7月5日(火)…成都大熊猫繁育研究基地/昭覚寺/寛窄巷子
はいはい、パンダちゃんでちゅよ~。
ということで、成都といえばパンダ基地に行かなくちゃね。私は日本の小学校の教員だった頃、遠足や修学旅行の引率によく出かけたが、何といっても一番行って嬉しいところは動物園と水族館だった。神戸の王子動物園でパンダや金糸猴、その他各種お猿さん達をよく見たものだ。
動物園のパンダは、あんまり楽しくなさそうだった。しかし、ここ成都のパンダ基地のパンダは仲間がたくさんいるし、柵内とはいえ広々とした敷地でのんびり気楽に過ごしているように見受けた。
この日の朝6時過ぎ、しとしと雨が降っていた。陳さんはたちまち顔を曇らせ、
「パンダは雨だと外に出ません。パンダを見に行っても面白くないです。見るところがあまりないです。」
と否定的意見ばかり述べ出す。(こんなにもネガティブ人間だったのか!)と彼の新側面を見て少しウンザリしたが、他に行くところもないので、とにかく行こうと突っぱねた。
朝ご飯はユースホステルのモーニングセットを頼んだ。パンはトースターが故障しているので焼けず、ただの食パンとどこまでも固く炒めまくったスクランブルエッグ、ハム(これは本物のハムだった!南昌郊外ではハムと言えば、実はソーセージを意味する)、トマト、バナナ、そして甘いミルク入りコーヒーで25元。バナナ以外どれもあんまり美味しくなかったから(25元は高い)と思った。
行ってみるものだ。パンダ基地に着いた時には雨はやんでいた。
とんでもなく広い面積の基地内は森の様相を呈していた。パンダだけではなく、レッサーパンダも飼育されており、放し飼いクジャクが森の路を悠然と歩き回っていた。私たちの前でオスが羽を全開してくれるサービスの良さ。空を仰ぎ見れば木々の上から鷺がバサバサと飛び立つ。下を見れば、あら可愛い蝸牛。種々の虫にも遭遇して、楽しい散歩になった。パンダグッズをそろえた店では、また日本からの観光客がたくさん買い物をしていた。大阪の旅行社のパッケージツアーだという。「孫たちに…。」とパンダの縫いぐるみを買う女性の姿を見て、ほほえましく思える。これは3月11日以前にはなかった気持ちだ。
それにしても、陳さんと岡田T は大変な写真好きだ。二人とも看板や碑を見ると必ず、写真に収める。その後、必ず、必ず、自分もその前で撮ってくれと言う。(碑なんか撮ってどうするつもりだ!)と忌々しく思いながらもこの日の段階では、乞われるままに撮ってあげていた。しかし、旅の終わりでは二人とも私に「写真を撮ってくれ。」と頼まなくなり、二人で取り合っていた。私の顔の険しさを察したのであろう。そもそも陳さんが散々撮影しまくっているのも私のカメラだ。電池を4本交換用に持って行ったが、それを彼は九寨溝で全部使い果たした。呆れた。
パンダたちを一通り眺め、基地内を散歩したのち、池のほとりで休憩した。人々が鯉の餌を買って池の鯉にばらまいていた。それに群がり池の中ではバチャンバチャンと大騒ぎ。鯉の背中に別の鯉が乗って餌の取り合いをしている。最初、数匹の鯉の影を池の中に見出した時は、
「あら、可愛い。」
とか言っていた岡田Tや陳さんも、
「なんか気持ち悪い。」「怖い。」
と言い出した。ヒッチコックの『鳥』を思い出させるシーンだった。
パンダ基地からの帰り、バスターミナルの近くにある昭覚寺を覗いた。疲れていたせいか、(お寺だなあ)としか思えない。しかし、奥に立っている一本の木を見て、心が波立った。廬山の麓の東林寺境内の樹木も心を持つ木たちだったが、昭覚寺のこの一本の木は、これだけでお寺を背負って立っていた。『枝を広げたバオバブの木の下に人々が憩う』というイメージの木だ。バオバブじゃないけどね。たぶん100人ぐらいは憩えるのじゃなかろうか。
夜は宿舎から30分ほど歩いて寛窄巷子へ。
大阪の中崎町辺りと共通する、故きを温ねて新しきを知るみたいなとこだった。陳さんが、
「南昌にはこういうところが一つもありません。あ~あ、南昌は…。」
と言った。こんなしっとりノンビリしたストリートを作る前に、南昌はまず、みんなが道路で交通ルールを守るようにするのが先決かも。いつ車に引かれてもおかしくない非常にキビシイ街なのだ。我々の町は。
