毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「『知らないことは無責任だ』と先輩に教えられた高校生」 2013年8月20日(火)No.729

2013-08-20 20:01:37 | 教育


山梨県立桂高校の放送部3年生カナモトさんは、一年前の9月の始業式の朝、
自分の学校の先輩がシリアという国で、銃で撃たれて亡くなったと教頭先生から聞かされた。
「僕の村は戦場だった」の著者であるその先輩は、
7年前に母校に来て、後輩たちに伝えたことがあった。
それは「知らないことは無責任だ」ということだった。

政府の発表では触れられることはないが、
実際は、どの戦場にも女性も、子どももお年寄りもいる。
最も不条理なことは、そうした力ない人達が戦争被害に遭っていることだ。
地べたを這って、最も過酷な戦場という現場で取材しつつ、
戦場カメラマン山本美香さんはその不条理とともに、
人間の強さを、生きる力をも同時に感じていたことだろう。

山本さんは決してへこたれず、絶望もしていなかった。
自分の役目は、戦火に晒される人たちに対して、
日本人も責任を持つのだと伝えることだといつも言っていたと聞く。
戦争は私たちの地べたと繋がっていることを若者たちに伝え、
社会の矛盾を解消していって欲しいと、
真っ直ぐに美しい目を日本の若者たちに向け、信頼を託したのだろう。
山本美香さんの写真のあの目が忘れられない。

現実に対して無関心であるということは、
現実に起きていることを容認していることである。
起きている問題の1つ1つを解決する責任が日本人にもあるのだと、
愚直に、真正面から、
そして目線はいつも聞く人と同じ高さで語っていた彼女を想う。

「さあ、あなたたちの出番です」
それが後輩たちに最後に言った言葉だったという。

一年前の今日、銃弾に散った優しい戦場ジャーナリスト、
山本美香さん。 
その生き方が後輩たちの胸に響いている。
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