝、(やれやれ、今日からまた静かな日が戻ってくるぞ)と嬉しくベランダを見た。
見てガックリ。窓ガラスや、貼られたプラスチック板にやたら数字やメモが書いてあるのだ(直接マジックで)。水性、なかには油性のマジックで書かれたそれらを消すのに1時間はかかった。裏側で手の届かないところは、物干し竿の先に雑巾をくくり付けて、何回も擦った。汗がボトボト床に落ちる。その床の汗を拭いていて、今度は、ずっと以前からのものと思われるペンキが床のあちこちにこびりついているのが気になった。中華包丁でそれもこそげ落とした。全工程3時間。しかし、きれいになったので清々しい。わざとベランダに背を向け、パッと振り向いて「ああ、きれい!」とか言って喜んでいる。
コメント
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