はいはい、パンダちゃんでちゅよ~。
ということで、成都といえばパンダ基地に行かなくちゃね。私は日本の小学校の教員だった頃、遠足や修学旅行の引率によく出かけたが、何といっても一番行って嬉しいところは動物園と水族館だった。神戸の王子動物園でパンダや金糸猴、その他各種お猿さん達をよく見たものだ。
動物園のパンダは、あんまり楽しくなさそうだった。しかし、ここ成都のパンダ基地のパンダは仲間がたくさんいるし、柵内とはいえ広々とした敷地でのんびり気楽に過ごしているように見受けた。
この日の朝6時過ぎ、しとしと雨が降っていた。陳さんはたちまち顔を曇らせ、
「パンダは雨だと外に出ません。パンダを見に行っても面白くないです。見るところがあまりないです。」
と否定的意見ばかり述べ出す。(こんなにもネガティブ人間だったのか!)と彼の新側面を見て少しウンザリしたが、他に行くところもないので、とにかく行こうと突っぱねた。
朝ご飯はユースホステルのモーニングセットを頼んだ。パンはトースターが故障しているので焼けず、ただの食パンとどこまでも固く炒めまくったスクランブルエッグ、ハム(これは本物のハムだった!南昌郊外ではハムと言えば、実はソーセージを意味する)、トマト、バナナ、そして甘いミルク入りコーヒーで25元。バナナ以外どれもあんまり美味しくなかったから(25元は高い)と思った。
行ってみるものだ。パンダ基地に着いた時には雨はやんでいた。
とんでもなく広い面積の基地内は森の様相を呈していた。パンダだけではなく、レッサーパンダも飼育されており、放し飼いクジャクが森の路を悠然と歩き回っていた。私たちの前でオスが羽を全開してくれるサービスの良さ。空を仰ぎ見れば木々の上から鷺がバサバサと飛び立つ。下を見れば、あら可愛い蝸牛。種々の虫にも遭遇して、楽しい散歩になった。パンダグッズをそろえた店では、また日本からの観光客がたくさん買い物をしていた。大阪の旅行社のパッケージツアーだという。「孫たちに…。」とパンダの縫いぐるみを買う女性の姿を見て、ほほえましく思える。これは3月11日以前にはなかった気持ちだ。
それにしても、陳さんと岡田T は大変な写真好きだ。二人とも看板や碑を見ると必ず、写真に収める。その後、必ず、必ず、自分もその前で撮ってくれと言う。(碑なんか撮ってどうするつもりだ!)と忌々しく思いながらもこの日の段階では、乞われるままに撮ってあげていた。しかし、旅の終わりでは二人とも私に「写真を撮ってくれ。」と頼まなくなり、二人で取り合っていた。私の顔の険しさを察したのであろう。そもそも陳さんが散々撮影しまくっているのも私のカメラだ。電池を4本交換用に持って行ったが、それを彼は九寨溝で全部使い果たした。呆れた。
パンダたちを一通り眺め、基地内を散歩したのち、池のほとりで休憩した。人々が鯉の餌を買って池の鯉にばらまいていた。それに群がり池の中ではバチャンバチャンと大騒ぎ。鯉の背中に別の鯉が乗って餌の取り合いをしている。最初、数匹の鯉の影を池の中に見出した時は、
「あら、可愛い。」
とか言っていた岡田Tや陳さんも、
「なんか気持ち悪い。」「怖い。」
と言い出した。ヒッチコックの『鳥』を思い出させるシーンだった。
パンダ基地からの帰り、バスターミナルの近くにある昭覚寺を覗いた。疲れていたせいか、(お寺だなあ)としか思えない。しかし、奥に立っている一本の木を見て、心が波立った。廬山の麓の東林寺境内の樹木も心を持つ木たちだったが、昭覚寺のこの一本の木は、これだけでお寺を背負って立っていた。『枝を広げたバオバブの木の下に人々が憩う』というイメージの木だ。バオバブじゃないけどね。たぶん100人ぐらいは憩えるのじゃなかろうか。
夜は宿舎から30分ほど歩いて寛窄巷子へ。
大阪の中崎町辺りと共通する、故きを温ねて新しきを知るみたいなとこだった。陳さんが、
「南昌にはこういうところが一つもありません。あ~あ、南昌は…。」
と言った。こんなしっとりノンビリしたストリートを作る前に、南昌はまず、みんなが道路で交通ルールを守るようにするのが先決かも。いつ車に引かれてもおかしくない非常にキビシイ街なのだ。我々の町は。