キャンパスのそこここに落ちている石榴の花や
果実になりかけのものが可愛くて、拾ってきました。↓
学年末試験の時期になり
今日、早速2年生の会話試験をしました。
①音声の質問に答えるペーパー試験と②スピーチです。
スピーチのテーマは「私と日本語」。
日本のアニメは好きだったけれど日本語には興味がなかった子、
12の大学で6つずつ合計72個もの専門をバラバラに希望したうち
たまたま日本語に当たった子、
不登校の高校時代、日本語の歌を聞いて自分を支えてきた子、と
様々な学生たちが今までの「私と日本語」について語りました。
その中で、高校時代何のために勉強するのか行き詰まり、
鬱病で不登校になったC.Sさんが
大学に入学してから歩んできた2年間についての話は
ともに時を過ごしてきたクラスメートや私にとっても
胸を打つものでした。
C.Sさんはスピーチの中で何度も私について触れましたが、
中国式の過酷な詰め込み教育にずっと縛られ、
苦しめられてきた元優等生の彼の心を
日本から来た、ちゃらんぽらんな超ゆとり派教師の
私の言動がほぐしていけたのなら
こんな嬉しいことはありません。
級友からみれば、始めは実にとっつきにくいオーラで身を包み
他を寄せ付けない壁があったC.Sさんは、
今では、クラスになくてはならない賢い学習係さんです。
ーーー 「私と日本語」 C.S ーーー
日本語は人生で二つ目に勉強した外国語で、同時に好きな言語です。
小学校から今までの十一年間勉強してきた英語が、
どうにも好きになれないのはどうしてでしょう。
その疑問は大学に入ってからもずっと私を困らせていました。
そして今、なんか分かったような気がしています。
それはT先生(註:私のことです)がいらっしゃるからです。
先生に、「ありがとうございます」と言っても、
いつも「教師として当たり前の仕事ですよ。」と返事をされるだけですが、
私は、本当の勉強とはなにか、先生に教わったんです。
勉強すべきことは授業のテキストに限らないと知り、世界が広がってきました。
大学での二年間に、一体私がどれほど変わったか、
長すぎて話が尽きないほどです。
まず、私に日本語を勉強する意味を意識させてくださったのは先生で、
日本語も単なる意思疎通の道具としての言語ではなくなりました。
学習する中で、自分なりの様々な気付きもあります。
例えば、いろんな文法から溢れ出す日本人の性格を分析するのは面白かったですし、
また、「オシロイバナ」と同じ植物を指す「夕化粧」という言葉のように、
語彙によってそのものの美しさや輝きが何倍も増すということも初めてわかりました。
他に、字幕がなくても、アニメの中の台詞がわかった時の達成感とか、
日本語を勉強する過程で得たものはたくさんあります。
その中で一番大切なのは、
「自分の心と向き合って行こう」という気持ちが育まれてきたことだと思います。
皆さんは、大学入学後と、以前の生活との違いは何だと思いますか。
それは何といっても、自分の生活が他人に管理されなくなったことではありませんか。
大学で授業以外の時間をどう活用するのかは、
将来の人生と直接に関わっていると思います。
私の場合、高校時代までと違う生活をしたいと思い、この二年間を過ごしました。
日本語愛好者協会で日本語を教えたり、日本文化の講座を行ったり、
日本語スピーチをしたりもしました。
この二年間の活動を振り返ると、人との付き合いはまだ苦手で、
いいリーダーになったとは言えませんけど、
高校の、あのみっともない自分に別れが告げられるようになりました。
(これでもう十分だ)と思っています。
以前、私はディベートで、
「(タイムマシンで昔に戻って高校時代をやり直し)もっといい大学でみんなに会いたい。」
と言いましたね。それは本心でしたが、その後ずっと考えていました。
未熟な発言だったと思います……。
どんな現実でも、自分がしたことの結果、つまり、自分の選択の結果です。
そしてどんな結果であっても、
受け入れて前へ進まなければならない、とわかりました。
顧みると、勉強しているのはもう日本語だけではありません。
日本語の能力を上げることを目標にして努力する過程で、
私は思いがけず自分の心を鍛えてきました。
クラスメートの皆さん、
これからも、辛くて、同時に、幸せなこの道を歩み続けましょう。
ここでみんなに会えて、先生たちに会えて、本当に良かったです。
↓ ↑ 2年生がリーダーとなって毎週月曜放課後開催してきた
日本語会話活動「日本語コーナー」。
今年の2年生、1年生は皆義務のように思って参加していましたが、
(休むときは私に欠席届がメールで送られてきましたよ(笑))
4年前、ここに来た時初めてやってみたら、
毎週参加者がみるみる減って、しまいに止めたことがあります。
あのときの2年生は見事なまでに不真面目だったなあ……。